2025年5月、日産自動車が内田誠前社長ら4人の元執行役に対し、合計6億4600万円もの退職慰労金を支払ったことが明らかになりました。この発表は、同社が過去最大規模の赤字(2025年3月期で6708億円)に転落し、全従業員の15%にあたる2万人規模のリストラを進める中で行われ、社会的な批判と疑問を呼んでいます。
構図の整理
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経営陣の高額報酬・退職金と現場リストラの同時進行
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日産では、経営失敗や抜本的な改革の先送りが続く中、役員は現役時代に高額報酬を受け取り、退任時にも巨額の退職慰労金を得ています。
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一方で、業績悪化を理由に大規模な人員削減(2万人規模)や工場閉鎖が断行され、現場の従業員にしわ寄せが集中しています。
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経営責任の曖昧化
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経営陣は業績悪化の直接的な責任を取らず、報酬や退職金の水準も大きく下げないまま退任するケースが目立ちます。
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一部企業では報酬の一部返上を表明する動きもありますが、日産のように巨額の退職金が支給される例は「役員天国」と揶揄されています。
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従業員・現場への影響
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希望退職や早期退職の募集は、バブル世代や就職氷河期世代など幅広い層に及び、個人の生活やキャリアに深刻な影響を与えています。
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経営責任が不明確なままのリストラは、社内士気の低下や優秀な人材の流出を招き、企業の競争力低下にもつながりかねません。
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リストラの歌
課題の具体的提起
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経営責任の明確化と「痛み分け」の徹底
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業績悪化時には、経営トップ自らが率先して報酬削減や退職金返上など「痛み」を分かち合い、責任を明確に示す必要があります。
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経営陣の責任回避や安易な人員削減は、企業の持続的成長や社会的信頼を損なうリスクが大きいです6。
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リストラの透明性・公正性の確保
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リストラの必要性や手順、経営陣の責任分担について、従業員や株主への説明責任を果たすことが不可欠です6。
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企業の制度設計として、業績連動型の報酬制度や退職金の見直しが求められます。
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人材流出・競争力低下の回避
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社会的要請への対応
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企業はステークホルダー(従業員、株主、地域社会など)への説明責任を果たし、社会的信頼の回復に努める必要があります。
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日産の事例は、経営陣の責任不在と現場への過度な負担という、日本企業が抱える構造的課題を象徴しています。今後は、経営トップの責任の明確化と「痛み分け」の徹底、リストラの透明性確保、そして人材流出を防ぐ抜本的な経営改革が不可欠です。
リストラの歌