プライドある仕事。人生を注ぎ込む程の職業魂。アウトローという言葉の意味を改めて思い知らされてしまった1冊。
「もらい事故」という名のボーイング123便御巣鷹山墜落事故。
大手ではない地元新聞紙ならではの葛藤。友との約束を果たせないまま全権を任され、特ダネと真実のパーセンテージと正義の間に揺れる主人公。「大久保連赤」という大事件の亡霊から抜け出せない上司達。死者を多数出す「衝立岩」へ挑もうとした同僚の「下りるために登るんさ」という謎の言葉。深まる「利益」と「詳報」との確執。「職に対する嫉妬」という生々しいまでの男本来の浅ましさ。記者が現場を踏む理由。そしてその罪と意義。
宣伝文句やあらすじだけでは何も語れないのが、この作者の才能だと思います。
本物を扱うからこそ深く重く、それでいて全てにおいて伝えたいことを逸脱しないフィクションの中にあるリアルを鋭く突く経験と筆力が、読み手をクライマーズハイの状態に引き込んでしまう。
たくさんの感情や現実が壁として立ちはだかるもどかしい作品だと思う。
でも私の一番奥にある琴線に触れた数少ない作品でもありました。
千切れた死体や内臓が地面いっぱいに広がる御巣鷹山の壮絶な初日現場を踏んだ入社3年生の記者。
「あんたらは現場を見てないから」「本当の現場(初日)を見たのは俺達だけだ」「あんたらは涼しい場所で仕事しやがって」「真実を伝えて何が悪い」「ああいうのが本当の現場っていうんですよ」「あんたらにはわからない」
その記者の胸ぐらを掴み主人公が言い放つ言葉。
「お前を調子づかすために520人死んだんじゃないんだ」
何か言い返そうとしても、その言葉に泣き崩れてしまう彼。
そして主人公、悠木の母の言葉の重み。
「酔ってしか本音を言えない人間を信用しちゃ駄目。
そういう人は本当の人生を生きてないから。」
「小さなことを恐れなさい。大きなことはどうにもならない。
小さなことを恐れなさい。大きなことはどうにかなるの。
小さなことを恐れなさい。小さなうちに恐れなさい」
報道とは。他者の死とは。職業とは。家族とは。
是非読んで欲しい一冊です。
で、今日映画版「クライマーズハイ」を見てきました。
ん~社会派といえば社会派。原作通りといえば原作通り。何箇所かは自分の想像通りのシーンも織り込まれていて「おお!」と思ったといえば思ったんですが、原作とかけ離れてしまったエピソードの作り話っぽさに、どうももどかしさが残っちゃったんですよね~(´・ω・`)
あえて言えば、北関新聞社長の存在はあそこまで必要だったのか?ってとことが微妙に腑に落ちないところ。
確かに違う肉付けでもなければこんな複雑な原作を2時間チョイでまとめろって方が無理難題なんだろうけど、それによってリアルさが濁されてしまうようなら、この原作の一番迫力ある長所を同時に殺してしまってるんじゃないかな、と感じました。原作読んじゃってるからだろうか…。
もうちょっと勝手な意見をいえば「突撃せよ、浅間山荘事件」の方が好みで面白かったかな。
しかしキャスティングは間違えてない感じ。格好良かったです。主人公の堤も脇役の方達もハマリでした。
仕事というものより「職務」というものの面白さと意義を感じてみたい方にお勧めの一本です(・∀・)
















