1/13(土)
13:30上田映劇で杉田協士『彼方のうた』観る。前作『春原さんのうた』以上に特異なバランスで成立しており、笠原和夫だったら『あの夏、いちばん静かな海。』以上に激怒しそうな内容。正直、僕も本当にこれが「よい映画」なのか判断つきかねる。にもかかわらず何故か引き込まれるのは、僕が好きだった東京の街とそこに生きる人たちの本当の表情が杉田作品には写っている、と実感できるからだと思う。やっぱり、僕は東京に戻るべきなんだと思う。
トークショーのあと、パンフを買って杉田さんと端田新菜さんにサインしてもらう。
「空気階段の踊り場」リスナー的には「北野映画っぽい話」直球なのだが(撮影は柳島克己!)、合唱部の副部長の女の子の実存感ある顔や、生徒たちにツッコミを受けまくっている芳根京子さんのチャーミングさなどは決して北野には撮れない、いかにも山下作品らしい女性の顔として印象に残る。
映画を、人を、人生を、もう一度信じてみようと思えた日。
1/14(日)
しかし、そうそう簡単に憂鬱な気持ちは消えてくれない。ハードオフで550円で買った『エクソシスト2』のサントラレコードを淡々と聴き続けて鬱に耐える。それにしても本当に素晴らしい!僕の葬式ではエモいクラシックだのしみったれた音楽はかけず、「悪魔のテーマ(パズズ)」みたいな曲で豪快に送り出してもらいたいものだ。きっと愉快な気持ちであの世に行けるだろう(まあ参列者の誰かに取り憑いてしまうのかもしれないが)。
午後、何もやる気にならないまま自転車で佐久インターのゲオに行く。ジガ・ヴェルトフ集団『ウラジミールとローザ』とゲルマンの『道中の点検』『戦争のない20日間』のレンタル落ちDVDを合計1100円でゲット。それにしてもこのゲオは何故かゴダールやゲルマンが置いてある、というところに微かな面白みがあったのに、それすらなくなったからますます本当につまらない。ゲオのつまらないところは、そんなつまらなさをわかっていながら特に変えようともしていない怠惰な田舎者根性が透けて見えるところだ(実際、このご時世に配信にも入らず話題作をたまに借りて観るくらいのライトユーザーにはこれでこと足りるのだろう)。この店と同じインターの中に17年ほど前まで存在した文教堂は、渋谷のTSUTAYAにも負けないほどの壮大な品揃えを誇っていた恐るべき店で、10代の頃にどれだけ影響を受けたか知らない。ここで毎日一本、出来るだけ同世代の人間が誰も観なそうなビデオを借りて観ることを日課にしていた中高浪人時代の6年ほどの積み重ねが、私の人生を狂わせ、今の鬱々としたうだつの上がらない日々につながったのだろう(アレ?感謝を書くつもりだったんだけど…)。
1/15(月)
明日から始まる仕事のために書類を書いたり説明を聞いたりするために派遣会社に行く。
終わって、サイゼリアでポテトをオリーブオイルで焼いたやつとワインがぶ飲み。