夜明け グローバル(提供 photoAC)

 

 

教育活動には種々の態様があります。また,一つひとつの教育活動には,それぞれの教育的意義及び目的/目標とされる効果等があります。しかし,遺憾ながら,それらの意義や教育効果の目標化などは,日々の教育実践の中で忘れられがちです。

そこで,具体的な教育場面を取り上げ,種々の教育活動の根底にある教育的意義や目標化されるべき教育効果などを再確認するため(下位目的),本カテゴリーに当塾の塾長による教育実践に根付いたショートブログを書き下ろすことにいたしました。その上位目的は,次のとおりです。

〈乳幼児・児童・生徒の未来に羽搏く成長〉に資する教育実践の創造

日々の真摯な教育実践の参考としていただければ幸甚です。また,教員採用候補者選考の「場面指導」にもお役立てください。

 

 


 

 

業 務 内 容
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 ※対象 高校生
  〇 探究的な学習及び小論文作成等による〈言語能力〉及び〈言語運用能力〉の育成
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他者」と〈新しい文化〉を〈共創造(co-creation)〉する能力を鍛える!!
 
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チェック教育セミナーの開催
  〇 種々のお悩みや教育論を織り交ぜたテーマを設定
     ➡ 〈理論〉と〈実践〉とを交えた内容で分かりやすい!!
 

チェックBlog,Twitter,Facebook及びホームページなどによる教育論の発信

  〇 〈教育学〉と〈心理学〉などの視点から,育児・家庭療育・学校教育等について熱く語ります
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皆さん,こんにちは(おはようございます/こんばんは)。
生きる自分への自信を持たせる「鍛地頭-tanjito-」塾長の小桝雅典です。

 

 

目次 

0 プロローグ(執筆の動機)
1 「社会に開かれた教育課程」とその成立の背景
 (1) 「社会に開かれた教育課程」とは
 (2) 「社会に開かれた教育課程」成立の背景(概要)
2 「社会に開かれた教育課程」と〈知創造(Knowledge Creation)〉
 (1) ①について
 (2) ②について
 (3) ③について
3 「社会に開かれた教育課程」と〈知創造(Knowledge Creation)〉
4 エピローグ
〔付記〕 LINE Openchatの開設について

 

 

 

0 プロローグ(執筆の動機)

 

今回のテーマ(話材)である「社会に開かれた教育課程」は新学習指導要領の基本理念です。したがって,各地方自治体の教員採用候補者選考においてよく出題されています。

何が重要かと述べれば,出題されている「事実」ではなく,この基本理念が構造化された背景を理解することと基本理念を通して現代,あるいは,これからの時代を生き抜いていく我々に必要な〈知〉の在り方を考究することが重要なのです。教員採用候補者選考の受験主体は「社会に開かれた教育課程」関連の虫食い問題における解答を丸暗記するだけではなく,この*基本理念の背景,基本理念そのものの理解に努め,さらに基本理念の先にブラインドの状態で我々の探究を待っている〈知〉の在り方を模索することが大切です。そのような学習を行えば,虫食い問題が全て虫に喰われていても,解答は可能なはずです。

教員採用候補者選考の受験主体だけではなく,現代,あるいは,これからの時代を生き抜いていく全ての我々にとっても,上述の営為(下線部*)は重要です。なぜならば,特に「〈知〉の在り方の考究→構造化」はこれからの予測困難な時代を自らが生き抜いていく上において必須だからです。また,言わずもがな,「〈知〉の在り方の考究→構造化」は次代を担うこどもたちにとっても重要で,「考究→構造化」する資質・能力を含め,これからの〈新しい教育〉が希求する営為であることを万人が理解しておくことが必要だからです。

これからの学校(教育)は閉ざされた非日常的な空間(=「知」)としての「学びの場」では成り立ちません。そこで〈生きて働く知〉は生産されないからです。「学級王国」など悠長に構え/批判している場合ではない,そのような世の趨勢ではないのです。〈新しい時代〉の〈新しい教育〉による〈新しい学校知〉は万人に了解された〈知〉として社会に開かれていかなければなりません。社会の様々な人的・物的資源とつながり,社会(世界)と〈新しい価値〉を〈共創造(co-creation)〉できる〈学校知〉でなくてはならないのです。そうした資質・能力がこどもにも,大人にも求められているのです。

