音楽ナタリー ≠ME 1stアルバム特集 P指原莉乃インタビューに泣く!

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 上野留加

 

2019年2月、=LOVEに続く指原莉乃プロデュースによる第2のアイドルグループとしてお披露目された≠ME。それから5年の時を経て、彼女たちの表現の集大成とも言える1stアルバム「Springtime In You」がリリースされた。

 

3月3日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで「≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」を昼夜2公演にわたって開催し、計1万6000人を動員するなど、≠MEは先輩の=LOVEに引けを取らない勢いでアイドルシーンを駆け抜けている(参照:5周年の≠ME、怒涛のダンスナンバーや“超絶かわいい注意報”で観客圧倒!横アリ含む全国ツアー決定)。そんな彼女たちの楽曲やパフォーマンスの中心にあるのが“青春”というキーワード。力強いダンスナンバーも含みつつ、「君の中の青春」を意味するタイトルが付けられた1stアルバムの全14曲にも、メンバーが描く“青春”が詰め込まれている。

音楽ナタリーでは本作の発売を記念し、メンバーの尾木波菜、落合希来里、蟹沢萌子、川中子奈月心、冨田菜々風、永田詩央里のインタビューと、指原プロデューサーのインタビューを2本立てで掲載。アルバムの新曲や、“青春”というグループのアイデンティティに対する思いをたっぷりと語ってもらった。

 

途中省略

 

指原莉乃 インタビュー

青春という言葉になぜこんなにも惹かれるのか

──3年前に=LOVEが1stアルバムをリリースした際にもインタビューさせていただきましたが(参照:=LOVE「全部、内緒。」特集)、今回は≠MEについてたっぷりとお話を伺えればと思います。≠MEは5年前の2019年2月、=LOVEに続く指原さんプロデュースによる第2のグループとしてお披露目されました(参照:=LOVEに姉妹グループ「≠ME」誕生、指原莉乃「今までとは違う自分を経験して」)。今では第3のグループの≒JOYがメジャーデビューするまでに至っていますが、当初から第2、第3のグループを作ることを構想していたんでしょうか。

 

指原  最初は=LOVEのプロデュースだけで必死だったのもあり、「じゃあ次」と具体的には全然考えられてなかったです。でも、結果としてよかったなと思っています。第2、第3のグループを作って。コンサートを観たときに感じる感動が本当にグループによって全然違うんですよ。各グループにどういった違いがあるのか、具体的なイメージの違いはなんなのか、ということを取材などでよく聞かれるんですけど、実は自分の中では何か明確に違いを作っているわけじゃなくて。プロデューサーの私が「このグループはこうで、こっちのグループはこうしよう」と意識しているわけじゃないのに、泣けるポイントや感動するポイントが違うのは素晴らしいことだなと思います。

 

──具体的に、どのように“泣けるポイント”が違うのでしょうか?

 

 

指原  まず、=LOVEのコンサートは華やかさと表現の説得力で泣けるんです。「アイドルってこうだよな」と思わせてくれるというか。それに対して≒JOYは歌が本当に上手で、歌を聴いて泣けるグループ。そんな中、≠MEは「≠ME 5周年コンサート『≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT』」を観たときに、初めての感覚を覚えました。パフォーマンスに圧倒されて泣いたんですよね。あの規模のアイドルのコンサートで序盤の5曲にクールな楽曲を詰め込むのは珍しいことだと思うんですけど、それでもお客さんが沸いていて、圧倒されているのはすごいなと。

 

──それは5年前には想像できなったことですよね。結成時、メンバー12人に対してどんな印象を持っていました?

 

指原  (冨田)菜々風という個性的なボーカルのメンバーに加え、さらに(櫻井)もも、(蟹沢)萌子、(川中子)奈月心と、最初から歌が目立つうまい子が多かったんです。そのメインボーカルとも言えるメンバーたちがみんな切ない歌声の持ち主だったので、その切なさと青春、アイドルのキラキラを掛け合わせていく中で今の≠MEができあがったと思います。

 

──「君の中の青春」という意味の「Springtime In You」がアルバムのタイトルになっていますが、=LOVE、≠ME、≒JOYの中でも≠MEは“青春”がクリエイティブ面のキーワードになっているように感じます。

 

 

