発達支援のポイントはこどもの「個」の特性を把握することにあります。関係諸機関とも連携を図りながら,まずは保護者がしっかりとその特性を把握することが大切です。その特性も成長の時間軸に沿って変化しますから,その時,その場で必要な支援を行う必要があるわけです。そこで,今回,我が家ではペアレント・トレーニングを採用してみました。

 

 


 

 

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生きる自分への自信を持たせる「鍛地頭-tanjito-」副塾長の住本小夜子です。

 

我が家の「家庭療育」について,新たな展開がありました。

こどもも保護者も一緒に楽しく成長でき,「自己有用感」 に裏付けられた「セルフ・エスティーム(自尊感情)」を高められる取り組みの参考にしていただければ幸甚です。

 


 

小学2年生の息子(軽度自閉スペクトラム症)の今年度の目標は,

  1. (文)字をていねいに書く
  2. (例えば,他者との関係性を考えず,自らを優先した)自己欲求を満たす前に,やるべきこと(宿題など)を先に済ませる

これら2点です。

目標に関しては,担任の先生や通級の先生と相談しながら,本人を交えて決めました。家庭-学校-通級-放課後等デイサービス,そして6月から新たに通い始めた学童で連携し,取り組んでいます。

しかし,現実的な日々の目標達成はなかなかうまくいきませんでした…。
そこで私は,ふと目にした画像をヒントに新たなシステムを導入することにしたのです。

 

目次
1 新たな刺激が必要
2 それはそれ,これはこれ
3 CCQによる指示
4 兄妹で一緒に取り組む

5 新たなトークンシステムを活用した「自己評価」・「他者評価」の効果
6 次のステップに向かって

 

 

1 新たな刺激が必要

 

春休み中,文字をきれいに(丁寧に)書けるように練習するため,息子の興味をそそるようなテキストやワークブック等がないかと,近くの書店を訪ねました。しかし,そこに置いてあったものは,学校で使用しているドリルがほとんどで,私は「同じものをやっても,息子は関心を示さず,楽しいとは思わない。」と頭を抱えていたのでした。

そのような折,ふと目を引いた背文字。「なぞらずにうまくなる………」 この練習帳を手に取りペラペラと中身を一瞥,「これだ!!」と思うや否や,私はレジに並んでいたのです。

 

 

『なぞらずにうまくなる 子どものひらがな練習帳』(著者/編集:桂聖,永田紗戀,実務教育出版,2012.8)

 

 

ページをめくると文字が大きく表示されており,イラストなども入っていて,「止め」「はね」「はらい」や「角度」「ふくらみ」といった(文字をきれいに(丁寧に)書くための)技術がストーリーで表現されているので,字形がとてもわかりやすいのです!!
 

 


この練習帳に取り組み始めてすぐ,効果は表れました。なぜならば,ストーリー性をもってひらがなを練習できるという行為は息子にとって「新しい刺激」であり,読書好きな息子にとって,本を読む感覚でひらがなをきれいに(丁寧に)書く書き方を学習できるという〈学びの楽しさ〉があったからです。

注:飽くまでも,息子の場合の効果であって,すべての神経発達症(自閉スペクトラム症等)のお子様にストーリー性をもった書き方が適合するとは述べておりません。一人ひとりのお子様の特性に合ったひらがなの練習があるでしょうし,(関係機関との連携を図りながら,)お子様の特性に合った学習方法を,お子様と共に模索していくのが保護者の役割だと考えます。

ところが!! そう簡単にすべてがうまくいくことはありませんでした…。
次なる課題が発生したのです。

 

 

 

2 それはそれ,これはこれ


春休み中という短い期間で,ひらがなすべての書き方のコツをストーリーで覚えた息子(特性の一つに,特定のものに対する記憶力の良さがあります)。ですが,記憶しただけでは日常生活の文脈(コンテクスト)の中で,実際にきれいに(丁寧に)書くことはできないので,学校の宿題に加え,「母ちゃん宿題」として,毎日,ひらがな10種類×12文字分をノートに書くという課題を与えてみました。

