とにかく、高校にはいって数学の授業についていくのに必死だった。
数学は毎日2時間、週6日で12時間もカリキュラムが組まれていて
嫌いでないにしろ悩みの種だった。

高校1年の冬休みの出来事。
向かいの家の幼馴染の女の子のおねえちゃん(24歳)が不幸にも目の病気にかかり
いずれこのままだと視力を失ってしまうという。
そこで、春に針やあんまの資格を取るために学校にいって勉強したい。
その学校の試験科目が数学、英語、一般教養でなんと受験勉強をしなくてはならない。

事情を聞いてあまりにも気の毒だったのでわたしが彼女の家庭教師を
してあげることになった。
これも人助けと思いもちろん報酬なしのただで・・・
なんとかして夢をかなえてあげたいという思いで必死になった。
これは私の夢よりも彼女の将来のことが優先だと思ったから。

試験までにあと、3ヶ月。毎週土曜と日曜に昼から彼女に部屋でみっちりと。
ふたりきっりになってコタツにはいって猛勉強。
数学も中学レベルならば完璧に教えれた。
これで自分自身も数学の勉強ぐせがついて私自身の成績も向上した。

美人のおねえさん。歳も熟れごろ。でもこのときばかりはいくらわたしが
16歳といっても至近距離30センチほどでみる女の顔はなんとも
美人に映った。(いやぁ、あぶない、あぶない。)

試験の結果は見事合格し学校を卒業し今、彼女はしあわせに暮らしているそうだ。
いまでもたまに逢うとあの頃のことをなつかしそうに
語ってくれる。自分にとっていい思い出である。