石英(Quartz) ―たなぼた水晶― | 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ

石英(Quartz) ―たなぼた水晶―

造岩鉱物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たなぼた水晶

 

 先週から運悪く定休日の日に天気が悪いため山に行けなかった。ほかにやることといえば、標本を整理するがひたすら石を眺めているかしかない。

 たまたま昨日ほかのブログを見てたら、結構みなさん水晶のきれいなものを持ってらっしゃる。水晶は専門外なので収集の対象になっていなかった。今どれだけ持っているのか、写真を撮りながら確認していました。

 いくら専門外といっても100個はあるはずで、産地数では50産地くらいはあると思われる。透明なものはあまり好きではなく、双晶とか色変わりとか、変わった産状のものとかしか集めてこなかった。

 せめて47都道府県、各府県に1つくらいはあったほうがいいだろう。ちなみにマンガン鉱物は47各都道府県に1つは達成できた。千葉県や香川県などは特に石無し県なのでマンガン鉱物を探すのに苦労した。前者は嶺岡浅間の二酸化マンガン鉱が、後者はマンガン鉱物とはちょっと言い難いが、理想科学組成の卓越元素にマンガンを含む、上田石をそれぞれ入手できた。

 最近になってから山登りに行くようになって、老ノ坂や岡山林道で細かい水晶を見つけることができた。

 水晶はどこにでもある鉱物(質を問わなければ)だからやみくもに山に入っただけでも運がよかったら見つかる。かなり大きなものもかつては見つけたことがあった。その辺を少しあげたい。



煙水晶。正長石とカリ長石の晶洞に少量の針状緑簾石を伴うもの。産地は地元「広野」の石切場。初めて行ったときに広い採石場のなかを右往左往しながら探していたら見つけたもの。(左右10cm)

 特にどこを探したわけでもなく、夏だったので炎天下の中昼食を摂りながら傍に転がっている石で遊んでいたら見つけた。休憩中や昼食中自分の座っている場所結構目的のものが落ちているかも。案外あることが多い。これを探していたわけではないので、たなぼた水晶。

 このときは小規模スカルン中の珪灰鉄鉱の結晶や六角板状の方解石など面白いものが見られた。



水晶。特に何も伴っていない水晶だけのもの(左右約5㎝)。丹波のマンガン鉱山のうちチンゼン斧石を産することで有名な、玉岩鉱山の坑口を探していた時に林道の上方で転がっていたものを拾った。このあたりは粗粒の石英脈が多く見られ、鉱山の西方に位置する弥谷鉱山付近では2~3cmほどの水晶の晶洞の上に薔薇状の菱マンガン鉱の結晶が乗ったものも見られた。坑口を探しに行って見つけた水晶だから、これもたなぼた水晶。

 

 

 



水晶。日本最高所の水晶かもしれない。黒部の奥地、黒岳(2986m)の水晶。以前どこかで買ったものと記憶する。山頂付近の接触変成帯があり古くから石榴石や水晶で有名だったそうだ。どういう経緯で購入したのかは忘れたが、タナボタに近かった。

 

 

おととし初めて尾小屋に連れてもらったときに、駐車していた堰堤の横で偶然一本拾った紫水晶。尾根のズリに転がっていたものより大きく透明度は高いが色が淡かった。(長さ約5cm)ズリでは主に緑鉛鉱を探していたので、これもタナボタ。尾根のズリの中断で鉱床母岩のサンプルも採取していた。帰ってから整形して観察していると、含まれている長石が熱水変質を受けて白い粘土状になっている付近に赤い粒がたくさん入っているものを見つけた。前に報告のあった辰砂だろう。

 

 



紅石英。京都府の南部、井手町玉川の上流にある3つの大きな採石場のうち比較的最近まで営業していた採石場のもの。緑化事業をし始めてしばらく経ったのちに止めてしまっていた。しばらくしてから隣の採石場跡とともに見に行ったら、一番上の台地の奥に露頭が少しだけ残っていて、この露頭の前にこの紅石英が落ちていた。ギラギラした黒雲母ホルンフェルスと黒っぽい珪岩にレンズ状に入っているもので、風化したものは色が退色していた。少し表面を掘ると色の濃いものが見られたが、ボロボロでいいものは少なかった。これもたなぼたかな。

 

 

 ほかに画像には無いが、昨年秋に行った猪名川の高岳のハイキングで、ナルタキ山付近の杣道に崩壊したペグマタイトがあり、歩いているときに偶然一つだけ長さ8cmくらいの煙水晶を拾った。残骸を探したがあったのは風化してボロボロになった長石だけだった。この時の水晶は大阪の鉱物Loveの某氏のところへ嫁入りした。

 

 北摂霊園から泉原にいたる道沿いに「天狗岩」というところがある。ここもなにかの下見で通りかかったときに2~4cmくらいまでの煙水晶をいくつか拾った。道路のカット面からの崩土を溝上げしたところにかたまっていた。

 水晶ではないが、丹後半島の太鼓山から成相寺方面に行くとき、林道のカット面に束沸石の晶洞を見つけた。沸石の探索をしていた帰り際に見つけたのであまり探索できなかったが、これもタナボタ。

 

 以前に一度だけ滋賀県と福井県境の江若花崗岩帯に水晶を目的に探しに行ったことがあった。マキノ町の山崎山や山中牧場付近で出ているので延長線上の敦賀市や美浜町でもでるかもしれないと思い赴いた。半島の奥の海岸にとれそうで取れない岩頭の一番上に煙水晶の大きなガマが開いていた。海の奥に立っている岩頭なので近づくこともできず、敗退した。馬背峠のトンネル工事現場のズリでも小さなものは拾ったが、水晶を目的に行くと何も収穫は無かった。

 

 やはり何かの副産物としてでしか採集できないのには問題がある。今後の課題にしたい。

 

 

 

 

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