記憶(インプット)したもの(情報)を如何に(活用して)日常の文脈(コンテクスト)の中で表現(アウトプット)させるか――定型/非定型にかかわらず,大人も含めて,現代,特に必要とされる能力であり,新学習指導要領の根底を為す考え方でもあります。また,記憶(インプット)したもの(情報)を繰り返し表現(アウトプット)することによって,脳内における記憶は短期記憶から長期記憶へと変貌し,(真の)知識として定着していきます。――その訓練(トレーニング)をさせる必要があると考えたのです。ベストは日常の文脈(コンテクスト)の中で,ストーリーで覚えたひらがなをより必然性をもって活用できる場があること/保護者等がそうした場を設定することです。内発的な動機でもって活用できる場に(こどもが)臨む方が自分のものになりやすいのですが,「内発的動機付けの前段階としての(短期間の)外発的動機付け」と位置付け,今回は課題を提示してみたのです。

当初,息子は「母ちゃん宿題」の提案を私が行った際,難色を示したのですが,当該の練習帳に付いていた帯(上掲の写真を参照)を見せ,「毎日練習すれば,3か月後にはこのようにきれいに書けるようになるんだって。」と掛けたことばが契機となって,「母ちゃん,ぼく,やってみる!!」と息子は意欲をもって課題に臨む態度を示すようになったのです。

それ以来,「母ちゃん宿題」に取り組んでいる息子のノートを覗いては,「この字はきれいだね,良く書けているね。」とか,「この字はこの「はね」をこんな感じにしたら,もっときれいに書けるんじゃない?」とか,所謂学校教育で言うところの「形成的評価(≒学習の途中で行う評価)」を入れながら,毎回,宿題が終了したところでは,その回,息子が書いたすべてのひらがなを点検し,良いところは褒め,直すべきところは助言する(「総括的評価(≒学習の最後に全体を通じて行う評価」)という過程を繰り返したのです。

 

 


「母ちゃん宿題」ノート

 

 

ところが,「母ちゃん宿題」は息子にすれば丁寧な――まだ,本当のところは「きれい」とは言い難いのですが,――文字で書いているのに対して,学校の宿題や連絡帳に書いてある文字は読むのですら困難な状態のままでした。定型のお子様ならば,「母ちゃん宿題」できれいに(丁寧に)ひらがなを書く練習をしているのだから,その他の宿題ノートや連絡帳もきれいに(丁寧に)書かないといけない。」と考えられるのでしょうが,息子はそうはいきません。「「母ちゃん宿題」はきれいに(丁寧に)書こう!」と激励すれば,「母ちゃん宿題」だけはきれいに(丁寧に)書こうと考え(情報処理をし)て,それだけでミッションはコンプリートしてしまうのです。これが息子の特性なのです。それでも「どのノートも,きれいに書けるコツを思い出しながら,ゆっくり丁寧に書いてみよう!」とその都度指導するのですが,何度やっても「母ちゃん宿題」以外は,乱れた文字になってしまうのです。それは,息子自身が「宿題ノートや連絡帳の文字もきれいに(丁寧に)書かなければならないのだ。」と納得していないことが原因と考えられます。

 

 

宿題(漢字ドリルのノート)

 

 

特に,宿題ノートは日によって, 「できる・できない ( 自閉スペクトラム症の特性) 」の差が激しく,それに比例するように文字のきれいさ(丁寧さ)も変化します。そこには,その時の心の安定具合が大きく関連していると思われます。学校で息子の身に起きた出来事にも左右されますし,学校から帰宅して後の息子の言動に対する私の指示の出し方でもそうです。そこで私は,まずは,息子に対する私の指示の出し方を変えてみようと考え,次なる策を打つことにしたのです。

 

 

3 CCQによる指示

 

CCQとは,Calm(穏やかに),Close(近づいて),Quiet(静かに)のことです。これは,ペアレント・トレーニングの技法の一つである「効果的な指示の出し方」に用いられています。

本題に入る前に,ペアレント・トレーニングについての説明を引用しておきます。

 

 

ペアレントトレーニング: 発達障害者の親が自分の子どもの行動を理解したり、発達障害の特性をふまえた褒め方やしかり方を学ぶ<ママ>ための支援。

 

