今年も8月に入ったら、函館の家へ移動して執筆します。
今年で4回目となる函館市文学館、
「文学の夕べ 谷村志穂 自著を読む」の受付も始まっています。
今年読む作品は、初期作品で『サボテン』。92年の初出では『サボテンの宿』として『少年の憂うつ 少女の微熱』に収録されましたが、96年の文庫化で、改題されました。文庫のタイトルも『シティ』と変わっています。
別居している父と母、その娘夢子が、祖母の新盆で函館へ行く。
母にはすでに、年下の恋人がいる。
夏の観光シーズンで宿がなかなか取れず、父が予約した宿は少し訳ありである。
<夢子の肩の後ろで夏蝉が鳴いていた>
ちょうど、季節が重なります。
あの頃は、函館へ行くにはいつも宿を取っていたので、こんな短編を書いていたんだなと思います。
朗読会は、ありがたいことに毎年予約でいっぱいになります。今年もぜひ、ご都合のつく方は早めのご予約をお願いいたします。
『シティ』の解説を書いてくださったのは赤瀬川隼さんでした。奥様ご公認の野球友達でした。赤瀬川さんの『白球残影』は、いつ読んでも胸が震えますね。