私が武生に来るまで触れた事ない音楽との出会いを作ってくれたのがラグタイムのマスター「向當和弘」さん。訃報を聞いたのが10月8日の朝だった。第一報を聞いた時信じられなくて、こんなに早く旅立ってしまわれるなんて悲しすぎて、未だに現実として受け止められない私がいる。


昨夜はそのラグタイムのマスター、通称ラグマスのお通夜に参列したけど、会場には暫く遠ざかっていたジャズのミュージシャン仲間達の顔がいっぱい。一緒にジャズを勉強するために、切磋琢磨して参加していたジャムセッションメンバーの皆さんの姿があった。そして今更だけど改めてラグマスがみんなにどれだけ愛されていたのか、SNSの投稿を見ていてもそれぞれお世話になった皆様が、ラグマスの死に対して思い出を綴っていらっしゃる。誰もがこんなに早くお別れが訪れるなんて、予想出来なかった。


私が2年前に良くお店に通っていた頃、私がお店に行くといつも音楽の話か歴史の話、そして鯖江に住んでいらっしゃるのに、高校時代を過ごした武生という街が大好きでいらっしゃったマスター。最初は寡黙でちょっと怖い印象に見えるけど、暫くお付き合いするとそのお人柄の温かさと優しさが分かる。

ジャズという未知の音楽への興味と出会いを作って下さったのもマスターだった。



そのマスターがまだまだプロとして未熟だった私に、技術面でも人間関係でも叱って下さったりアドバイス頂いたり。叱られる事も多かったなぁ😅

でもその度に、次は褒めてもらえる様に頑張ろって、いつも根性でラグマスと真摯に向き合ってきた。

マスターは私の歌の力もしっかり認めて下さった上で、自分では自分の声ってよく分からないけれど、私の声の1番良い声域は、中音域だとちゃんと分かっていて、その声域を大事にして歌うと良いよ👌と、そんなアドバイスをくださった事もあった。お陰様で、その中音域を生かして無理なく歌う事が出来るカーペンターズの音楽に、気づかせてくれたのもマスターの一言からだったのかも。今週末土曜日はそのカーペンターズだけのプレミアムコンサートを開催する予定だけど、歌いながらきっと、マスターの顔が浮かんでくるんだろうなぁ。



30豪雪の時は身体が辛くてヒーヒーになりながら雪かきされているマスターを発見して、代わりにお店の前の雪かきをお手伝いした事もあった。雪かきし終わって冷えきった私を、マスターがお店の中に呼んで下さり、あったか〜いカフェオレを入れて下さった、あのあたたかいカフェオレの味が未だに忘れられない。



お店の前を通るといつも黄色いマスターの車が停まっていたのに、車はもうない。

思い出の写真を見ていても、もうその姿を見る事も、叱って下さる事も、音楽について熱く語るマスターのお姿も見ることが出来ないのが、本当に寂しい。もっと逢いにいけば良かった。もっと色んな話、したかった。



マスターの育てた沢山のミュージシャン達は、これからもきっと貴方の志を胸に抱いて、それぞれの場所で音楽を奏でていくのだと思います。



今は只々、感謝しかありません

ラグマス、どうか安らかにお休みください🙏

これからも貴方から受け取ったメッセージを心に抱いて、この歌の道を歩いていきます。


たとえどんなに辛く険しい道でも、自分が決めて選んだ道だから





マスターがいなくなったラグタイム、マスターを慕う有志の音楽仲間やご縁の深かった皆さまがお手伝いされて、予定されていた最後のLiveに2年ぶりに行ってきたLive。ラグタイムでの実質最後のLiveに足を運んで来ました。



タケウチフミノ×野村彰浩DUO Live、これが最後のラグタイムでのLiveとなりました。




Liveの最後は、マスターへの祈り🙏を捧げる音楽を奏でてくれました。



いつもカウンターから音響席で横目で、素晴らしいミュージシャン達の演奏をサポートしてくれましたね。この日も確かに、ラグマスの気配がお店にありました。最後のLive、きっと一緒に聴いていたよね、マスター



マスターが愛したラグタイムの音楽空間

この空間で沢山の素晴らしいミュージシャン達が共演されました。私もオリジナル曲「Tanjo Erina」のCD発売記念コンサートで、弥生さんと一緒にこの空間でコンサートをさせて頂きました。懐かしい思い出の詰まった空間



このネオンもマスターのお気に入りだった。このネオンももう灯る事はないのだろうか。武生から大きな音楽の灯火が一つ、消えてしまう



2018年、丹南ジャズで最後に参加者の皆さんと一緒に撮影した思い出写真☺️



マスターお気に入りのミュージシャン、山田貴子さんのトリオのコンサート後の写真



私がジャズを始めて人前で歌ったときの蔵の辻Live



ジャムセッションメンバーの皆様と一緒にセッションしていた頃、いろんな曲にトライしていたなぁ



私がマスターの写真でお気に入りの一枚、天国から今のマスターなら、私に何とお声掛けしてくれたんだろう。これからも歌の世界で、あなたから教わった事を胸に、頑張っていきます