鉱物の顕微鏡写真2 ―ストレング石―
顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真2
―ストレング石―
産地:Laveaniemi Fe mine, Kiruna district, Sweden(非売品).
Strengite ストレング石(燐鉄鉱)
[組成] Fe3+[PO4]・2H2O
[結晶・形態] 直方晶系.自形は直方板状・板柱状・柱状.ロゼット状・ぶ
どう状・放射状・球状・皮膜状などの集合になる.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・赤橙色・淡桃色・淡紫色・紫色・
赤色・赤紫色など.
[光沢] ガラス光沢~亜ガラス光沢.脂っこいガラス光沢など.透明
―半透明.
[モース硬度] 3.5~4
[比重] 2.84~2.87
[劈開] {010}に良好.
[条痕] 白色.
鉄(Fe)を主成分とする含水燐酸塩鉱物です.鉄(Fe)を主成分とする燐酸塩鉱物は非常に種類が多く,そのトップバッターとして持ってきました.
アメシストに似た感のある部分がストレング石. 母岩は磁鉄鉱―赤鉄鉱からなっていて,その割れ目に生成したもののよう.褐色のベラウン石(Beraunite) や濃緑色のロックブリッジ石(Rockbridgite)などを伴っています.
本邦では堆積性褐鉄鉱鉱床やチャートの酸化帯に白色小塊状や被膜状を
なしているのが普通で,このような色のものはそもそも無い.
以下拡大写真です.
もう1点.2024年大阪ショーで入手しました.
産地:Sitio do Castelo mine, Folgosinho, Gouveia, Guarda, Portugal.(非売品)
前述どおり,2024年大阪ショーで衝動買いしました.いつもよく見に行っている標本屋のフラットボックス中に異彩を放つ石が一つあって,それがこの石でした.ひさびさに衝動買いをしました.全体で見ると黒い二酸化マンガンに覆われた石なのですが,その空隙に青紫色のフォスフォシデライトや上記のストレング石,臙脂色ガラス光沢のベルマン石,灰緑色でモコモコの集合になっているフロンデル石,サーモンピンクの不定形塊状のトリプライト,黄褐色の微細な鱗片状のカコクセン石などからなる,カラフルな石でした.
その一部に上のような赤紫色の放射状集合が見られました.
日本産でも少しくらいはあるだろうと思い探してみると
上記の産地から遥かに劣りますが,一点ありました.
京都府和束町石寺のストレング石.(非売品)
(Locality: Ishidera, Wazuka town, Sohraku district, Kyoto prefecture, Japan.)
茶褐色の部分は水酸化鉄にカコクセン石などが伴われるもの.黄色部は主にカコクセン石からなる部分.で,ストレング石はそれらの下の方に白色をなす部分です.
かなり拡大するとこんな感じで,
光源により多少の印象が異なってきますが,肉眼ではにわかに桃色着いて
います.
さらに1点でてきました.
産地:長野県茅野市北山 諏訪鉄山(非売品).
堆積性褐鉄鉱鉱床より産した古い標本です.褐鉄鉱―鉄明礬石などからなる塊状の母岩に微細な球状集合をなしています.よく見ると板状結晶が球状集合になっていました.似た産状でティンティク石やコニンク石などが当地では知られています.
産地:岐阜県大垣市赤坂昼飯町花岡山(非売品)
知人より恵与品です.美濃帯のチャートの割れ目に産したストレング石です.黄色のカコクセン石の球をたくさん伴う標本で,ラベルにどちらの名前で付けようかと,迷った石でした.現地の花岡山は砕石が進んで現在はありません.
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