指原  自分の青春がいつからいつまでだったかと言われると、そんな長くなかったと思うんですよね。学校生活が楽しかったと言える人ってどのくらいいるんでしょうか。きっと多くはないと思うんです。誰しもが学校生活の中で青春を感じていたわけではなくて、≠MEの曲のような青春を過ごした人って実はほとんどいないと思います。それなのに青春という言葉になぜこんなにも人は惹かれるのか、というのがある種のテーマなんですよね。私は青春に対する憧れが強すぎて、それを引きずってる部分もあるかもしれない。そんな私も含め、≠MEの曲を聴いて青春の景色を想像できるのは、やっぱりメンバーの声、ビジュアル、全部含めてのイメージだと思うんです。もちろん=LOVEや≒JOYからも青春を感じるんですけど、≠MEの曲は、実際に同じような青春を経験してないのに「こんなことがあった気がする」と思える。私の中で、≠MEは青春と結ばれている感じがします。

 

──なるほど。確かに男子校出身の僕も、≠MEの楽曲を聴いていると共学に通っていた架空の記憶が思い返される感覚があります。

 

指原  みんなの“あるある妄想アイドルグループ”みたいですよね(笑)。実際に経験はしてないけど、“あるある”だと感じる青春を表現している。そんな中、=LOVEの1stアルバム「全部、内緒。」は自分たちだけが知っている“秘め事”のようなアルバムにしたかったのに対し、≠MEは“みんなの中の青春”をアルバムにしようと考えました。アルバムに統一感のあるテーマを作るなら、やっぱり≠MEの場合は皆さんがイメージするような青春というキーワードがドカンと前に来るのかなと。

メンバーみんな本当に根性がある

──≠MEは青春ソングの切ない表現が似合う一方で、5周年コンサートの序盤でダンスナンバーを怒涛の勢いで畳みかけたように、ガールクラッシュ感のあるクールかつ力強いパフォーマンスも得意としていますよね。

 

 

指原  ≠MEはみんな明るい子たちなんです。そのうえ、本当に根性があるんですよ。プロデューサーとグループの関係って難しくて、メンバーを知れば知るほど、メンバーを好きになれば好きになるほど、「この曲は練習がしんどいだろうからやめとこうかな」「練習する時間がないからダンスはクオリティを落として制作しようか」というふうにどうしても考えたくなる。無理をさせてメンバーを悩ませるのも嫌だし、その時々のメンバーが表現できる最高のクオリティの曲をこっちで考えて提供する、という考え方になりがちなんですね。でも、≠MEは「もっと難易度が上の楽曲をください!」「もっとできます!」という圧がすごいんです。別に直接言われるわけじゃないけど、コンサートやリハーサルなど、すべての態度を通して感じるんですよね。もっと違うものを見せたいし、もっと踊りたいという気持ちを。だからこっちも遠慮せずに「もっと難しくしよう」と思えるんです。それが≠MEの強みだと思います。

 

──前に=LOVEのインタビューで≠MEの印象を聞いたとき、「部活感を感じる」という答えが返ってきました。

 

指原  =LOVEのメンバーも≠MEを見て、自分が経験してこなかった青春を感じてるのかもしれないですね。運動部の部活ってあんな感じなのかなって。

 

 

──インタビュー時の雰囲気も、=LOVE、≠ME、≒JOYの3組でかなり違う印象があります。

 

指原  ≠MEはガツガツしてますよね(笑)。=LOVEのほうがLINEなどでのメンバー個人とのやりとりは多くて、「指原さん、今度こうしたいです」みたいに伝えてくるんですけど、≠MEはメンバーが束になり、グループとして「これやりたい、あれやりたい」と言ってくるイメージです。「海外に行きたいです」「コンサートでトロッコに乗ってこんな演出をやりたいです」とか。

 

──それこそ、≠MEはかねてより東京ドームという夢を明言していますよね。

 

指原  大きな夢を口にするのって怖さもあるじゃないですか。でも、みんな一緒だったら怖くないと≠MEのメンバーは思ってるんじゃないかな。1人ではその夢を口に出せないけど、メンバーと一緒ならはっきりと言える。そして、ファンの皆さんを東京ドームに連れていきたいという気持ちが強いんだと思います。

物語を片思いで終わらせたい

──ここからは1stアルバム「Springtime In You」の新曲についてお聞きします。まずは、5周年コンサートで初披露されたリード曲「ラストチャンス、ラストダンス」について。

 

指原  この曲はまあまあ長い期間、私の手元にあったんですよ。「この曲、いつリリースしようかな」と考えていて。普段はあまりそういうことはしないんですけどね。これって決めたらポンポン出していっちゃうタイプなんで。「ラストチャンス、ラストダンス」は「アンチコンフィチュール」(2023年12月発表の8thシングル)のときに表題曲にしようかなと考えていたんですけど、自分の中でいろいろ考えた結果、「今、青春の歌を表題曲にするのは違うな」と思ったんです。「このいい曲をどのタイミングでどのグループにあげたらいいんだ!」と思いながら手元に置いていました。

 

──どのグループの曲にしようかと悩むことはよくあるんですか?

