【PROLOGUE】

「The パクるな!!」の第6弾。教師に求められるオリジナリティーーそれは全ての人々にとってのオリジナリティーでもあります。ーを探し求め,今回はその根底となる概念「オリジナリティーを創造する視点形成の在り方」を当塾なりに論じます。愈々,C・オットー・シャーマーの「U理論」を援用した当塾独自のオリジナリティー形成論に向け,第1歩を踏み出しますので,是非ご一読ください。

 

 

 

生きる自分への自信を持たせる
「鍛地頭-tanjito-」

 

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生きる自分への自信を持たせる

「鍛地頭-tanjito-」塾長の小桝雅典です。

 

今回のブログは,「The パクるな!!」シリーズの第6弾の位置付けとなります。第5弾から109日間が経過したこともあって,ここで改めて本シリーズの目的を確認しておこうと思います。

 

 

【「The パクるな!!」シリーズ】

 

 

本シリーズの目的は新しい時代の教師に求められるオリジナリティーを希求することにあります。ただし,その行為は来たる一元論的トランスモダンの〈新たな時代〉を生きる全ての「個」に求められる営為でもあります。

 

と,このように述べるのは,〈個〉のオリジナリティーを希求することは,ポストモダンの,殊に終焉期に数多くの「個」が喪失した/しかけた「尊厳(dignity)」を回復することだからです。

 

〈個の尊厳(dignity)〉の復権の一方途は,複雑に絡み合った社会的コンテクストを「システム思考」で解きほぐすことから始まります。そのためには,現存する「個」の,あるいは「コミュニティ」の「視点」を〈相対化〉し,トランス(超越)する必要があるのです。

 

そこで,今回のブログでは,C・オットー・シャーマーの「U理論」を援用し,「オリジナリティーを創造する(=〈個の尊厳(dignity)〉を復権する)視点形成の在り方」を当塾なりに論じてみたいと思います。

 

 

目 次

(2) オリジナリティーを創造する視点形成の在り方
【追記】

 

 

 

(2) オリジナリティーを創造する視点形成の在り方

 

本ブログに先立って投稿している当塾のブログに,次のものがあります。


Aのブログでは「傾聴」の,Bのブログでは「視点形成」の重要性について,それぞれ指摘したところです。そして,今回,私は「傾聴―視点形成」間の連関性について,その重要性を指摘しなければなりません。しかも,そのことは,「システム思考」を促進する上においても,「語りの構造読み」(前掲ブログBを参照)を導入・駆使した国語科授業を推進するためにおいても必要であることを重ねて指摘しておかなければならないのです。

 

 

【関連】

 

 

それでは,早速ですが,「傾聴―視点形成」間の連関性について, C・オットー・シャーマーの「U理論」を援用しながら,「鍛地頭-tanjito-」の考えをつぶやくことにいたします。


【参考文献】

『U理論 過去や偏見にとらわれず,本当に必要な「変化」を生み出す技術』(C・オットー・シャーマー著,中土井僚・由佐美加子訳,英治出版,2010.11)…D
※ 私の愛読書の中の一冊です。


前掲書Dに「患者と医師の対話(ダイアログ)フォーラム」を扱った章(第10章 感じ取る(Sensing))」があります。そのフォーラムで「患者」と「医師」は心を開いた「対話」を展開します。話題は「患者と医師の関係性」(同 p.188)に検証軸を定め,それらの関係性を4つのレベルに措定し,現在の医療システムはどのレベルで作動しているのか,将来の医療システムの望ましい在り方はどのレベルなのかを「対話」するのです。

4つのレベルは,次のとおりです。

 

レベル1◇欠陥部品
 第1のレベルでは,健康の問題は単にすぐに修理しなければならない壊れた部品として理解されている。(中略)たとえば,心臓発作を起こした患者は医師に緊急治療を期待するだろう。

前掲書D pp.185-186

 

レベル2◇行為
(前略)「薬で治療するだけでいいのでしょうか。私(筆者注:患者)はそうは思いません。私は,『問題はあなた(筆者注:患者)の心構えです。生活の中の行為を変えなければなりません。もっと自分のためになることをしなければなりません』そう言ってほしいのです。」このレベルでは,医者の役割は,正しい指示を与え,患者が行為を変えるためのインストラクターと言えるだろう。

同 p.186

 

レベル3◇思考
 健康の問題は,行為のレベルでうまく解決されることもあるが,もっと深いレベルまで掘り下げなければならないこともある。行為は人々の前提と思考の習慣から生じる。(中略)時間がないと言っていると,病気によって無理やり時間を与えられることになる。これは間違いないと思う。将来の目的は何だろう。こうした問いを気にもかけず,人生を貴重な贈り物と思わないでいると,人は病気になる。(中略)このレベルで活動している人々にとっては,医者の役割は,患者が自分の人生と思考のパターンを内省するためのコーチである。

