5/26(日)

 

午前中、上田へ。電車の中で中川右介「月9 101のラブストーリー」読む。この本、今知りたかったこと、考えたかったことが無茶苦茶詰まってて、このタイミングで出会えてよかった。

 

9:20上田映劇でバス・ドゥヴォス『here』観る。断続的に寝落ち。「何がいいのかはよくわからないが、こんなパッとしない代物をフィルムで撮る人がいることはいいことだ」とか、感想ともいえない寝言を心の中で呟く。

次にバス・ドゥヴォス『ゴースト・トロピック』観る。さっきよく寝た、という単なるコンディションの問題な気がするが、こちらの静かな淋しい夜の抒情の方が遥かに心に沁みた。老人のさすらうブリュッセルの街の光景に、私の脳裏にある幾多の何気ない、しかし奇妙な輝きを湛えた夜の東京の記憶が響き合った。

 

終わって、ラジコで「爆笑問題の日曜サンデー」に出演する山下監督の声を聴きながらバリューブックスへ。何も買わず。

歩いて30分くらいのブックオフ上田中央店へ久々に行く。もう金輪際水着写真集やヘアヌード写真集の類いは買わない、と誓ったのにやることがないので覗いてしまう。そしたら青山知可子の「熱帯性気候」があってビックリするものの、1万8千くらいする普通の市場価格でがっかり…。こういう一喜一憂が人生の無駄だというのだ。

 

上田映劇に戻って、二ノ宮隆太郎『若武者』観る。最近90年代のテレビドラマを集中的に観ることを通して映像作品における「言葉」の立ち方に対して何となく考えていたことが、具体的に「映画」の側から逆照射された気がして驚いたし、凄く魅了された。いまおかさんも書いていたけど、二ノ宮さんは高潔なまでに「作家」だし、スタイルに安住せず、常にいまあるべき映画の形を考えている。数少ない尊敬できる同世代人である。

 

 

 

 

 

 

5/27(月)

 

仕事から帰って、CDで安田成美「ジィンジャー」を泣きながら延々聴く。今の私にとって、安田さんの声は、高校生の頃に孤立無援だった私の心に静かに寄り添ってくれたニコやブリジット・フォンテーヌのよう。「風の谷のナウシカ」の歌唱イメージのまま、安田さんを音痴だと決めつけている人は、端的にこんなに素晴らしい音楽に出会う機会をなくしてかわいそうだと思う(もちろん、オリジナル「風の谷のナウシカ」の安田さんの歌唱も素晴らしいと個人的には思うし、ほぼ毎日レコードで聴いてるし、毎回聴きながら落涙している。早く「2024」versionもアナログ化してほしい)。大貫妙子プロデュースによる楽曲はどれも珠玉で、なぜこれが現在のシティポップブームで注目されないのだろう、とおもうものばかりだが、特にかしぶち哲郎作「突然彼を奪われて」で映し出される、日常的な瞬間で実感する「彼」へのささやかな愛おしさには、「やっぱりあの人のこと想像して歌ってたんだろうな」と思わせる胸に染み入るリアリティがある。

中古市場で高騰して1万円超えているからアナログは諦めてCDで妥協しちゃったけど、これはやっぱりレコードでほしい。今の仕事を最後までやり切った何ヶ月か先に上京する自分へのご褒美として買おうと思う。このアルバムジャケットの安田さんに見守られながら、私は生き直すのだ。