「老い」をどう生きるか――。日本社会が超高齢化を迎える中、私たち一人ひとりが直面する大きなテーマです。今回は、みうらじゅんさんの新刊『アウト老のすすめ』を紹介しつつ、自己省察の視点から「”老益”のススメ」といった書籍も合わせて読むことで、バランスのとれた理想的な老い方について考えます。


『アウト老のすすめ』――みうらじゅん流“はみ出し老人”のすすめ

みうらじゅんさんの『アウト老のすすめ』は、「アウト老(ロー)」=“はみ出し老人”をテーマにしたエッセイ集です。著者自身が「大人げないまま新型高齢者」となった日常や妄想、愛の記憶をユーモラスに綴り、息苦しい社会に風穴を開けるような珠玉の95本のエッセイが収録されています。

本書の魅力は、年齢や常識に縛られず、ユーモアと自由な発想で“老い”を楽しむ姿勢。たとえば「ありがたき無怒菩薩」では、おさるのジョージの“黄色い帽子のおじさん”のように、どんな騒動にも怒らない心持ちを目指す話や、「真夏の再訪」ではレッサーパンダの風太くんに20年ぶりに会いに行くエピソードなど、日常の中に笑いと発見を見出す視点が満載です。

「人生を面白くするのも、つまらなくするのも、自分次第。」
この言葉に象徴されるように、みうらさんは「型にはまらない老い方」を提案しています。

 

 

 


「”老益”のススメ」――自己省察で気づく“老害”の兆候

一方で、みうらさんのような自由な老い方を目指すには、「自分が老害化していないか?」という自己点検も不可欠です。

「老害」とは、年齢や経験を盾にして他者を否定したり、変化を拒み、周囲に悪影響を及ぼす高齢者像を指します。実は、誰もが無自覚のうちに“老害予備軍”になり得るという指摘も多く、

  • 「つい否定から入ってしまう」

  • 「自分の話ばかりしてしまう」

  • 「相手の立場を考えず発言してしまう」
    といった兆候は、年齢を問わず誰にでも起こり得るものです。

こうした自己点検の視点は、『自分が老害化しそうです』のような書籍や、老害とメンターの違いを解説する本から学ぶことができます。自分の行動や言動を客観的に振り返り、時に“痛み”を伴いながらも価値観をアップデートしていくことが、老害化を防ぐ第一歩です。

 

 

 

 


「アウト老」と「老害」の違いとは?

「アウト老」とは、みうらじゅんさんが提唱する新しい高齢者像で、年齢や世間の常識にとらわれず、自分らしい趣味や生き方を貫く“型破り”な老人を指します。例えば、怪獣好きを続けたり、「変な人」と呼ばれることをむしろ誇りに思ったりするなど、従来の「おじいさん」像からはみ出した存在です。しかし、その個性や自由さは周囲に迷惑をかけるものではなく、むしろ若い世代に「バカだなぁ、あの人」と安心感や笑いを与える、ポジティブな存在とされています。

 

一方、「老害」とは、年齢や経験を盾にして他者を否定したり、変化を拒み、周囲に悪影響を及ぼす高齢者を指します。例えば、権威的で上から目線の態度をとったり、若い世代の意見を無闇に押さえつけたりするような行動が典型です。その結果、職場や家庭、社会でトラブルや摩擦を生みやすく、若い世代から疎まれる存在となります。

 

つまり、「アウト老」は自分らしさやユーモアを大切にしながらも、他者に害を与えない個性的な高齢者であるのに対し、「老害」は自己中心的な態度で周囲に悪影響を及ぼす存在です。両者は、社会や周囲との関わり方において、真逆の意味合いを持っています。

 


バランスのとれた理想的な老い方とは?

理想的な老い方のキーワードは「受容力」と「柔軟性」です。

  • 自分の老いを受け入れる
     加齢による変化や喪失感を否定せず、今の自分を認めることが、心の安定につながります1。

  • 他人や社会の変化を受け入れる
     若い世代や新しい価値観を否定せず、好奇心を持って関わる姿勢が大切です18

  • ユーモアを忘れず、人生を楽しむ
     みうらじゅんさんのように、日常の些細なことにも笑いや発見を見出すことで、心に余裕が生まれます234101112

  • 自己省察を怠らない
     「自分が老害になっていないか?」と定期的に振り返り、必要なら軌道修正をする1713


 

人生100年時代の新常識:『老益』のススメ: これからの50年を、心地よく豊かに生きるために

 

まとめ:型にはまらず、自己省察を忘れずに

『アウト老のすすめ』は、年齢や常識にとらわれず、自由で面白い“はみ出し老人”を目指すためのヒントが詰まった一冊です。一方で、「”老益”のススメ」といった自己省察の書籍をあわせて読むことで、無自覚な“老害”の兆候にも気づくことができます。

理想的な老い方とは――。
「自分らしさ」を大切にしつつ、他者や社会の変化も受け入れる柔軟さと、時に自分を省みる謙虚さを持つこと。
そのバランスこそが、“老害”ではなく“老益”となる道なのではないでしょうか。