8月4日 土曜日

 

今日は午後から買い出し。

暑いので、ビールもケース買い!

 

今日行ったのは、EDEKAという、

割と大きめで、お肉も魚も新鮮なうえ、品揃えも良い大型スーパー。

わたしたちは、だいたい毎週土曜日に、そこで買い物をする。

 

そのスーパーは、駅の近くにあるのだが、

 

夫が先週の月曜日に、ここの前を通りかかった時

夫のすぐ先を

交互に走って通り過ぎた自転車があった。

 

その自転車に乗っていたのは、どちらも虚ろな目をした若い男性で

 

ひとりは、ウエストポーチから、何やら白い粉を

もうひとりの方は、紙幣を

一瞬のうちに、それぞれ交換し、またそのまま

別々の方向へ走り去っていったのだという。

 

 

それはドイツで禁止されている麻薬の一種ではなかったか、

でも、そんな麻薬くらいじゃ、警察はもはや動かないだろうな、と

ドイツ人の夫は言う。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

我が家、いや我が地域の、かかりつけ医( Hausarzt )が、

突然、バカンス先のスペインで急死した。まだ若かった。

こういう時、あんまり根掘り葉掘りは聞けないので

あくまでご近所さんの噂だが、

 

多忙(過労)が重なっていたにもかかわらず旅行に出かけ

心筋梗塞に襲われたのだそうだ。

 

(こんなとき、葬式はどうするのか、ご近所さんに聞いたら

ご遺体は、飛行機で無事にドイツに戻ってきたのだそうだ)

 

それで、やむを得ず近くの別の医師のところへ行ったのだが

やはり混んでいて、待たされた。

 

 

そこの待合室で雑誌を読んでいたら

ある難民(Flüchtlinge )の記事が目に留まった。

 

 

それは、要約すると大体こんな感じの取材ルポだった。

 

 

その黒人男性は、まだ20代。

ベルリンで難民申請し、生活保護を受けている。

故郷には妻も子供もいるのだが、呼び寄せることは許可されていない。

麻薬に溺れている。

麻薬がないと、生きていけない。

人生をたて直すために与えられたお金は、全部、麻薬を買う資金に化けてしまって

それでも足りなくなって・・・

 

 

普段は観光客でにぎわうベルリンの某有名な公園。

昼間とは打って変わった

静まり返った異界のような深夜。

 

その公園で

彼は

ドイツ人相手に体を売っている。

 

ドイツに来るまでは、彼だって想像していなかった

自分が、男性相手に体を売るなんて。

 

そんな趣味はない、できれば女を抱きたい

と、彼は、自嘲する。

 

彼に生活保護を与えている側にしてみれば

「我々の税金でフラフラしている」

「他人の金で、食っちゃ寝の生活をして、気楽でいいな」と言うだろう。

 

でも、彼は、

ただ今日一日、生きているのが、精一杯なのだ

 

 

ドイツに来て、こんなことになるなんて

 

こんなはずじゃなかった・・・

 

そこには、実際にドイツで生活保護をうける避難民男性の苦悩と、

受け入れる側の認識の大きな隔たりについて書かれていた。

 

 

今でも、すし詰め状態の小さなボートで

 

欧州を目指して、ドイツを目指して

命を危険にさらして、一縷の望みとともに海を渡って来るひとたちがいる。

 

現実にはその航海の途中で

1年間に1500人以上の人々が地中海で亡くなっている。

 

それに、辿り着いたとしたって、

すべての難民申請者が、受け入れてもらえるわけではない。

 

それでもやって来る・・・・。

 

取材ルポの、黒人男性は、

ドイツで生活保護を受けられたのだから、

本来なら

「ラッキーな部類」に入るはずだが・・

 

彼は、ドイツに来て、正解だったのだろうか?

 

 

彼が思い描いた自由と

実際に手に入れた自由は、

あまりにかけ離れている。

 

 

命の重さ。

 

人間の尊厳とは。

 

「人を助ける」ということの難しさ。

 

欧州という大陸にいると、日本では見えなかったものが見えてくる。

 

 

それでも、「自由」に惹かれてやってくる人たち。・・・ドイツの今日この頃。