戦車という呼び方は世界の言語で当然異なる。
自衛隊だって当初は「特車」と呼んでいた。
私の一族は戦車に乗っていた者が多く、大正生まれの祖母は「タンク」と呼んでいた。
そうなのだ戦前は「タンク」と庶民は戦車のことを呼んでいたのだ。
世界で最初に作られた戦車は英国である。
- 英語で戦車のことをTank(タンク)と呼ぶ。
- イギリスで作られた世界最初の戦車は、当初「水運搬車(Water Carrier)」という秘匿名称が付けられていた。戦車開発のために、リヴェンジ級戦艦・ネルソン級戦艦の設計を手掛けたユースタス・テニソン・ダインコートを委員長とした委員会が設置されたが、英国陸軍連絡将校スウィントン大佐が「W.C.(便所)委員会」では都合が悪いと異論を唱えた 。
- そこで「T.S.(Tank Supply=水槽供給)委員会」と呼ぶことにした。
- これによりイギリスでは戦車は通称で「tank タンク」(≒水槽)という言葉で呼ばれるようになり、のちに英語圏での正式名称になった。
- この語源については「戦車を前線に輸送する際に偽装として『ロシア向け水タンク』と呼称した」など諸説あるものの、以後戦車一般の名称として定着した。
- なお、イギリス海軍が開発を主導していたこともあり、英語における戦車用語には海軍由来のものが存在する。(Hull=船体=車体、スポンソン、ハッチ、(エンジン)デッキなど)
- 日本語: 戦車
- もともと戦車という言葉は、中国同様に漢文中の戦車(チャリオット)を意味していたが、日本の歴史では使われたことが無い兵器だった。
- 内燃機関を使った戦車については、1917年(大正6年)の陸軍省調査書において『近迫戦に専用する「タンク」と称するものあり』と記され、1918年(大正7年)に大日本帝国陸軍へ導入された当初は、英語の tank をそのまま音写して「タンク」あるいは装甲車と呼んでいたが、程なくして戦車と呼ばれるようになった。
- はっきりとした時期は定かでないが、1922年(大正11年)発行の論文中に戦車の訳語が登場する。
- また陸軍の会合の席上で、ある大尉が思いつきで「戦車と呼ぶのはどうか」と提案したところ、その場の皆の賛同を得て受けいれられたという話もある。
- 1925年(大正14年)陸軍歩兵学校制作の「歩兵操典草案」では、兵卒向け心得の中で戦車という語を用いつつ「一般にタンクと称する」と説明し、一般向けの冊子と思われる「学校案内」においても、同様な表現を用いている。
- 第二次世界大戦後に発足した警察予備隊(後の自衛隊)は当初、戦車という軍事用語を忌避して「特車」と呼称していたが、1962年(昭和37年)1月からは「戦車」と呼ばれるようになった。
- 中国語: 坦克
- 一方、 中華人民共和国における中国語では「战车」は古代戦車を意味する。
- 近代戦車は tank を音写して「坦克」と呼んでいる。
- ただし中華民国(台湾)では、日本語と同様に「戰車」と呼んでいる。
- 朝鮮語: 전차(チョンチャ/南)または땅크(タンク/北)
- 大韓民国では、日本語と同様に古代戦車・近代戦車ともに「전차(戰車)」の語を用いるが、緊圧茶(磚茶)や電車(電気機関車)も同じ表記である。
- 外来語として英語の tank を音写した語の表記は탱크(テンク)である。
- 北朝鮮では、ロシア語の танк を音写した「땅크」と呼ぶ。
- ドイツ語: Panzer(パンツァー、パンヅァー)
- ドイツ語では Panzerkampfwagen(装甲戦闘車輌)の略称として Panzer(パンツァー)が一般的である。
- 英語上ではPanzerは「ドイツの戦車」全般を意味する語として取り入れられている。
- 元来ドイツ語でPanzer は装甲という意味で、英語の Armour / Armor と同様に、かつては中世騎士などが身につけた金属製の甲冑・鎧を意味した。
- 現代ではPanzerは装甲戦闘車両(戦車)の意味で使われる事が多いので、旧来の鎧はRüstung(武具、武装)と呼んで区別されることが増えた。
- ただし、日本語では装甲戦闘車輌としてのPanzerでも、例えばPanzerdivisionは「戦車師団」ではなく「装甲師団」や「機甲師団」、Panzergrenadierも装甲擲弾兵と訳される。
- また、パンツァーファウスト擲弾発射筒のように原語をそのまま音写するのが一般的な言葉もある。
- 現代のドイツ軍でもパンツァーファウストの名前を受け継いだ後継兵器を使用しており、そのうちパンツァーファウスト3を日本の自衛隊が110mm個人携帯対戦車弾として採用している。
- そのため日本の公文書中にもパンツァーファウストの文字を見て取れる。