 

指原  そうですね。時期を問わず、集まった曲をいつも聴いているような状況で、どの曲に対してもわりとその悩みはあります。「ラストチャンス、ラストダンス」は、この大切な曲をどのタイミングで出そうかと慎重になってました。いい曲だからこそベストなタイミングで出したいと考えていた中、≠MEの1stアルバムは青春がテーマだし、リード曲にぴったりだなと。

 

──「ラストチャンス、ラストダンス」は春にふさわしいさわやかな曲調と、“僕”目線で描かれる切ない歌詞が特徴で、その相反する2つの要素が組み合わって独特の情緒を生み出していますよね。

 

 

指原  ≠MEが今まで発表してきた楽曲につながるような気がするんですよね。例えば、「秘密インシデント」(2021年発表のメジャーデビューミニアルバム「超特急 ≠ME行き」リード曲)で描かれた2人があのあとでこういう関係になっちゃったのかもしれない。

 

──なるほど。「秘密インシデント」では、恋に落ちた瞬間の心情が描かれていました。

 

 

指原  もちろん、聴いてくださる方それぞれに自由に解釈していただければと思うんですけど、「ラストチャンス、ラストダンス」では何かの恋が終わった感じを書きたかったんです。私、≠MEの曲の物語を片思いで終わらせたがる癖があるんですね(笑)。恋の終わりという意味も含め、「ラストチャンス、ラストダンス」はアルバムの最後に置きました。私のイメージだと、この曲の主人公はすっごくダサい人なんです。そのダサくて青臭いところが、≠MEの青春ソングっぽいなと思います。男性か女性かもわからないんですけど、ネチネチした人で(笑)、恋をした相手とはあまり仲よくなかったんじゃないかな。そこの解釈もファンの皆さんに委ねますが、たぶん、曲のヒロインはこの人のことをなんとも思ってなかった。それぐらいの恋をここまで壮大な歌にできるのも≠MEらしいですよね。

 

ストレートな「偶然シンフォニー」、おしゃれな「Marcato」

──アルバムの1曲目に収録されている新曲「偶然シンフォニー」は、好きな人と同じクラスになった喜びをストレートに描いたナンバーです。「ラストチャンス、ラストダンス」と対照的とも言える恋の始まりの曲で“青春”の幕が開けます。

 

指原  「偶然シンフォニー」は尾木波菜と鈴木瞳美のダブルセンター曲で、以前からこの2人の組み合わせの曲を書きたいなって思っていたんです。2人とも、すごく優しいんですよ。メンバー間の関係性においてはもちろん、例えば尾木ちゃんと一緒にごはんを食べに行くと「私、ファンの皆さんのことが本当に好きなんですよ」という話をしてくれるし、瞳美は芸歴が長いからこそファンの方との関係の尊さをすごく理解している。コンサート中の振る舞いも、遠くの席にいるファンの方にも思いを届けようとしてるのがわかるし、だからこそ、コール&レスポンスができる歌を2人に書きたかったんです。

 

──尾木さんも鈴木さんも王道アイドルとしてのパワーが強いですよね。

 

指原  そうですね。そんな2人にぴったりなパワーのあるまっすぐな歌詞を書こうとしたら、こういうストレートな曲になりました。でも、この曲の中にいくつかあるセリフパートの中で、私のお気に入りは菜々風のセリフなんです(笑)。これが菜々風にとって初めてのセリフパートで、本人的にはパートを割り振られて「え! 私!?」と思ったんじゃないかな(笑)。菜々風がセンターの曲だったら、ほかのメンバーに言ってもらうんですけど、尾木ちゃんと瞳美のセンター曲だからこそ、あえて菜々風がセリフを言うのも楽しいかなって。レコーディングしたセリフをいくつか聴いたらなかなか緊張感のあるテイクだらけで、それがかわいかったです(笑)。

 