「社会に開かれた教育課程」は教員採用候補者選考の受験主体にだけ必要なもので,だから我関せずと一瞥で打ち捨てるのではなく,これからの時代を生き抜く全ての人々にとって重要かつ必要であるとの認識を持っていただくために,本ブログ行為を営んだわけなのです。その上で,だからこそ,教員採用候補者選考でも出題されていると善意に考えたいのです。

 

 

緑と地球(提供 photoAC)

 

 

1 「社会に開かれた教育課程」とその成立の背景

 

ここでは,「社会に開かれた教育課程」とその成立の背景を簡易にまとめておきます。

その前に,「社会に開かれた教育課程」とはどのような思考の構造体を指して言うのか。引用を中心に紹介しておきます。教員採用候補者選考の受験主体にとっては必読の箇所です。

 

(1) 「社会に開かれた教育課程」とは

 

「社会に開かれた教育課程」のポイント

よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な教育内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを明確にしながら,社会との連携・協働によりその実現を図っていく。

「これからの教育課程の理念」(文部科学省,「新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ- 1.今回の改訂と社会の構造的変化-社会に開かれた教育課程の実現-」,p.11)

 

  1. 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ,よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち,教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
  2. これからの社会を創り出していく子供たちが,社会や世界に向き合い関わり合い,自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを,教育課程において明確化し育んでいくこと。
  3. 教育課程の実施に当たって,地域の人的・物的資源を活用したり,放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし,学校教育を学校内に閉じずに,その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。

    「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)【概要】」(「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号)」,文部科学省,初等中等教育局教育課程課,登録:平成28年12月,pp.4-5)「これからの教育課程の理念」(文部科学省,「新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ- 1.今回の改訂と社会の構造的変化-社会に開かれた教育課程の実現-」,p.11)※ 引用文中の赤字は後者のまま。

 

次に,このような思考の構造体が表象化された時代的な背景を簡単にまとめておきます。

 

 

(2) 「社会に開かれた教育課程」成立の背景(概要)

 

現代は,そして近未来の時代は,一言で言えば,「予測困難な時代」です。換言すれば,ポストモダン終焉期にある現代は「小さな価値観」さえ喪失し,自我中心主義(≒エゴイズム(egoism))が蔓延した時代であり,他者との〈共創造(co-creation)〉による〈高次の文化〉が創造され難い/一部の人間しか創造しない時代と言えます。一方で,文化・文明は西洋思想(物心二元論)から東洋思想(物心一元論)に変移しようとする過渡期にあります。これらが相俟って,こうした世界規模の時代性は「予測困難」と述ぶよりも,寧ろ「混沌(Chaos)」や「アパシー(apathy)」1)と断言した方が正鵠を射ているのだと思います。

 

 

【「小さな価値観」に関する当塾のブログです。参考にしてください。】

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ,巷間で「予測困難」と言及される理由(要因)は,次の点にあります。数多くの教員採用候補者選考の受験主体がお持ちであろう『教育の最新事情がよくわかる本2020』(教育開発研究所編,教育開発研究所,2019.10,p.28(明星大学 吉冨芳正),以後「A」と表記)から引用し,筆者が箇条書きに改めます。

 

 

  1. 新しい知識・情報・技術が高い価値をもつ知識基盤社会の到来
  2. グローバル化の進展
  3. 人工知能(AI)の急速な進化
  4. 環境問題の深刻化
  5. 持続可能な社会づくりへの要請
  6. 少子高齢化
  7. 貧富の格差の問題
 
「こうした状況を見据えたとき,社会の変化に受け身に対応するのではなく,より良い人生や社会を私たち自らが創り出していく必要」(前掲書A,p.28)があるのです。このような趨勢から「予測困難な時代に,一人一人が未来の創り手となる」(中央教育審議会,「幼稚園,小学校,中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」(平成28年12月21日))ために,中教審は次のように考えています。孫引きになりますが, 「これからの教育課程の理念」(文部科学省,「新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ- 1.今回の改訂と社会の構造的変化-社会に開かれた教育課程の実現-」,pp.9-10)から引用します。教員採用候補者選考の受験主体にこの資料を見ていただきたいので。

 

