4/26(金)

 

午後、上田へ。電車の中で金子修介「ガメラ監督日記 完全版」読む。この本の復刊は今年の大きな収穫。現場判断にとどまらない、現代日本の映画製作における「監督」のあり方(企画を軌道に乗せるまでの人選、戦略…)が具体的に書かれていて、とてもおもしろい。ロマンポルノ時代や「みんなあげちゃう♡」のことも結構書かれているのも嬉しい。

 

バリューブックスへ行く。買った佐藤忠男「今村昌平の世界」を読みながら優雅にお茶を飲む。他、稲垣足穂「A感覚とV感覚」「少年愛の美学」、「Neo Utopia vol.63 藤子不二雄A先生追悼号」を購入。

 

夕方、上田映劇(トゥラム・ライゼ)で井上淳一『青春ジャック 止められるか、俺たちを 2』観る。

「誰もが一生に一本は傑作を書くことが出来る」という新藤兼人の言葉を引きながら、「これこそまさにその傑作である」と厚顔にも宣言しているに等しい作りのあからさまさには「これでいいのか」と思わなくもないし、ほとんど誰もわからないようなやたら細かいディテール描写の嵐(「『松居一代の衝撃(パフォーマンス)』がお蔵になりそうなんだ」といった台詞をいきなり聞いてピンとくる客がどれだけいるのか)と、全く80年代に見えない大雑把なロケーションセンス(『素敵なダイナマイトスキャンダル』の冨永さんの繊細な仕事を見習ってほしい)のアンバランスさもどうかと思うのだが、それでもこれは絶対にこの人にしか撮れない映画であり、一生に一度は撮らざるを得なかったのだ、と観る者に実感させるだけの強度があることは疑えない。こんなやっすい映画で泣いてしまう自分は、やはりまだ青春の中に彷徨っているのだろう。悲しいことだけど。

東出くんの飄々とした芝居も新境地という感じで、『will』を観た後だから余計グッときた。




 

4/27(土)

 

約一か月かけて野島伸司「この世の果て」を全話完走する。こっちが観たくてFODに加入したのに、ついでに観ていた「101回目のプロポーズ」の方に夢中になってしまったので、こっちがおるすになってしまっていた。てんこ盛りなくらい不幸が重なるが、それがドラマ自体の推進力になってない感じ。しかし、終始爆発する横山めぐみの薄っぺらい狂気からは目が離せなかった。最終的に最高の幸せを手にするのは実はこいつなのかもしれない。

 

小原宏裕『ポルノ女優志願』観る。小原宏裕という人は基本職人だが、『ルナの告白 私に群がった男たち』など虚実の淡いを狙ったようなセミドキュメンタリータッチの作品に、独自の魅力があると思う。本作の一人暮らしをする女性同士の生々しくもイキイキした会話、生活のリアリズムには、例えば同時代の山田太一ドラマ「想い出づくり。」を連想させなくもないし、撮影所的な映画づくりの中で独自の美学と時代への嗅覚を持っていた人なのだと思う。浅見美那さん、素晴らしい。