──アルバムには、そんな冨田さんがセンターを務めるユニット曲「Marcato」も収録されています。

 

 

指原  「Marcato」はおしゃれな曲ですよね。≠MEの曲ってサビがはっきりしてないものがあまりなくて、メロディとサビの展開がわかりやすい曲が多いんです。そんな中、「Marcato」は「許可してない Stop it」からがサビになると思うんですけど、曲のキーとなるメロディがほかにもあって、そこが面白いなと思ってこの曲を選びました。今の菜々風なら絶対に歌いこなせるし、踊りこなせると思ったので。たぶん、本人もこういう曲を歌いたかったんじゃないかな。

 

──冨田さんは初期の頃から高い歌唱力を誇り、数多くの楽曲でセンターとして存在感を放っています。

 

指原  「Marcato」のレコーディングで、印象的だったポイントや成長を感じた場面はありますか?

英語のパートをすごく練習したんだろうなと思いました。グループの中だと奈月心が英語のニュアンスを表現するのが上手で、ついつい奈月心や、ももきゅんに英語のパートを渡したくなっちゃんですよね。だから今回は新鮮でした。菜々風が努力して取り組んだことがファンの皆さんにも伝わると思います。

 

 

──この曲は冨田さんのほか、落合さん、川中子さん、永田さんがユニットのメンバーに入っています。

 

 

指原  奈月心にかわいい曲を歌ってもらうか、カッコいい曲を歌ってもらうか、いつも悩むんですよ。声質やクールビューティな顔を生かしてカッコいい曲に加わってもらうことが多いんですけど、最年少だし、本人的にはかわいい曲も歌いたいだろうなって。ももきゅんに対しても、かわいい曲もカッコいい曲もバラードも歌ってほしいと思うし、そういうぜいたくな悩みはいつもあります(笑)。今回はこの曲に奈月心の声をどうしても入れたいという気持ちが強くてユニットに加わってもらったんですが、結果的に正解でした。声がおしゃれだし、歌詞の意味を読み取ろうと努力しているのがいつも伝わってきます。「ラストチャンス、ラストダンス」もそうですけど、奈月心の声がいい感じの切なさを醸し出してくれるんですよね。本人には「今度はかわいい曲もやろうね」と話したりして。歌の技術があっていろんな面を見せられる子だと思うので、私としても奈月心のいろんな面をファンの皆さんに見せたいと思っています。金髪も似合うし、ビジュアルにも磨きがかかってきているから、これからがすごく楽しみです。

 

──切ない歌声を曲に生かしたくて川中子さんをユニットに加えたとのことですが、落合さんと永田さんをメンバーに選んだ理由は?

 

指原  希来里はなんと言ってもダンスですよね。アイドルのコンサートにおいてダンスで歓声を起こせるのってすごいことだと思うんですよ。希来里は=LOVE、≠ME、≒JOYの中でそれができる数少ない子で、さらに成長もしているので、その才能が「Marcato」のパフォーマンスでどう生きるのかすごく楽しみなんです。私の中でちょっと期待値が上がってますね(笑)。詩央里もダンスが素晴らしくて、このユニットに入ってもらった理由もダンス面を考えてなんですけど、歌が本当にうまくなったんですよ。特にこのアルバムの制作期間でそれをすごく感じました。プリプロで録った歌を聴いたときに「こんな声も出るんだ!」とびっくりして。「ここを歌ってほしい」と思うところが多くて、歌割りを想定していたものから変えたりしました。

 

デート前の戦い描いた「デート前夜レクイエム」、優しい彼女感を感じる「春の恋人」

──続いて鈴木瞳美さん、谷崎早耶さん、本田珠由記さんによるユニット曲で、スピード感あふれるロックサウンドが印象的な「デート前夜レクイエム」について聞かせてください。

 

 

指原  歌詞のテーマをバーッと書いた作詞メモがあるんですけど、その中に「デート前夜」というワードがずっと残っていたんですよ。いつか「デート前夜」をテーマに歌詞を書こうと思っていて。たぶん≠MEの結成よりも前からメモの中にあったから何年越しだよという話なんですけど、そこから引っ張り出して「デート前夜レクイエム」を書きました。メモの段階で「デート前夜」というテーマとロックが結び付いていたものの、なかなかそのイメージにぴったりハマる曲に出会えなかったので、最初にこの曲の音源を聴いたときは「あ! あれだ!」と思って急いでメモを見て、そこからすぐに歌詞を書き上げました。自分のアイデア、楽曲、メンバー、そのすべてがマッチする瞬間がすごく気持ちいいんですよね。

 

──歌詞では初々しい恋心が描かれていますが、そこにロックを掛け合わせようと思ったのはなぜでしょう?

