先日、四国坂出の実家に帰って家の部屋の片づけをしていたら

自分の高校時代のアルバムや卒業写真、住所録が出てきた。

 

今となっては、高校時代ももう過去のこと

振り返ってもいまさら、過去には戻れないけれど

思い出は十分ある。

人生からして、もう競馬で言えば第4コーナーで

あとは直線の最後をどう、切り抜けるかといったところか。

 

自分が過去に浸って思い出すことはいろいろあるが

アルバムの写真の中で高校時代の担任のH先生にもう一度会って

あのときのお礼をしなくてはという自分ながらのエピソードがあった。

 

それは高校1年の時、ちょうど

坂出から丸亀間の国道11号線を自転車通学していた私は8時ごろ

突然の大雨にさらされてびしょ濡れになった。

担任の先生はその同じ道路を自動車通勤で私のその姿をみていたようだ。

 

学校に着くや否や、8時半からは英語の小テストがあって、

担任がその場を受け持つ。

テストの時間にその担任の先生がそっと、わたしのところに来て

学生服に手をやって、『濡れとるやんか、今すぐ脱ぎなさい』

そうやって、その学生服を職員室まで行って、エアコンの暖房の風で

乾かしてくれた。

なんと、素晴らしい先生なんだろう。

生徒の細かいここまで気遣ってくれるとは・・・

感激したが、そのときは私は若いときのせいもあって

もぅ、いいのに。そこまでしなくてもという自分があった。

 

それから、50年もの月日を擁してようやく、先生に会ってあのときの

お礼を言おうと思い、車のナビに住所を入力してご自宅に訪問した。

やっと、あのときのお礼の言葉が言えた。

先生は大感激してくださり、何度も何度もありがとうの言葉を絶やさなかった。

 

教師をしていて本当によかった、と言って

私に最大の言葉を贈って頂いた。

私もこれでようやく、胸のつかえがとれてすっきりしたおもいだ。

行くか、いかまいか迷ったがお会いしてよかったーーー。