いまから、21年も前のこと。携帯電話もなかった時代に
嫁さんが調子が悪くなってなにかと困ったときがあった。

通勤で岡山から倉敷まで車でいくら飛ばしても一時間は
かかる。ちょっと、「具合が悪いのですぐ帰ってきて」、ということがあった。
女性のからだのことはよくわからないが
なにしろ、身重なのでいろいろなことがおこる。

何が起こったのかわからないのでとにかく、家へ帰る。
玄関を開けるともう、誰もいない。
隣に住んでいる奥さんがOOさん、たったいま病院へ
行きましたよ、と教えてくれた。ああ、ひとあし、遅かったか?

一目散にそうか、もう、病院へ行かないとと思って車を走らせた。
病院に着くと、嫁さんと子供が私を待っていた。

「パパ----
なんとか、今回もおなかの中の赤ちゃんは助かったようだよ」
それを聞いてほんとうによかった、安心した。
携帯のない時代なんにもわからないので心配ばかり
しなければならない。
今はこんなときはまず、携帯で連絡だろうな。
あのときに携帯があったら人生が変わっていたかもしれないな。