別れということに慣れて混迷と歪んだ求愛が鎮まる年月に十年という時間が必要でした。家事と勤労の両立に耐えられず、妻が逝って半年後には退職しました。その頃からアルコールを切らすことができなくなりました。若い時から酒とは永の付き合いでしたが、酒をコントロールするのではなく、酒にコントロールされるといえば、奇異に思われるかもしれませんが、アルコール依存症という病気の実像はそうなのです。これではいけないということで腹を括ったのは私ではなく、子供たちだったのです。底の底から実存を改めるには住んでいる場所を変え、人間関係も変えていくしかない。幸いなことに私の両親は存命なので其処を頼るしかないという結論に達したのです。ネットで精神病院を検索しました。たまたま実家の近くにN病院があり、プログラムに興味が惹かれましたので普通なら入院のところを観察ということで、デイケア・プログラムに通院と相成りました。それからはアルコールの奇妙なパワーが隠してきた様々な病気が表面に出てくるようになりました。2008年12月から5年と8か月。断酒を続けています。糖尿病の発現により食事制限をしています。現在は正常域すれすれのところだそうです。暇を持て余すようになりその対策として、かねて興味のあった短歌と俳句を読みつつ創作することで、ある程度は時間のやりくりにメリハリをつけれるようになりました。
 ですが、決定的に足りないことがあります。それが将来の伴侶を探すことです。あまり面白味の少ないやつで退屈させるかもしれません。米寿を今年迎える父、来年はおふくろがそうです。いつも二人で行動するのを見てこれは学ぶべきことだと理解しました。私も伴侶を得たらそうしたいと思いました。
9月1日月曜日

秋めくと言ひ切ればさもひと夏の短きまでも忘れ玉の緒

9月2日火曜日

憂きことをいづくに収め帰るらん都会のビルに挟まる小径

灰燼と散らぬ瓦礫を鎮めたし死が死とならぬ霊の軽みに

情念の重み虚しく切れ切れの夢を紡ぎつ人を忘れつ

風孕む全きの生と礎 戦場拓く端末の機器

すでにして夏踞り摩利支天秋透き通る白帝城下

誰よりも燥ぐ気はせじ誰よりも悔いてどちらを立つるべきかな

誰にして手梏足枷ひとのみち時の来経れば忘却ならむ

放たるは夢の荒野か駆けゆける季節のわだち思ひ重ねむ

いづれ羞づ倫ならなくて人の口 自由なんぞと思ふべからじ

とりあへず出逢ひし前の形をば同居の人に見せてやらうか

いつとせをいかに生きるかこころ映え緩くもあらば無事を喜ぶ