☆Tanjerin's BAR☆ -58ページ目

涙跡。


りぴですみかん




今日は、聖なる夜を過ごす恋人たちのお話。




















クリスマス・イブの夜。






その日は、冷たい雨が降る夜だった。




















デートの帰り道、他愛もないことでケンカになった。


















なんだよ、あんな言い方はないだろ。






俺は、ただ心配して言っただけなのに。






















相手の気持ちを確かめるために、




わざと素っ気無いフリをしてしまう。
















本当はケンカなんてしたくないのに。






こうなったらもう、引くに引けなくなる。
















恋人達が寄り添うクリスマス・イブだというのに、離れて歩く二人。














腕を組んで歩くなら雨も濡れない傘なのに、






今は、片腕が冷たく感じる。
















ショーウインドウ越しに滲んで見えるクリスマスツリー。






傘の隙間からしか見えない街灯に飾られたイルミネーション。






ケーキの売り子の声も、雨の音ともに寂しさを感じる。






















無言のまま、いつのまにか彼女の家の近くまできていた。






















反対側を向いて歩く彼女を見ながら、






小さな白い溜め息が出た。














このまま帰りたくないな。


























俺は、彼女の手を引き、ある場所へと連れてきた。



彼女の手がすごく冷たくて、ぎゅっと握り締めたまま。
















「ここ、懐かしいね・・・」















初めて告白をした駐輪場。



俺たちが付き合い始めた思い出の場所。












そう、あのときも雨が降っていた。


















ちょうど雨風が防げるところに、二人とも腰を下ろした。




















「さっきは、言い過ぎた。ごめんな・・・」












無言で頭を振る彼女。




目にはいっぱいの涙を溜めていた。














凍えるように震える彼女をそっと抱き寄せた。
















頬に手を添えると、彼女の涙が俺の手につたう。










親指でそっと拭ってやると、




ライトに照らされた涙の跡が、イルミネーションのように輝いて見えた。






























「メリークリスマス♪ そういえば、まだ言ってなかったよね。」






「ああ、メリークリスマス♪」















降り続いていた冷たい雨が止み、



雨雲の隙間から星たちが覗かせる夜。













ライトに映る二つの影が一つに重なった・・・。









$☆Tanjerin's  BAR☆









~fin~






今年のクリスマスは仕事で終わりそうな切ない、りぴなのでしたみかん