7/23(木)

 

VHSで東陽一『湾岸道路』観る。

 

 

 

原作は未読ながら、片岡義男小説独特の透明感ある文体、言葉づかいを尊重して映像化し得ている好篇であるように思う。白けるでも埋没するでもなく遊戯的な関係に耽る男女像に草刈正雄と樋口可南子がこれ以上ないほど適役で、この二人なら異常なまでに汗の匂いがしない(その割にセックスばっかりしている)生活を送っていてもまあそんなもんなんじゃん、と特に嫌味でもなく納得させられてしまうから不思議だ。特に樋口可南子は『ときめきに死す』の役の延長線上にあり、こんな女性を演じられる日本人は今も昔もこの一時期の彼女しかいなかったように思う。深みもない代わりに底もない、表層的であればこそ読み取れる情感もある(のだという気にさせる)一級品。

 

↑この時代の樋口可南子の瞬間風速的な世界最強感を見よ。

 

 

深夜試写でデュラス『インディア・ソング』何でこの映画がここまで好きなのか、自分でもうまく説明できない。そもそも何度も見てるのに内容も未だによくわかってない…。カルロス・ダレッシオの音楽最高。僕が死んだら葬式で流してほしい。

 

 

7/24(金)

 

VHSで大林宣彦『麗猫伝説』観る。83年に火曜サスペンス劇場枠で放映されたテレフィーチャー。大林らしい技巧的なカッティングがそこそこ抑えられていることもあり、比較的観やすい(偉大な映画人として大林宣彦が手放しで巨匠扱いされている現状に、私はどうしても乗れないのですよ)。風吹ジュンがかわいくて良かった。『サンセット大通り』のシュトロハイム役に相当する、かつての主演女優にかしずいて生きる巨匠映画監督役が大泉滉なので出てくるたびに笑ってしまう。大泉の自叙伝「ポコチン男爵おんな探検記」(75年出版)はぜひいつか欲しい一冊。古書で1万2千円くらいする!たぶんそんなに出す価値はないので、BOOKOFFに転がってたりしてないかなとよく探す。