いまから22年前、こどもができてようやく家庭も
安定しだし軌道に乗ったと言える頃。

私も27歳、まだまだ若かった頃だったがついに店長の辞令がおりる。
同期では一番出世で、こんな異例のはやい人事は当時なかった。

家に帰って嫁さんにこのことを伝えた。
もう、たいへんなよろこびよう、よほどうれしかったのか
みんなに電話をかけまくっていた。
確かに当時の私はほんとうに仕事にたいしては
相当な会社からの評価をもらっていたし、若いながらガッツも
あったと思う。

それにもまして、恋愛に、結婚に、妻の出産に燃えるものが
あったらこそこうやって店長になれることができたと思う。

妻やこどもが私を支えてくれて、いい家庭を努力して
作ってくれたらこそこうやって仕事に打ち込むことが
できたのだと思う。
いわば、かげの功労者である嫁さんにも感謝しないと
いけない。

誰がなんにもないところからがんばろうとするだろうか?
男はたったひとりの愛する人のために自分を
犠牲にして仕事に打ち込みがんばる。

ましてや、子供ができたらもう、何十倍の力が発揮でき
がんばろうとする。

男は、妻や子供を守る義務がある。
それにもまして、家庭のためだったら少々のことは我慢しないといけない。
それが「男の美学じゃないか」、と私は思う。