人は、一生のうちに五代の人を見るといいます。

祖父母・父母・きょうだい・子ども・孫、と五世代を見ることができます。

曾祖父母も曾孫も見ることができれば、七代となります。

近ごろは、晩婚や独身、単身者が増えているため、四代しか見られない場合もあります。

子どもは、幼児期から親以外の大人を、おじちゃん・おばちゃんと呼んでいます。

そのうちに、近所のおじちゃんや商店のおばちゃんと、親戚のおじちゃん、おばちゃんとは、同じ呼び方をしていても、まったく違う質の間柄らしいと、だんだん気づいてきます。

入学前後になると「お母さん、名古屋のおじちゃんがね、お母さんはとても小さいときからピアノを習っていたと言っていたよ。おじちゃん、どうして知っているの」などと尋ねるようになります。

葬式・法事・婚礼などで、親の実家へ行ったときや、盆や正月に両親の故郷に遊びに行ったとき、初めて出会う人もたくさんいます。

その大人たちが、おたがいに、「兄さん」「姉さん」と呼んだりします。

いったい、これはどういう人なんだろうと、不思議に思う体験を何度かするうちに、兄と妹、叔母と甥、叔父と姪、従姉妹・従兄弟といった関係にあるということがわかってきます。

おじいさんの妹とか、お母さんのいとこだというようなことも知るようになります。

親戚の人の顔や名をかなり覚えたころ、家系図作りをやってみると、子どもは興味を持って取りかかります。

家系図作りをすると、まず漢字がたくさん覚えられます。

明治・大正・昭和のいつごろに生まれた人かもわかります。

ひいじいさんの生まれた年は、日露戦争が終わった年だとか、おばあさんの生まれた時代には、貧しい家の子は、高等小学校を出ると、すぐに働きに出ていたとか、お父さんよりずっと年上のおじさんは、生まれたころに戦争が終わって、食べるものもなくておばあさんが苦労したといったことも知ります。

北野弘毅