ここでは、主要な暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、リップル(XRP)、ソラナ、バイナンスコイン)について、技術的および経済的な構造を整理し、現在の価格が割高・割安かを評価します。その上で、2025年5月から見た**半年後(2025年11月)、1年後(2026年5月)、3年後(2028年5月)**のそれぞれの騰落シナリオを想定し、価格上昇・下落の両面の要因を分析します。これは投資判断に役立つ中長期視点の材料を提供することを目的としています。


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2. 要約:騰落リスク比較表

資産名 半年後(2025年11月) 1年後(2026年5月) 3年後(2028年5月) 騰落の主要要因
BTC +20〜-20% +30〜-50% +80〜-30% 半減期後の強気継続 or 景気悪化時のリスク回避資産化
ETH +30〜-30% +50〜-60% +120〜-40% L2普及とETH焼却 vs. 証券規制リスクと実需鈍化
XRP +40〜-30% +70〜-60% +100〜-50% ODL送金実需、SEC和解効果 vs. Ripple依存・採用停滞
SOL +50〜-40% +100〜-70% +200〜-50% 高速チェーン需要拡大 vs. 中央集権性と規制リスク
BNB +20〜-30% +40〜-60% +80〜-50% Binance事業成長とバーン vs. SEC訴訟やBinanceリスク

3. 各資産の特徴と騰落要因分析

3.1 ビットコイン(BTC)

特徴:

  • 最も分散化されたPoWチェーン(ハッシュレート高)

  • 発行上限2100万BTC、4年ごとの半減期

  • 主な用途は価値保存(デジタルゴールド)

上昇シナリオ:

  • ETFによる資金流入、インフレヘッジ需要

  • 2024年半減期後の強気サイクル継続

  • マクロ混乱時のリスク回避先として再評価

下落シナリオ:

  • 利上げ継続・米国債利回り上昇

  • 景気後退で全体相場巻き添え

  • 高値圏での利確売り

3.2 イーサリアム(ETH)

特徴:

  • スマートコントラクトの基盤(DeFi、NFT等)

  • PoS移行済、ETH手数料バーンで供給減少も可能

  • 現在のTVLは全チェーンの5割以上

上昇シナリオ:

  • L2・シャーディングによるスケーラビリティ向上

  • DeFi/NFTの回復、ETHバーン再加速

  • ETFや機関投資家による採用拡大

下落シナリオ:

  • SECが証券扱いに転換した場合の規制影響

  • 競合L1(Solana等)やL2に流動性が流出

  • 手数料収入減でETH供給増加に

3.3 リップル(XRP)

特徴:

  • Ripple社が開発、国際送金用途(ODL)

  • 発行上限1000億、徐々にエスクローから市場放出

  • 2025年にSECとの和解済、再評価途上

上昇シナリオ:

  • 中東・ASEAN中心にODL採用拡大

  • ステーブルコイン「RLUSD」のリリースが実需拡大へ

  • SEC和解により法的リスク低下、米国内取引再開

下落シナリオ:

  • Ripple社依存が強く、成長鈍化で期待剥落

  • 新興国向けステーブルコインが競合に

  • 欧米での銀行採用が思ったほど広がらない

3.4 ソラナ(SOL)

特徴:

  • 高速処理(ブロックタイム0.4秒)、高TPS

  • Firedancer等による性能向上期待

  • 一時ネットワーク停止多発も2024年以降は安定化

上昇シナリオ:

  • NFT、ゲーム、DeFiでの実需拡大

  • Firedancerによるパフォーマンス改善

  • 若年層・UI重視ユーザーの流入

下落シナリオ:

  • 過去の停止再発 or 開発体制の混乱

  • SECによる証券認定リスク(2023年に名指し)

  • 他の高速チェーンとの競争激化(Aptos等)

3.5 バイナンスコイン(BNB)

特徴:

  • Binance取引所とBNBチェーン(BSC)でのガス利用

  • 定期バーンで供給は年々減少(最終目標1億BNB)

  • 非常に中央集権的(Binance依存)

上昇シナリオ:

  • Binanceの業績拡大、バーン増加

  • BSC上のユーザー数・取引増加(TVL維持)

  • MiCA等の規制対応が順調に進めば安心感

下落シナリオ:

  • SEC訴訟が長期化・不利判決で米国撤退

  • Binanceの信頼失墜(運営透明性問題など)

  • BinanceがBNBから別トークンへ切り替える構想発表など


4. 騰落リスクの定量評価(再掲)

資産名 半年後(2025年11月) 1年後(2026年5月) 3年後(2028年5月) 騰落の主要要因
BTC +20〜-20% +30〜-50% +80〜-30% 信頼度高、リスク回避先、ETFと半減期で安定成長余地大
ETH +30〜-30% +50〜-60% +120〜-40% 実需成長期待大、規制がリスクだが中長期は上昇見込み
XRP +40〜-30% +70〜-60% +100〜-50% 和解で浮上、だが採用拡大次第で期待剥落リスクも
SOL +50〜-40% +100〜-70% +200〜-50% 高リターン・高リスク型。停止・規制で急落の可能性も
BNB +20〜-30% +40〜-60% +80〜-50% Binanceの安定性次第。バーンと成長で上昇も、集中リスク大

 


5. 投資スタンス別まとめ

投資スタンス おすすめ資産 理由
堅実・長期 BTC、ETH 安定性・分散性・制度適合が進むため
成長志向 ETH、SOL 技術革新+高騰余地あり。ただしリスクもあるため分散必要
反発期待型 XRP、BNB 規制リスクの一段落で反発余地。Ripple/Binanceの行動が鍵

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6. まとめ

本レポートでは、主要5資産について現在の割安感と将来の騰落リスクを定量・定性の両面で評価しました。特に今後の判断では、「騰落の幅」だけでなく、その根拠となる技術・制度・市場構造への理解が重要です。単なる価格予測ではなく、各資産の強み・弱み・変動要因を見極めた上で、中長期視点でのポートフォリオ設計に役立てることが肝要です。