 

 

指原  デート前って女の子にとって戦いなんです。やることが多いですし、そのバタバタ感をかわいく書けたなと思っています。

 

──センターを務める本田さんの声が、このかわいいロックナンバーに絶妙にマッチしていますよね。

 

 

指原  ファンの皆さんもきっと気付いていると思うんですけど、みるてん(本田)は歌声がかなり変わってきていて。今までは彼女のか細い感じのかわいらしい声がグループの中でアクセントになっていたけど、しっかりと芯があるものに変化してきた。アルバムを通して、みるてんと詩央里の成長を特に強く感じるんですよ。2人とも歌い方が変わったなと感動しています。

 

──本田さんも永田さんも、もともとは幼さや妹感を感じるルックスや歌声が特徴ですよね。

 

 

指原  プリプロで録ったメンバーの歌を毎回フルで聴くんですけど、櫻井もものセンター曲「桃色デイブレイク」のときに、その2人の歌い方の変化に気付いたんです。お腹から声を出して歌えるようになったなって。それで「デート前夜レクイエム」ではみるてんをセンターにしました。

 

──そして、そこに鈴木さんと谷崎さんも加えて3人のユニット曲にしたと。

 

 

指原  瞳美は本当に周りに優しくて視野も広くて、常に感謝を忘れない子。スタッフからもプロ意識を評価されています。 早耶はいつも“今”が一番かわいいんです。ハッとするかわいさ。そんな早耶も努力をして今の位置に立ってると思うし、瞳美と同じようにすごく優しい性格で、その優しさに胸がキュンとなったエピソードがあるんですよ。前に≠MEにメンバーカラーを決めようという話になったんですけど、≠MEはピンクのイメージが強いメンバーが多い。結局メンバーに委ねたんですけど、早耶が自ら白を選んでくれたんです。そのあと「白にしてくれたんだね」って個人的に連絡したら、「ちょっと大人になりました」と言っていて、精神的に成長しているんだなと実感しました。昔は悔しい思いをして泣きながら電話をしてきたことが何度かあったけど、自分の中で噛み砕いて、考えて、みんな成長して視野が広がってるんだなと。

 

──さらに、アルバムには蟹沢萌子さんがセンターを務めるユニット曲「春の恋人」も新曲として収められています。この曲は1980年代や90年代のポップスの香りを感じる、懐かしさのあるメロディ、サウンドが特徴です。

 

 

指原  松田聖子さんっぽい感じにしたかったんです。萌子は「ピオニーズ」(蟹沢萌子と冨田菜々風のユニット曲)のような狂気的な曲も似合うのに、“みんなの恋人”のような安心感があって。ついつい「P.I.C.」とか「ピオニーズ」みたいなクールな曲で目立たせようとしちゃう中、それと同時になんとも言えない優しい彼女感を感じる。それは本人に表現の技術があるからだと思うんですけど、その優しい空気感が「春の恋人」にすごく生きてると思います。私、この曲をかなり気に入っていて、赤坂から銀座まで1時間歩きながらずっと聴いてました(笑)。聴きながら1時間歩けちゃう曲。最近の≠MEは力強いメッセージを表現している曲が多いですが、こういう朗らかな曲もいいなと思いました。両思いを描いているという点でも珍しいですね。この曲の2人はしばらく別れないだろうなっていう安心感があります(笑)。

 

──海へデートに行く描写があったり、アルバムの中でも情景が浮かびやすい歌詞だなと感じました。

 

 

指原  イメージとしては湘南です。「新宿駅で待ち合わせ 1番線の端っこに あなたがいる」という歌詞がありますが、これは湘南新宿ラインのホームのことで。車を持っていない、1番線の端っこというわかりやすい場所で待ち合わせしてる初々しい2人を描いてます。

 

──「春の恋人」の歌唱メンバーは、蟹沢さんのほか、尾木波菜さん、河口夏音さん、櫻井ももさん、菅波美玲さんの計5人です。それぞれの歌や表現の印象も聞かせてください。

 

