もう桜の季節は終わりかけているというのに、そこには見事なまでに咲き誇る一本の桜の木。

木の真下で足を止める。

突然吹き荒れる一陣の風。

風に舞う無数の桜の花びら。

その光景は季節はずれに降る雪のよう。

「忘れ雪」

4月に降る雪を、そう呼ぶそうだ。



私を忘れないで。

私を残して消えないで。



もう戻らない日々を、

もう歩めない日々を、

現実を見つめながら、

一つの奇跡を忘れ雪に願った。