鉱物の顕微鏡写真187 ―菱ニッケル鉱― | 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ

鉱物の顕微鏡写真187 ―菱ニッケル鉱―

顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真187

―菱ニッケル鉱―

産地:132 North Ni mine, Widgiemooltha, Coolgardie Shire, Western Australia, Australia.(非売品).

 

 


Gaspéite 菱ニッケル鉱(ガスペアイト)

[組成]          Ni2+[CO3]

[結晶]                三方晶系.自形結晶は菱面体だが稀.繊維状・球状・ブドウ

            状・粉状・レース状・脈状・塊状集合などになる.

[色]          緑白色・淡緑色・緑色・灰緑色・黄緑色・青緑色・暗灰緑色・

            淡紅色(含コバルト種)など.

[光沢]        ガラス光沢~油脂光沢.土状光沢.透明―半透明.

[モース硬度]    4.5~5

[比重]         3.71~3.91.ニッケルの含有量によって増減する.

[劈開]        {1011}に良好.

[条痕]        明緑色.

[原産地]             New Jersey Zinc Exploration Co. trench, Mont-Albert,

                        La Haute-Gaspésie RCM, Gaspésie Îles-de-la Madeleine,

                        Quebec, Canada.

[名称]        原産地を含むカナダのGaspé半島に因む.

 


 

 

 

 ひと月ぶりの顕微鏡写真シリーズになりました.今回は菱ニッケル鉱にしました.方解石グループの鉱物で,方解石のカルシウムをニッケルに置き換えた鉱物です.性質も似ているのですが,結晶はまれでおもに塊状に近い集合で出ることが多い鉱物です.

 上の標本は今年の大阪ショーで購入した標本です.暗赤色―赤褐色繊維状ないし放射状の菱鉄鉱の上に黄緑色のブドウ状集合をなしています.集合内部に濃緑色のアタカマ石がついていることもあるらしいのですが,この標本には入っていませんでした.

 

以下は国産品です.以前は中宇利鉱山のコバルトを含有しピンク色を呈する菱ニッケル鉱を持っていたのですが,金欠で手放しました.それ以前に学生の頃に知人より参考品として頂戴した標本が出てきて,これを顕微鏡下で撮影しました.

 

産地:大分県豊後大野市三重町若山鉱山(非売品)

Locality:Wakayama Ni mine, Mie Machi, Bungo Ohno city, Ohita prefecture.

 

 現場へは学生の頃に近くまで行きましたが,幅員狭小な道が長く続き,当時は車の免許を取りたてで,尾平鉱山は何とかいけましたが,こちらは途中までしか行けませんでした.そんな話をしていると,後日この標本を頂戴しました.

鮮やかなアップルグリーンのブドウ状の部分が菱ニッケル鉱です.母岩はやや分解した蛇紋岩からなっています.