骨の中がスカスカになる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」は、加齢に伴って起こりやすい病気として知られる。しかし、高血圧や糖尿病などの生活習慣病とも深く関わっていることが、最近の研究で裏付けられている。それだけに東日本大震災で避難所生活を余儀なくされる患者に向け、専門家は「できるだけ散歩などの運動や食生活に配慮を」とアドバイスする。(草下健夫)

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 骨粗鬆症は、骨の中に縦横に張りめぐらされた網目状の「骨梁(こつりょう)」が細く、弱くなる病気。悪化すると、転んだだけで大腿骨(だいたいこつ)が折れたり、尻もちをついただけで背骨が折れたりし、寝たきり生活になりやすい。治療していない人も含め、患者は国内に1100万人、このうち女性は800万人ほどとみられている。

 ◆カルシウムが移動

 加齢で、また女性の閉経後に進みやすいといわれるが、島根大学医学部内科学講座の杉本利嗣教授は「骨粗鬆症は生活習慣病と密接に関連している」と警鐘を鳴らす。


そのメカニズムについて、杉本教授は「体内のカルシウム不足を補おうと、骨を溶かす破骨細胞が活発になり、骨のカルシウムが血液中に移動し、骨粗鬆症となる。このとき、カルシウムが血管内に沈着して動脈硬化を起こし、高血圧につながる」と説明する。

 このメカニズムは近年、患者への調査でも裏付けられつつある。杉本教授らの調査では、高血圧患者の骨密度が低下していることが示された。ほかの調査でも、「骨粗鬆症では心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高い」「骨粗鬆症患者が高い確率で生活習慣病を合併している」といった傾向が出ている。また、糖尿病では骨そのものの質が落ちるため、骨密度が高くても骨折の危険が高まるという。

 こうした研究から、杉本教授は「生活習慣病が骨粗鬆症を引き起こし生活の制限が生じ、さらに生活習慣病の悪化を招くという悪循環が明らかになってきた」。骨折しないと気づきにくい病気だけに「生活習慣病を持つ人は骨粗鬆症の可能性を考え、検診を受けるべきだ」と指摘する。

 ◆避難生活中も運動

 東日本大震災の被災者の中には、さまざまな持病で健康管理に悩む人も少なくない。骨粗鬆症患者が心掛けたいポイントとして、杉本教授は「椎体(ついたい)骨折を引き起こす恐れがあるため、中腰から重い物を持ち上げないように」という。運動不足は骨粗鬆症のリスクを高めるため、「転倒に気をつけながらも、散歩などをして体を動かしてほしい」。


避難所生活では食事の選択肢が限られてしまうが、杉本教授は「インスタント食品や加工食品、清涼飲料水はリンを多く含有するため、カルシウムの腸からの吸収を悪くする。できるだけ控えてほしい」と指摘。特に、骨にとって重要なカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが不足しないよう、乳製品や納豆を食べることが望ましいという。

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骨の形成促す薬も


 骨粗鬆症の治療について島根大学の杉本利嗣教授は、破骨細胞の活動を抑え骨の吸収を防ぐ「ビスフォスフォネート製剤」が、骨折を大幅に抑えるという。

 昨年10月には、骨の形成を促す注射薬の副甲状腺ホルモン剤が国内に登場した。1年半の投与が認められており、産業医科大学整形外科学教室の中村利孝教授は「骨折の危険がかなり高まった患者に使い、その後、(ビスフォスフォネート製剤などの)骨吸収抑制剤を使うと、骨折の危険が低下し続けたというデータが出ている」と説明する。



jot講師谷口順彦のブログ

正常な骨梁(上)と、骨粗鬆症の骨梁。骨の中がスカスカになっているのが分かる

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