5/9(木)

 

相変わらず、「素顔のままで」に悶絶する日々。このドラマの図書館で働く安田成美のメガネ顔の素晴らしさすら知らずに、毎日死にたいとかつまんねえとか言ってた自分はほんとバカだった!観る前に死ななくてほんと良かった!

クールダウンさせるためにピンク映画chで宇田川大吾『ヤリック セクハラUFO来襲』観る。昨年三作目の『ヤリック エロネット武田の淫謀!?』をたまたま観たとき、その完成度の凄まじさに唖然としたものだが、一作目である『ヤリック セクハラUFO来襲』にはまだギャグのテンポに苦慮している面が見られ、それをカバーするためのおもしろ擬音の多用など、いただけない。ただ発情して野外でオナニーをする度にUFOを呼び出す女のビジュアルインパクトは凄まじく、後の大化けを予感させるには十分であったな、とか考えながら出勤する。

 

5/10(金)

 

出勤前にファンザで宇田川大吾『ヤリック 呪いのエロビデオ』観る。前作より確実に面白くなっているが、極めて戦略的にゆるく間延びしたエロ場面の挿入などによって、決して知的で計算された作品に見せないようにしようという、へそ曲がりな作家性に貫かれている。まだ『ヤリック』シリーズしか観ていないが、宇田川大吾は2000年代にパロディエロVシネという世界でひっそりと咲いて散っていった高貴なる才人だったのだと思う。

 

仕事後、帰宅して体調を整えて先日メルカリで落とした金子修介『咬みつきたい』のVHSを観る。テープが弱っているらしく、再生するだけで変な音がしているし15秒ごとくらいに勝手に停止するのでかなり途方に暮れた。が、VHSデッキも次第に要領をつかんでくれたようでいつしか普通に再生できるようになってホッとした。

 

一言でいうと「手堅い」印象。タイトな上映時間の中で物語る経済性と趣味性のバランスなど、さすが金子監督と思う反面、肝心の緒形拳演じる吸血鬼が意外に精彩を欠いていると感じた。「逆にハマってる」とか「似合ってないけど本人が楽しそうにイキイキしている」とかでもなく、90年当時のやや枯れた緒形拳がそのまま出てしまっている。安田成美さん演じる吸血鬼研究者が彼に異性として惹かれる展開がいまいち納得しがたい。また、彼女が吸血鬼研究に没頭するきっかけが、彼の父が持っていた吸血鬼映画のスチール写真をセクシーに感じたから、というのも設定として若干弱いと思う(彼女が緒形拳にその説明をする場面に映し出される写真が、クリストファー・リーのドラキュラとかマックス・シュレックのノスフェラトゥみたいな大ネタでなく、曖昧に地味な往年の怪奇映画風の写真なのもその印象を強めている)。彼女の住む館が吸血鬼にまつわるグッズで埋め尽くされているとか、もっと視覚的に彼女のオブセッションが伝わるべきだ、と感じてしまうのはたぶんティム・バートン以降の所謂オタク的な感性のメジャー映画を観馴れてしまっているからで、90年時点の日本映画でこれはかなり頑張っているのだろう。

ただ、安田成美さんのコメディエンヌとしての才能を生かす金子監督の手際はさすがで、父親の緒形拳の葬式で泣く娘・石田ひかりの前につかつか近づいて「つかぬことをおききしますが、あなた処女?」と訊いてつまみだされる場面とか、ほんと笑った。

そしてクライマックス、弱った緒形拳のために彼女が首を晒して吸血に誘うシーンの匂い経つようなエロティシズム。この場面のためだけにでもこの映画は観る価値がある。安田さんは『ノスフェラトゥ』のイザベル・アジャーニとコッポラ『ドラキュラ』のウィノナ・ライダーとの間に位置した、偉大なる現代吸血鬼映画のヒロインでもあったのだ。



 

5/11(土)

 

出勤前に「素顔のままで」第七話を観る。このドラマ、中盤から親友の中森明菜が片想いする東幹久をどうしようもなく好きになってしまう安田成美がどんどん不幸になっていく様が、観ていて辛くなってくる。彼女だけではない。幼馴染の明菜への友情と安田成美への想いに引き裂かれる東幹久も、東に片想いし続ける明菜も、安田成美に猛アタックを繰り返して結婚直前までいくものの、彼女の本当に好きな相手に気づいて身を引く鶴見慎吾も。誰もかれもが人を好きになったがために苦しんでいる。うう…辛い。能天気に安田成美にきゅんきゅんしてるだけだと思われてるかもしれないが、実は毎回泣きながら見てる。

人を好きになるって、悲しいことなのかもしれない…。

 

気持ちが落ち込んできたので、ファンザで滝田洋二郎『痴漢電車 只今本番中』観る。『ラヂオの時間』『カメラをとめるな』に先駆けたアイディアが光る。山口百恵(のそっくりさんが急遽出れなくなったために替え玉として出てるさらにそのそっくりさん)とカメラの前で本番やるビートたけし(のそっくりさん)、そのTV放映を見ながら欲情しておっぱじめる山口百恵(のそっくりさん)と藤竜也(のそっくりさん)という錯綜した画が凄い。さすがに山口百恵の実際の写真は使ってないが、三浦友和の当時の広告写真とかはバンバン映る。