○…近年顕著となってきているのは,知識・情報・技術をめぐる変化の早さが加速度的となり,情報化やグローバル化といった社会的変化が,人間の予測を超えて進展するようになってきていることである。
○ 人工知能がいかに進化しようとも,それが行っているのは与えられた目的の中での処理である。一方で人間は,感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すことができる。多様な文脈が複雑に入り交じった環境の中でも,場面や状況を理解して自ら目的を設定し,その目的に応じて必要な情報を見いだし,情報を基に深く理解して自分の考えをまとめたり相手にふさわしい表現を工夫したり,答えのない課題に対して,多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解を見いだしたりすることができるという強みを持っている。
○ このために必要な力を成長の中で育んでいるのが,人間の学習である。…新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け,子供たち一人一人が,予測できない変化に受け身で対処するのではなく,主体的に向き合って関わり合い,その過程を通して,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。
○ …社会や産業の構造が変化し,質的な豊かさが成長を支える成熟社会に移行していく中で,特定の既存組織のこれまでの在り方を前提としてどのように生きるかだけではなく,様々な情報や出来事を受け止め,主体的に判断しながら,自分を社会の中でどのように位置付け,社会をどう描くかを考え,他者と一緒に生き,課題を解決していくための力の育成が社会的な要請となっている。
○ こうした力の育成は,学校教育が長年「生きる力」の育成として目標としてきたものであり,…今は正に,学校と社会とが認識を共有し,相互に連携することができる好機にあると言える。

 

註:赤色の太字は筆者による。赤色のアンダーラインは原文のまま。

 

このように考えてくると,従来型の「学校知」(=敢えて述べるならば,日常の空間(=生活)で生かされることが寡少な非日常的空間(=非日常性)でのみ通用する「知」)では,所詮,現代やこれからの〈新しい時代〉を創造できない/生き抜けないことは明白なのです。ですから,余談ですが,教員採用候補者選考を含め,大学入試を初めとする諸入試の在り方を早急に検討・改善すべきなのです。特に,従来型の「学校知」だけを身に付けた,また従来型の「学校知」しか身に付ける方法を体得していない教職員の存続は,未来のある乳幼児・児童・生徒たちに従来型の「学校知」だけを身に付けさせることしかできず,彼ら/彼女らや今後の社会形成に大きなマイナスとなるのです。

 

○…解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり,定められた手続を効率的にこなしたりすることにとどまらず,直面する様々な変化を柔軟に受け止め,感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え,主体的に学び続けて自ら能力を引き出し,自分なりに試行錯誤したり,多様な他者と協働したりして,新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け,子供たち一人一人が,予測できない変化に受け身で対処するのではなく,主体的に向き合って関わり合い,その過程を通して,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。

「予測困難な時代に、一人一人が未来の創り手となる」(文部科学省 日本ユネスコ国内委員会,中央教育審議会 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申) 持続可能な社会づくりに関連する記載(抜粋) 第1部 学習指導要領改訂の基本的な方向性 第2章 2030年の社会と子供たちの未来,登録:平成30年08月,下線及び赤色の太字は筆者による。)

 

だからこそ,学校の教育課程が見直されるわけです。所謂従来型の「閉ざされた教育課程」では社会・世界の接合点とならないのですから。ただ,確かに,学校の非日常性(=非日常的空間)が即座に日常性(=日常的空間)に同化することは不可能だと思います。したがって, 学校の教育課程は,まずは,少なくとも,社会・世界との接合点にならないといけないのだと考えるのです。乳幼児・児童・生徒が「主体的に学び,〈新しい時代〉を創造し豊かに生きていく資質・能力」(前掲書A,p.29)を育成するために。

 

 

2 「社会に開かれた教育課程」と〈知創造(Knowledge Creation)〉

 

 

さて,本ブログの本論はここからです。

続きは「社会に開かれた教育課程と〈知創造(Knowledge Creation)〉について」(小桝雅典,BLOG「鍛地頭-tanjito-」,2019.10.30)からどうぞ。

 

 

【References】


1:「一般には社会学における概念で,社会現象や社会そのものに対し無関心になってしまい,自己を取巻く日常的な事柄にしか興味をもたない,社会的無関心,政治的無関心を意味する。心理学的には自己の生活や自分にも興味をもたない,極端に無関心な虚無的な意識をさすが,社会学的もしくは政治学的概念として用いられる場合が多い。政治的無関心と同義に用いられる場合もあるが,その場合には,政治の世界から自己が疎外されていると感じている「政治的疎外感」や,政治に自分が影響力をもたないと感じてしまう政治的無力感,または「政治的有効性感覚」の欠如とも類似した概念となる。」(コトバンク:アパシー(英語表記)apathy,アパシー apathy,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説,出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

 

 

 

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