いくつかの研磨した石260 | 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ

いくつかの研磨した石260

研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石260

 岐阜県揖斐郡揖斐川町春日 春日ドロマイト鉱山のバスタム石を一面研磨しました.バスタム石はマンガンの鉱物ですが,上の石のようにドロマイトスカルンからも産しました.スカルン鉱物とマンガン鉱物との共生を研磨面で見てみたいと思って,いろいろ探して見ましたが,いい大きさの石が無く,チップのようになった薄いものでは,重量感が無いので,かつてサンプリングした石を探しました.

 

 20年くらい前に大阪のM氏とともに訪問した時にサンプリングした石の中に,二酸化マンガンに覆われているものがあって,小割したところ内部はバスタム石でした.ジャジャ降りの中で何を採集したのか,まったく思い出せない.袋に日付と春日ドロマイトと書いていて,二酸化マンガンに覆われたこの石と,若干紫色を帯びた灰色の透輝石と,純白の珪灰石が入っていました.

 

 研磨するのに小割をしたところノジュール状のバスタム石の端っこだったらしく,白色の珪灰色・方解石と透輝石,ベスブ石が接しているものがありました.バスタム石との境界が研磨できそうなので,この部分を割り出して,研磨しました.

 

(研磨) 繊維状のバスタム石や珪灰石を含んでいるので,硬いだろうと思って一気に磨り上げました.繊維の方向に磨り易いようで,思ったより楽に磨りあがりました.バスタム石の部分がやはり硬いようで,ベスブ石の部分が少し凹んでしまいました.珪灰石の部分は方解石を混入しているらしく,さらに磨りこまれてもっと凹んでしまいました.こうなると調整は無理なので,そのまま仕上げに移りました.仕上げは青砥で光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

 

 

淡桃色―桃白色部がバスタム石.白色―乳白色部が珪灰石と方解石からなる部分.灰緑色―緑色部が透輝石.黒色っぽく写っているのは二酸化マンガンかと思いましたが,硫化物による染みの様です.茶褐色―赤褐色粒状がベスブ石.

 

ベスブ石.周囲の白色部はバスタム石ではなく,珪灰石です.リムとコアの組成が異なるのか色が変わっていました.

 

バスタム石.灰桃色―淡褐色を呈しています.非常に細かい繊維状で,よく見ないと観察できませんでした.ちょっとだけ繊維状になっています.

 

透輝石の多い部分.緑色部.

 

母岩の中に黒色の煤状や微細な粒状で入っている硫化鉱物がありました.研磨面を探していると,帯紅真鍮色の磁硫鉄鉱が入っていました.研磨面ではこの部分だけで,未研磨の面をルーペで探すと,同じような鉱物があって,磁硫鉄鉱でした.未研磨の部分にかなりたくさんついていました.