いくつかの研磨した石304 | 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ

いくつかの研磨した石304

研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石304

 京都府京都市左京区花脊別所町脇谷のホルンフェルスを一面研磨しました.前回に滝めぐりをした際に上流の脇谷付近をうろうろして,見つけた転石からサンプリングしました.

 丹波帯の堆積岩を切って別所町のスキー場跡付近を中心として花崗岩類が貫入しています.その貫入岩体との接触部を探していました.水量が多いので,途中で接触部を探すのは頓挫しました.

 接触変成岩は何かあるのかくらいは探そうと思ってうろついて探したところ,変成岩から風化で変成鉱物が飛び出した石があって,そこからサンプリングしました.

 見た目はホルンフェルスですが,もとの岩石が泥質岩と砂岩との互層のようで,一部が砂岩ホルンフェルスになっていました.その上,凝灰岩質の岩片や礫が含まれていました.普通ホルンフェルスは割ると角が出やすい岩石ですが,このものは片理が発達していて片麻岩のような岩石でした.

 

(研磨)小割りして出た木っ端の一部を選びました.母岩はほかの岩片を捕獲していて,硬度の違いでさぞ磨りづらいだろうと予想していましたが,せっかく研磨するなら捕獲している岩片も含めて研磨しようと考えを変えて研磨し始めました.風化面から40mm~50㎜くらい内部の部分を採ったのですが,磨り始めからなかなか研磨が進みませんでした.

 石英などの硬い鉱物は捕獲している岩片以外は肉眼的に入っていないのですが,平滑にするまで時間を要しました.

 平滑になったところでルーペで観察したところガラス質で淡柱状の形態をする変成鉱物が一面に入っていました.結晶内部に黒色の煤のようなものが入っているようで,紅柱石を予想しましたが,あとで研磨具合で菫青石だろうと判断しました.結晶は小さいですが,結構たくさん入っていました.

 仕上げは斑晶のように入っている菫青石が硬く,ここだけ光沢が出てしまい,斑な研磨面になってしまいました.磨り続けるともっと菫青石の部分が浮き出てしまいそうなため,1500番手のペーパーで軽く磨ったあとで,青砥で仕上げしました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

表面はこんな感じです.黒色鱗片状は黒雲母でした.全体的の広範囲に入っていました.

 

捕獲されている岩片の拡大.花崗岩質のようです.中央やや左の褐色の金属は黄鉄鉱でした.

 

白色の角柱状の鉱物の拡大です.肉眼的には長石のように見えますが,周囲に褐色の黒雲母を生じています.内部の黄色い鉱物は小さすぎて判別できませんでした.

 

菫青石の拡大です.肉眼ではもう少し青っぽいのですが,黒っぽくなってしまいました.ここも短柱状の結晶の周囲に黒雲母を生じていました.

 

 この母岩からはほかに割れ目に皮膜状の黄鉄鉱と捕獲された岩片よりザクロ石を確認しました.