山口ミルコさんの新刊がミシマ社より刊行されました。

 

『似合わない服』

 

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 なんという、装丁。

 装画は、吉田戦車さんです。

 

 ページをめくっていくと、この絵の存在感が一層響いてきます。

 

 

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 ミルコさんは会社を辞めてがんが見つかり『毛のない生活』という、これまで誰も書かなかったような、本人はとても怖がっているのに人を励ます闘病記を出し、回復すると、華奢な体でタフなことに厳寒のロシアに出向き『毛の力〜ロシア・ファーロードをゆく』を出版します。

 

 山口ミルコという著者の中にある繊細な感性は、それだけで「アーチスト」として本の中で鼓動しています。

 

 『似合わない服』では、答えのない旅を続けている著者が、それでいてポップであり、元気であり、過去からは解放されている。

 そしてやはり、繊細な感性に満ちていて、この人と、こういう人と一緒に幸せになっていける社会であってほしいと感じさせる不思議な安らぎを得る本です。

 

 ミルコさんが編集者だった頃に、私が出した本は『アイ・アム・ア・ウーマン』

 おそらくこの小説には、安らぎはまるでありません。これでもか、これでもか、としょうもない相手を好きになる女を書きました。

 

 あの頃のミルコさんと、あの頃の私でなかったら書けなかった本。

 

 

 それぞれ今も、旅しています。