先日,「これは!!」というFacebookの記事に邂逅し拝読しました。それは,しみずよしみさんが投稿されていた「家族で取り組む家事当番表」の記事です。記事内の「みんなのおうち」という表現にもグッと心を摑まれました。こどもの成長を願い,〈家族みんなのいえ〉の在り方について,お手伝いを通した実践と考察を試みました。
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生きる自分への自信を持たせる「鍛地頭-tanjito-」副塾長の住本小夜子です。
先日,「これは!!」というFacebookの記事に邂逅かいこうし,拝読しました。それは,しみずよしみさんが投稿されていた,「家族で取り組む家事当番表」1)を紹介されている記事です。記事内に記述されていた「みんなのおうち」という表現にもグッと心を摑まれました。
すぐさま,記事にコメントをさせていただき,我が家に取り入れたい旨を伝えました。早々に,しみずさんから快諾のお返事をいただき,衷心より感謝申し上げます。
というわけで,さっそく我が家の「お手伝い当番表」を作成し取り組んでみました。
「お手伝い当番表」を作成する目的は次のとおりです。
その目的を達成するために,つぎのような目標を立てました。
最近,課題はまだたくさんあるのですが,息子(軽度自閉スペクトラム症)が落ち着いてきており,娘も(ある程度)正しい方法で自己主張ができるようになってきた現状があります。これまで育児をめぐってバタバタ,ギスギスしていた家族関係をさらに改善・発展させる好機が漸ようやくやってきたといった直感が私の全身に巡っていたのです。
「この機を逸してはならない。」
これが「お手伝い当番表」を作成しようと思った最たる動機でした。
また一方で,息子の特性からなかなか(本人も家族も)思うように整理整頓ができない状況は続いています。
「整理整頓を目標にして,これを媒介とすることにより家族の絆を一層堅固にできないか。」
とも考えたのです。
そこで,早速,我が家への「お手伝い当番表」導入に向けて,作成のための準備に取り掛かることにしたのです。
この取り組みについては,事前にこどもたちに説明し,それぞれができることは何かを話し合いました。そして,どのように分担するのかも母子で話し合った上で決め,8月1日(木)から実施することにしたのです。
そうして出来た「お手伝い当番表」がこちら↓↓
【出来上がった「お手伝い当番表」】
一つ一つのお手伝いを丁寧に取り組めるように,お手伝いの種類は多くしませんでした。あれもこれもと多くなってしまうと,「終わらせる」ことに集中してしまうので,全てが中途半端になることを避けたかったからです。さらに,いつも率先して子どもたちが行ってくれるお手伝いに加え,これまで私だけが行ってきた家事も加えてみました。将来の自立のためです。
この「お手伝い当番表」とともに,夏休み限定版のトークンシステムの目標も修正。3つの目標を見直すとともに,母子ともに共通した目標として,新たな取り組み(「とうばん表(ひょう)」)を追加しました。
【夏休み特別版のトークンシステム】
そして,新たな親子スキンシップも導入することにしました。
SNSなどで何度か拝見したことがある動画。 その動画とは,外国の小学校で,朝,児童が教室入り口の壁に貼られたイラストをタッチ。選んだイラストに描かれているスキンシップを担任の先生と行うというものです。
いつもグズグズと起きてくる娘に対し,少しでも楽しく起きられる方法はないものかと試行錯誤していました。そんなある日,「セレンディピティ(serendipity)」2)が起きたのです。それはこの動画との出逢いでした。
「家庭でこれを実践したらどのような効果があるのだろう。」
「思い立ったが吉日」
これも導入してみることにしたのです。
「自分で選択するコミュニケーションツールを利用したスキンシップなら,楽しく起きることができるのではないか? 尚且つ,寝る前に取り入れることで1日の締めくくりのスキンシップになるのではないか?」
そこで,我が家では4つの選択肢を設定することにしました。
【起床.就寝時のスキンシップに使用するイラスト】
7月31日(水)の就寝前,
「明日の朝から,こんなことをします。」
とイラストを持って子供部屋に行きました。この取り組みを説明し,練習を行ってみました。
まずは娘から。娘が選んだのは「髭ダンス」です。(笑)
「娘が選ぶのは,これだろうな。」と予想はしていました。見事に当たりましたね。
母子共々満面の笑顔で髭ダンスを楽しみました。
次は息子です。息子が選んだのは「くすぐり」です。これも,予想通りでした。布団の上を大声を出して笑いながらコロコロ転がり逃げ回るのです。
ほんの30秒程度のスキンシップですが,終えるタイミングで「ピシッ!!」と号令を掛けます。その号令を合図に,家族全員でキリっと「気を付け」をします。こどもと私とが姿勢よく向かい合って立ち,「おやすみなさい」とゆっくりとあいさつを交わし,2人のこどもたちは一人ずつ布団に入っていきます。いつもなら,布団に入ってもダラダラと,なかなか寝付かなかったこどもたちが,ものの数分で寝息を立てるようになったのです。
