大学1年のころ、衣料の大手商社のバイトを1ヶ月して7万~8万の給料をもらえた。
今の価格にすればちょうど倍ぐらいとおもう。時給400円が相場だったころ、
そこは時給が450円で、交通費支給。学業優先。しかも、デザイナーなどの
ファッションセンスのいい美人の女の子も多かった。
それよりなによりもまして、いいバイト仲間が多くいて楽しかった。
 そのなかに大阪工大の1年生でKK君がいた。彼とは昼休みにキャッチボール
などをしてよく遊んだ。野球部のぼくよりなぜか速い球を投げていた。

あるお昼の社員食堂でのこと。いつも彼はお弁当持参であった。
中身は玉子焼きにハンバーグ、たこのウインナー
や鶏のからあげなどなかにプチトマトも入っていていかにもおいしそう。
わたしは決まってそこの社員食堂のランチ、380円。私にとっては安くて助かる。
おかあさんが彼のお弁当をつくってくれているものばかり思っていたが
なんと朝早く起きての自分の手作り弁当だったのだ。すごいなぁ。

これには深いわけがあって、彼は親元から2km離れたうちに下宿し
家賃もいるし、車のローンも月に5万も払っているそうだ。なるほど、
ふーん、そういうわけか。実は380円を倹約していたのである。
でも、感心しました。なかなか、できるもんじゃないよね。
自炊といっても、男の子ができるレパートリーもそんなに多くないのに
彼は、毎日毎日、手作り弁当の中身はいつもバラエティに富んでいた。
そんな、りっぱな苦学生に驚いたものである。
一生懸命、陰で努力していたKKくんに拍手。