鉱物の顕微鏡写真4 ―ウッドハウス石・スヴァンベルグ石―
顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真4
―ウッドハウス石・スヴァンベルグ石―
産地:Champion mine, 2km Western of Bancroft mountain, White mountains,
North of Laws, Mono county, California. USA,(非売品).
Woodhousite ウッドハウス石
[組成] CaAl3+3[(OH)6|SO4|PO4]
[結晶・形態] 三方晶系.自形結晶は六面体・立方体に近い立体
・菱面体.結晶面に条線が発達することがある.
結晶は脆い.菱面体の聚状・ザラメ状・皮膜状・
卵殻状・塊状集合などになる.
[色] 無色・白色・灰白色・乳白色・灰色・淡黄色・黄色
・灰黄色・黄橙色・黄褐色・淡褐色・褐色・淡紅色
など.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.劈開面上に真珠光沢.
透明―半透明.
[モース硬度] 4.5
[比重] 3.00~3.01
[劈開] {0001}に完全.
[条痕] 白色.
[名称] アメリカの鉱物学者・コレクターの
Charles Douglas Woodhouse (1888-1975)
に因む.
[原産地] Champion mine, 2km Western of Bancroft
mountain, White mountains, North of Laws,
Mono county, California, USA.
Svanbergite スヴァンベルグ石
[組成] SrAl3+3[(OH)6|SO4|PO4]
[結晶・形態] 三方晶系.自形結晶は正六面体に近い立体.菱
面体・板状・粒状・爪状など.聚状や塊状などの
集合になる.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・淡黄色・黄色・黄橙色
・橙色・黄褐色・赤橙色・淡紅色・赤色・赤褐色など.
[光沢] 金剛光沢~ガラス光沢.透明―半透明.
[モース硬度] 5
[比重] 3.2~3.24
[劈開] {0001}に良好.
[条痕] 白色.
[名称] スウェーデンの鉱物学者
Lars Fredrik Svanberg (1805-1878)
に因む.
[原産地] Hålsjöberg, Torsby, Värmland, Sweden.
ともにビューダン石(Beudantite)グループの鉱物で,後者は前者のCa(カルシウム)をSr(ストロンチウム)に置換しただけの鉱物.ともに純粋な組成のものには色が無いはずだが,後者のほうが後からの生成で,生成時に色の基となるもの(たとえば鉄分)が入ることによって色づいている.
現地は筆者は行ったことはありませんが,とんでもない山の上のようで,現地の地図で13040フィート(メートル法では,約3974m)あるBarcroft山の西尾根付近にあり,有に3500mは越えていそうだ.
標本を見る限り,母岩は石英(無色―白色ガラス光沢)で細かいトパズ(Topaz)を伴っている.その上に,光沢がやや脂ぎったガラス光沢を呈するやや粗いウッドハウス石が乗っかっている.石英以外はアルミニウムが共通成分で,当地ではほかに紅柱石(Andalusite)・燐礬土石(Augelite)・鉄天藍石(Scorzalite)・トパズ(Topaz)などが知られている.のちに分かったことですが,当地は珪岩中の熱水変質を受けた蝋石鉱床中の紅柱石鉱床とのことで,淡褐色―赤褐色放射状の葉蝋石の結晶などを産するそうです.
本邦でも群馬県奥万座や山口県日の丸奈古鉱山で,顕微鏡的なものは産していますが,非肉眼的のようであまり標本は出回っていないようです.
(以下,顕微鏡写真)
ウッドハウス石 Woodhousite. 写真中央の色の濃い部分が結晶.光沢はややトパズに似ているが,これよりやや脂ぎった感がある.ウッドハウス石は当地がType Localityで,名前はコレクターの名前を冠した.
スヴァンベルグ石 Svanbergite. これがスヴァンベルグ石と思っていましたが赤い部分はルチルで,その横にある角の欠けたように見えるクリーム色の部分です.
産地:Hålsjöberg, Torsby, Värmland, Sweden.(非売品)
産地はホルショーベリ,トーシュビューと読むらしい.ダイアクリティカルマークが随所に点在し,入力しづらい産地名でした.原産地のスヴァンベルグ石です.母岩は淡い青色を呈する藍晶石と白色の雲母・角閃石類などからなる結晶片岩です.かなり微細な結晶で,顕微鏡のズームとカメラのズーム機能を合わせてなんとか撮影しました.
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