仕事がかなり忙しくなり,スペシャルタイム3)がなかなかできない状況でしたので,それに代わるものを見つけられて良かったと思っています。今後,息子と娘それぞれの様子を見ながら,選択肢を増やしていく,または,変更していこうと考えています。
令和元年8月1日(木)
いつも通りに目が覚めた私は,ラジオ体操に参加する息子を起こします。
「昨日の夜にやったように,絵を見て何をするか選んでおいで☆」
そう言い残し,先に布団から出た私。すると,いつもはダラダラ起きてくる息子が「これやる!!」と近づいてきたのです。息子が選んだのは,やはり「くすぐり」でした。(笑)
起床時も就寝時と同じように,スキンシップを終えると同時に「ピシッ!!」と号令を掛け,「気を付け」をし,お互いに姿勢よく向かい合って「おはようございます!!」とあいさつを交わします。この行動によって,副交感神経から交感神経に切り換わった(ように見える(笑))息子は,さっと着替え・歯磨きなどの準備ができたのです。そして,母子でゆったりとラジオ体操に向かったのです。
娘はというと,これまで通りグズグズしていて,スキンシップができる状態ではありませんでした。しかし,娘なりに準備を一通り終えると私の許もとにやってきて,
「母ちゃん,昨日の夜にしたやつはせんのん(しないの)?」
と訊きいてきたのです。そこで私は,
「あれは,布団から出てきて「おはようございます」という時に一緒にやります。」
と説明。すこし残念そうな表情を浮かべた娘でしたが,
「分かった! 明日からする!」
と少し気持ちを切り替えることができたようでした。
さあ,朝の支度を終えると,いよいよお手伝いお当番さんの始まりです。
実は,「お手伝い当番表」を始めようと思った背景に,「夏休みに伴う生活リズムのズレ」がありました。起床時間は同じでも,朝,一緒にいる時間が長くなり,この時間を持て余している状態だったのです。夏休みの宿題(ドリル系)は終わっているし,ただダラダラと過ごすのではなく,有意義に時間を過ごせないものかと考えていたところで,しみずよしみさんが投稿された記事4)を目にしたのです。
また,これまで「家事は保護者が主体で行うもの」という気持ちが私の心底にありました。したがって,こどもたちにお手伝いはしてもらいながらも,実質,ほぼすべてを私が行っていたのです。仕事と家事との両立は思っていた以上にハードです。この機会に,こどもたちの成長を視野に入れた家事の分担をしてみようと考えたのです。
拝見した記事の中に記述されてあった「みんなのいえ」という表現(発想)。私は,この表現(発想)に衝撃を受けました。家庭内でそれぞれが孤立して過ごしているわけではなく,共同の下もと過ごしているのだから,今この場所(住居)は「(家族)みんなのいえ」なのです。
「何を今更分かり切ったことを言っているのだ!?」
と思われる方がおいでかもしれません。しかし,(2人のこどもには申し訳ないのですが,)息子と娘,それぞれを一人格として見つめる(尊ぶ)感性が,私には希薄であったことに気づいたのです。そうではないと思っていたのです。ですが,
「こどもは私にとってはいつまでもこども。」
こうした感覚が抜け切れていなかったのではないのかと。勿論,こどもたちと私との関係性は「こども―保護者(親)」に間違いありません。ですから,いつまで経っても,その関係性は変わらない。しかし,そこに〈所有意識〉が働いていたら。
こどもたちは私の「所有物」になってしまうのです。
そのような無意識の中では,塾長がよく口にする〈個の尊厳(dignity)〉が欠落しているのではないかと思うのです。したがって,「家」も私だけの「所有物」。そこに住まわせているこどもたち。こうした無意識が生産されているのではないのかと。
この無意識に気づいたとき,息子,娘,そして私の3人の家は「みんなの〈いえ〉」になったのだと思うのです。
これらの思いをこどもたちに分かりやすいように,苦労しながら説明し,
「これまでは母ちゃんが全部やっていたけれど,これからはみんなで協力してやりましょう。」
と締めくくったのです。
「わかった~!!」
と張り切った返事が返ってきたことに,なぜか安堵した私がありました。
「こどもたちの前向きな気持ちを失わせることのないよう,今後,私がどのようにかかわっていかなければならないのか。」
また,大きな課題が立ち塞がりました。
さて,職場で塾長にこの当番表の取り組みについて話し,表を見ていただきました。すると…。
と助言してくださったのです。評価の考え方や具体的な方法など,とても納得のいくアイデアを提供していただいたので,さっそく改善していこうと思っています。改善した当番表については,また後日,記事にしたいと思いますのでお楽しみに☆
こどもたちの発達に応じたお手伝いと,先を見据えたチャレンジのできるお手伝い。こどもたちの様子をしっかりと見極めながら,この取り組みが母子の新たな成長につながればと祈ります。
© 2019 「鍛地頭-tanjito-」
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