千代國一氏の「態度と表現」の中に、師である松村英一の歌が紹介されている。

両の手に膝をかかへて寒からず光はながき今日の夕ばえ

過ぎ去りし誰をなげくとあらなくに天道蟲は道の上這ふ

たよりなき眼となりにけり岡のべの一樹暮れつつ花は紅

われのある石をめぐりて行く水の波だつところ夕かげりたり




行きながら心にうつる影のなし山寂然とあなつきの空