発達障害者支援施策の概要,厚生労働省

 

このペアレント・トレーニング・プログラムの基本理念と枠組みは,米国マサチューセッツ大学のバークレー博士(R.A.Barkley )の研究と,カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でフランク博士(F.Franke)の指導のもと1983年からペアレント・トレーニングを実施しているウィッタム女史(C.Whitham)のプログラムを参考にして国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部のチームによって作成されたものです。日本の家族に適用しやすいように,児童の発達にかかわる相談や療育の機関で実施しやすいようにと意図して作成したプログラムです。
 

『こうすればうまくいく 発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル』,監修 上林靖子,編集 北道子・河内美恵・藤井和子,中央法規出版株式会社,2009年4月 ,p.1…a

 

 

 

一般的に,このトレーニングの対象者は「発達障害を持つこども」だけと思われがちですが,決してそうではありません。「特別支援教育」(療育)こそ,すべてのこどもに必要な教育なのです。ペアレント・トレーニングはそのフィールドにあるトレーニングと言えます。

 

 

特別支援教育を推進していくことは、子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援を行うものであり、この観点から教育を進めていくことにより、障害のある子どもにも、障害があることが周囲から認識されていないものの学習上又は生活上の困難のある子どもにも、更にはすべての子どもにとっても、良い効果をもたらすことができるものと考えられる。
 

 

 

このプログラム(筆者注:「 ペアレント・トレーニング・プログラム 」のこと)は,子どもの行動に注目し,よりよいコミュニケーションを通して子どもが適切な行動をとれるように援助するためのものなのです。ですから子どもに障害や問題行動がなくても育児不安を抱える保護者など,子育て全般に適応できるものとなっています。

前掲書a,p. 10

 

 

このように,特別支援教育は神経発達症(発達障害)の有無にかかわらず,すべてのこどもの心身の成長にとても重要な教育だと言えるのです。したがって,我が家では息子だけではなく,娘(4才)にも特別支援教育を援用したアプローチを行っています。

 


 

では本題に戻ります。

私は,このペアレント・トレーニングを参考に,息子への指示の出し方を変えてみました。方法は以下のとおりです。
 

 

 

一部ではありますが,CCQの効果を実感した私は,息子への指示出しについては,当面,この方法を試みてみようと決めたのです。

 

 

4 兄妹で一緒に取り組む

 

文字をきれいに(丁寧に)書く認識を持たせるため,「文字はゆっくりていねいに書きます。」と息子に指示してきました。「文字を見れば,その人がどのような人なのか分かる」ときれいに(丁寧に)書く理由も説明しました。急に,何もかもうまくいくことはないので,目標に取り組む息子も,指示を出す私も忍耐の日々です。

小学2年生に進級してすぐに設けていただいた面談で,家庭で息子の連絡帳を確認する際に,私も一緒に丸つけやご褒美スタンプを押すことができるよう担任の先生にお願いしました。しかし,あまり効果が見られず,何かもう一工夫必要だなと思っていました。

そんな時,ふと思い出したのが「野々内あんざんそろばんスクール」さんのFacebookへの投稿です。塾長の野々内由香利さんは, 塾生に月1回のご褒美として教室にガチャガチャを設置されているのです。

 

筆者注:野々内由香利様からは,そのご実践を本ブログ記事に掲載させていただく旨のご諒解を賜っております。
    この場をお借りして,厚くお礼申し上げます。

 

 

これなら,息子だけではなく娘も一緒に取り組むことができる!! 是非ともこのシステムを我が家に導入しようとガチャガチャを購入し,加えて,ご褒美シールノートも購入しました。そして,こどもたちと一緒にそれぞれ目標を3つ考え,また新たなトークンシステムに取り組む準備を整えました。

 

 

息子と娘の目標(トークンシステム)

 

 

ご褒美シールノート

 

 

自宅用に購入したガチャガチャ

 


 

次回,「新たなトークンシステムを活用した効果」及び「次のステップに向かっての取り組み」等を【後編】で記述いたします。お楽しみに!!

 

 

© 2019 「鍛地頭-tanjito-」

 

 

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