同 pp.186-187

 

レベル4◇自己変革のプレゼンス
(前略)ここでは,健康の問題は,個人を成長させ内面を育む旅に必要な糧ととらえられる。この糧が,創造の内なる源(ソース)が持つ潜在力を十全に開花させ,真の自己への旅に乗り出せと,我々を促す。(中略)ある女性は,こう語った。「(中略)そう,五八歳になって初めて『ノー』と言えるようになったのです。前は,いつでもオーケーだったのです。いつも活動していました。そうすることで自分のアイデンティティを失っていることさえ気づかなかったのです。今は,もう,将来の心配はしていません。私には,今日が大事なのです。この今が。」
 この患者と医師の関係性の四番目のレベルでは,医師の役割は新しいものが生まれてくるのを介助する助産師だ。

同 pp.187-188

 

「対話」の結果,「(筆者注 フォーラムへの参加者の)九五%以上は自分の経験から,現在の医療システムは悪いところを機械的に治すことに主眼を置いていると感じてい」(同 p.191)ました。また,「ほぼ全員が,発達,自己変革,内面の成長を通して健康問題と取り組むレベル3とレベル4を最重要視するシステムであってほしいと願ってい」(同 p.191)たのです。それは至極当たり前の結果だと言えそうです。

さらに,「発達,自己変革,内面の成長」という観点からすると,この帰結は学校教育にも敷衍されるわけです。そのことは対話フォーラムに参加していた一人の女性教師の発言に集約されます。

 

「学校でもまったく同じ問題に直面しているのです。学校でやっていることも,最初の二つのレベルの活動だけです。」(中略)「私たちは機械的な学習方法を中心に授業を進めています。過去のことを記憶し,古臭い知識をテストすることに力を注いでいます。子供の知的好奇心や創造性,想像力を伸ばす方法は教えていないのです。いつも危機に反応しているだけです。これでは(氷山の図のレベル3とレベル4を指して)そういう学習環境を創ることは絶対にできません。そういう環境なら,子供たちは自分で将来を形成する方法を学べるのに」

同 p.192

 

ただ,この対話フォーラムで看過できないことがありました。それは,終局的にこの対話フォーラムで見られる「患者」と「医師」との連関性が二項対立の構造を有していないということなのです。このことは,「医師の話を深く傾聴していたある女性」の発言が何よりの左證となります。

 

「あなたがた(筆者注:フォーラムに参加している医師たち)のことがとても心配です。私たちのシステムがあなたや,私たちの最高のお医者様を殺してしまうなんていやです。何かお役に立てることはないのでしょうか」。

同 p.193

 

この発言を窺う限り,「ある女性」の視点はその女性の内側から外側へと出て行き(=「患者」の領域を超越し,新たな〈患者〉の立場性を構築して),「患者」と「医師」とで構成した「医療システム」を見詰め始め,やがてその「医療システム」の一員であり,「患者」と共に「システム」を動かしていた「医師」に焦点化して行くのです。このことは,前掲書Dで次のように記述されています。

 

 これまで我々の視点(図10-2の白点)は一人ひとりの頭の中にあったが,ここまでくると自分の境界(図10-2の点線の円)の外に出ていく。つまり観察する者は内側から外にある領域(フィールド)を眺めていたのが,今度は領域(フィールド)からものを見始めるのだ。
 このシフトが起こると,観察する者と観察されるものとの境界は崩壊し,観察者は本質的に異なる視点からシステムを見るようになる。観察者自身が観察されているシステムの一部になる視点である。

同 pp.193-194,図10-2は省略。

 

では,このような〈視点〉を獲得するには,どのようにすれば良いのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考論文】 

「ポストモダンからトランスモダンへ―現在社会のとらえ方の転換点―From Postmodern to Transmodern: A Great Paradigm Shift」
:大橋昭一(Shoichi Ohashi) 和歌山大学観光学部 受理日 2014 年 6 月 18日

 

 

 

追 記

 


「The パクるな!!」シリーズの従来の予定では,今回,「難解言説」,「毎日言説」及び「一回性言説」等の中から一種類の「言説」を抽出し〈相対化〉する予定でした。しかし,そうした〈相対化〉に関する基礎知識として「オリジナリティーを創造する視点形成の在り方」は不可欠であり,〈相対化〉に関する読者の皆様の理解を促進できるものと考え,予定を変更しておりますので,ご海容ください。

 

 

 

 

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