指原  ももきゅんは、もう歌がうますぎるんですよ。プリプロで録った音源が届いたら、まずセンターにしようと思ってるメンバーの声を聴いて、そのあとに絶対にももきゅんの歌を聴くんです。「月下美人」(蟹沢萌子、川中子奈月心、櫻井もも、冨田菜々風によるユニット曲)のときは、ももきゅんのプリプロを聴いて泣きましたから(笑)。しかも歌い方が変幻自在で、「春の恋人」では歌詞の世界観を考えて、ノリノリで歌ってくれたのが伝わってきました。すごくかわいいし、表現力がすごいです。

 

 

──5人ともこの曲の世界観に自然と溶け込んでますよね。

 

指原  美玲も“彼女っぽさ”を感じられるメンバーで。この曲の主人公は美玲とイメージが近い感じがしていて。デートのために準備して新宿駅に向かってる美玲の姿が浮かびます。あと、彼女も声が出るようになってきて、最近びっくりしています。もともと歌に苦手意識があったと思うんですけど、セリフ以外の部分でも魅せられるようになってきたなって。コンサートでの煽りがすごく上手なのも彼女の強い武器ですね。歌い方で言うと、尾木ちゃんも歌い方が変わって、さらによくなった感じがします。グループを引っ張っていけるような明るさがよく出ていると思います。

 

──河口さんについてはいかがでしょう? 多芸多才で、非常に個性が強いメンバーだと思いますが。

 

 

指原  髪の毛を染めてから、ビジュアルがよりかわいくなっていますね。コンサートでモニターに顔が映ったときにハッとするぐらい。今まではクレイジーなキャラクターのほうが目立っていて。透明感がある美人として押していきたかったのに、それ以上に本人のキャラクターが強すぎて、「どうなっていっちゃうんだー!」と思っていたんですけど(笑)、ここに来て美人度合いがさらに増した印象です。ビジュアルと本人の性格がどんどんかけ離れていく、その危うさをファンの皆さんはきっと楽しんでいるんだろうなと思います。

 

──ファンの皆さんはもちろん、指原さんとしても日々メンバーの成長に驚かされ、感化されているんですね。

 

指原  メンバーの前向きさにいつも励まされています。ここに自分がいることが本当に楽しくて、本当に幸せなんだってことをみんなすごく伝えてくれるんですよ。前向きで根性があって……まさに部活(笑)。運動部すぎる。やっぱり、それが≠MEのいいところですよね。

パフォーマンスを突き詰めてほしい

──今後、=LOVE、≠ME、≒JOYの中で、そしてアイドルシーンの中で≠MEにはどんなグループに進化していってほしいですか?

 

指原  私がいろんなタイプの歌詞を書くのは、その曲の中で生きている人の気持ちをメンバーに知ってほしいからなんです。「私は私。誰にも邪魔させない」という強さを持っている人もいれば、「明日あの人に会えるからがんばろう」という誰かに対する思いだけでがんばれてる人もいる。そういったそれぞれの生き方を肯定してあげられる人になってほしいんですね。もちろんほかのグループに対しても同じなんですけど、≠MEに対しては特にそう感じます。人生に正解なんてないということと、すべての人に優しくいられる人たちでいてほしいという思いが楽曲たちを通してメンバーに伝わって、彼女たち自身の生き方がより豊かになればいいなと常に思っています。そしてこの楽曲たちを生かして、コンサートを観に来る人たちにパワフルなステージを見せ続けてほしい。5周年コンサートを観て改めて感じたんですけど、≠MEはパフォーマンスだけでお客さんを魅了できる数少ないグループだと思うんです。大きな会場でステージから手を振って沸かせるのではなく、歌って踊って「キャー!」って言われる。それって本当にすごいことだと思うので、これからもそこを突き詰めてほしいですね。

 

──今のアイドルシーンではTikTokでバズることが人気への一番の近道であり、避けては通れない必須項目になってきている面があると思いますが、完成度の高いパフォーマンスを作り上げていないと中長期的な人気拡大にはつながらず、単なる一過性の“バズ”でで終わってしまう。その点、≠MEは過去に「てゆーか、みるてんって何?」がTikTokで大きく注目された中、常にパフォーマンスで魅せることに力を入れている印象です。

 

 

