4/19(金)

 

午前中、佐久インター南のバス停からバスに乗って池袋へ。車中、阿部嘉昭「AV原論」読む。アダルトビデオについて書かれた史上最も難解なテキストだと思う…。しかし、とまらない。

 

お昼頃ついて渋谷へ。ユニオンとまんだらけ周る。何も買わず。13:00ヒューマントラスト渋谷でリヴェット『地に堕ちた愛』観る。2008年の日仏のリヴェット特集でも見逃して初見。この頃のジェーン・バーキン、きらきらしてんな。

終わって、神保町へ。樋口尚文さんの古書店「猫の本棚」へ。樋口さんのことはとても尊敬しているので逆になかなか足が向かず(ご本人にあってしまうと緊張してしまうから)、今回で三回目(ちなみにこの日はご不在)。「南海」のVHS放出セール目当てで来たのだが、昨日からだったのでめぼしいものはあまりなく。横山博人『眠れる美女』を1000円で買おうか迷うが、今回はパスして椎名桜子『家族輪舞曲』を500円で買ったのみ。しかし青山真治文庫が前回来たときよりも補強されていて、田中小実昌のエッセイコレクション、朴一「僕たちのヒーローは在日だった」買う。あと最近こだわってる90年代国産ドラマについて知りたくて「特集アスペクト66 TVドラマオールファイル 90`s民放版」という超ミーハーっぽいムックを買う。店番していた若い女性が倉本聰「たとえば、愛」のシナリオ本を興味深そうに読んでいたので、「それ最高ですよね…」と声をかけようか迷ってやめる(が、考えてみたらこの本を読んだきっかけは樋口尚文さんの文章だった)。

それから@ワンダーや矢口書店を周る。何も買わず。

 

19:00新文芸坐シネマテークでクロード・ミレール『愛していると伝えて』観る。高校生の時に「季刊リュミエール」の梅本洋一さんの文章(「見えない距離を踏破する クロード・ミレールについて」)と掲載スチールによってその存在を知り、特に映るドミニク・ラファンの憂いを帯びた美しさに魅了されて以来、ずっと観たかった映画。今回はこれのために上京した(来週のズラウスキー『最も大切なものは愛』は、画質悪いしドイツ語吹き替え盤だからなにいってるかわからないけど、一応輸入盤BDももってるから涙を呑んでがまん)。クロード・ミレールという人の作品は、全部見ているわけじゃないけどなんとなく「そこそこ」な印象があり、それゆえに好きだったのだが、この作品に流れる静かな暗い激情の切実さに、特にこの映画のドパルデューと同じくドミニク・ラファンという女優に魅了されてきた僕にしてれば他人ごとにはとても思えず(パリに行った時にお墓にも行った。ちなみに右隣のお墓はトリュフォーです)。

 

 

同時期のアンドレ・テシネ『バロッコ』とかヒッチコックの影響下にあるフランス作品より、デ・パルマのどうしようもない極私性(変態性)に近い。すなわち、最も私が愛するタイプの映画。このようなちゃんとした上映環境で出会えて本当に良かった。大寺さん、ありがとうございました!!

 

大寺さんの講義も終わって、誰か知り合いに会えるかと思ったけどなかなかおらず、シネマテーク終わりの打ち上げもなくなってしまったようで、さびしい。

ちかくの金太郎に「チェックイン」してから、ひとり日高屋で餃子定食とビールを飲む。

寂しさで死にそうだったけど、飲んだくれて無理やり寝る。

長野の田舎にいても孤独だけど、東京に戻って来たからといって哀しみがきえるけわけではない。

 


↑高校生の頃の私の心をわしづかみにした「季刊リュミエール」第二号所収写真。