指原  そのことは常に考えていて。やっぱりレコード会社の人と話していると、どうしてもTikTokの話になるんですよ。私としてもTikTokの重要性はわかっているし、もちろん曲が流行ったらうれしいし、人気を得るための何よりの近道だと思います。そこの人気を目指すことを否定はしないですけど、どうしても完全には気持ちが乗らないんですよね。TikTokでバズるような楽曲も大事だと思うんですが、それ以上に大事なことはステージ上での表現だと思っていて。TikTokがきっかけでコンサートに来てくれた人が離れないようにするには、バズり以上のパワーが必要だと思う。そして≠MEの5周年コンサートでは、それを実現できた気持ちよさを感じました。改めて、パフォーマンスで引き込まれるのってすごいことで、今回のコンサートを観た人はきっと≠MEから離れないと思います。

 

──今後、≠MEがさらなる進化を見せてくれることを期待しています。これでインタビューは終わりですが、最後にもう1つだけ聞かせてください。先日メンバーにインタビューした際、落合さんが「アルバムタイトル『Springtime In You』の中の『me』が≠MEにかかっているのでは」と解釈していたのですが……。

 

指原  あー! なるほど(笑)。確かにジャケットのデザインはそういうイメージに仕上がっているので、結果的にその解釈で合ってると思うんですけど、タイトルを考えたときは正直意識してなかったです(笑)。でも「me」と「You」の両方を含みつつ、「君の中の青春」を意味するタイトルになっているのは美しいですよね。

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何とも 充実した内容。よどみなくこれだけ語れるって頭いいよ

こんなにメンバーの事愛したるんだ。

 

本当はイコラブ2期生を拒否してソニーと大喧嘩した『指原の乱』の話聞きたいけど、墓場まで持っていくのかな。結局ノイミーは自分の意志で始めたわけじゃないけど、イコラブもノイミーもどちらも成功させなくてはいけない。ましてや救いの手を差し伸べてくれたキングレコードに恩返ししなくては・・・と自分で自分の首絞めるプレッシャーに勝って両方武道館に行かせた。『逆転力』を地で行く。本物だよ。凄すぎる。

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オタの反応

 

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指Pもノイミーは青春と話してるんだな

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さしPメンバーのこと良く見てるなー
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読み応えあって面白かった
夏音ちゃんのビジュアルとどんどん性格がかけ離れていくってのが笑ったw

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滅茶苦茶長いインタビューやな
こんなにノイミー語るのははじめてじゃないか?

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初かも

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指原話が上手すぎる

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話上手くなければあんだけ売れっ子芸能人なれんよ

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いい記事
特に↓の部分、愛があるねえ

──今後、=LOVE、≠ME、≒JOYの中で、そしてアイドルシーンの中で≠MEにはどんなグループに進化していってほしいですか?

私がいろんなタイプの歌詞を書くのは、その曲の中で生きている人の気持ちをメンバーに知ってほしいからなんです。「私は私。誰にも邪魔させない」という強さを持っている人もいれば、「明日あの人に会えるからがんばろう」という誰かに対する思いだけでがんばれてる人もいる。そういったそれぞれの生き方を肯定してあげられる人になってほしいんですね。もちろんほかのグループに対しても同じなんですけど、≠MEに対しては特にそう感じます。人生に正解なんてないということと、すべての人に優しくいられる人たちでいてほしいという思いが楽曲たちを通してメンバーに伝わって、彼女たち自身の生き方がより豊かになればいいなと常に思っています。

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非常に良い
Pの愛を感じるしアイドル辞めた後の生き方まで思いを馳せてるのが凄い

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仕事から帰ってこの長いインタビューを読み終わった
素晴らしい記事ですな
言葉選びも上手いし内容に引き込まれた
Pのメンバーへの愛の深さを再認識
俺はこの↓

言葉が好きなのだけどPは言動一致の人だよね
アイドルとPの理想的な関係性だわ

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仕事忙しいだろうにメンバーのことよく見てるよね
親御さんもこういう大人の人が見てくれてると思うと安心なのでは

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指原P的泣きポイントいいね

まず、=LOVEのコンサートは華やかさと表現の説得力で泣けるんです。「アイドルってこうだよな」と思わせてくれるというか。それに対して≒JOYは歌が本当に上手で、歌を聴いて泣けるグループ。そんな中、≠MEは「≠ME 5周年コンサート『≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT』」を観たときに、初めての感覚を覚えました。パフォーマンスに圧倒されて泣いたんですよね。あの規模のアイドルのコンサートで序盤の5曲にクールな楽曲を詰め込むのは珍しいことだと思うんですけど、それでもお客さんが沸いていて、圧倒されているのはすごいなと。