こんにちは、最近旅行に行って(8/10/2023)初めて生で戦車を見たたにえんです。見たといっても陸上自衛隊 米子駐屯地の前に記念に置かれた74式戦車で、残念ながら触ることは出来ませんでしたが、周りの物体と比べて明らかに巨大で無骨なシルエットは、どちらかと言うとカッコよさより先に威圧感を感じました。いつか動いている戦車を見れないかなあ(切実)。

 

 さて、陸自繋がりという訳でありますが、今回はレゴで作った陸上自衛隊 10式戦車について解説していきます。

<元ツイート>

 

 

<概要>

 10式戦車はご存じ、陸上自衛隊が現在運用・配備を進める現役の最新鋭主力戦車です。諸外国の主力戦車と同等と言われる攻撃力と防御力を持っているにも関わらず、全備重量が44tと西側はおろか一部東側戦車(T-90、T-80U)よりも軽い重量と、2000年以降の戦車らしい高度なデータリンクを売りとする戦車です。

 先代の90式戦車までは第三世代MBTの世界水準に追いつくのに必死だった感がある陸自の戦車開発ですが、本車では90式から設計思想を刷新して日本独自の要素をよりふんだんに盛り込むなど、ようやく日本戦車らしい落とし所を見つけた戦車であるように思います。

 

<9号さんの16式>

 

 さて、本作は9号さんという方がTwitterに投稿されていた16式機動戦闘車に大きな影響を受けて作った作品です。元々10式戦車を作るなら383スケールかなあと考えていたのですが、当該作品のクオリティが素晴らしく、あわよくば隣に並べてみたいという考えが浮かんだので、9号さんにあわせて初の252スケールでの製作となりました。因みに未経験の奇数幅作品&再現元の形状的な難しさ&パーツ色縛りが絡んだ結果、非モータライズ作品にも関わらず製作期間が半年と、かなり難産な作品となりました。

・好きな角度。サスペンションを動かせると躍動感のある構図が撮れていいですね。

<構造>

 主砲は120mm滑腔砲を搭載しています。前述の通り9号さんの16式と並べることを前提とした作品なので、スケールをあちらと同じ1/33に合わせることはもちろん、レゴ版でもM2ブローニング重機関銃など実車で共通となっている部品は出来るだけ構造を合わせるなどの工夫をしています。また実車の特徴である姿勢制御機能も搭載しています。と言っても、この規模なので転輪のスイングアームの角度を手で1つずつ動かす簡易なものです。

 また内装も作りたかったのですが、今回は省略しました。一応車体だけなら無理やり内装を組み込むことは可能ですが、レゴというプラットフォームでは砲塔の形状を保ったままでの再現が難しかったためです。(雰囲気重視の簡単内装も考えましたが個人的にナシ。中途半端にしか表現出来なそうだったので...)

 282スケールや272スケールでフィグ乗り戦車を作っている方もミリレゴ界隈にはちらほらいらっしゃいますが、製作当時の自分にはまだまだ未開拓の分野でした。

 因みにいつも重視しているブンドド性能に関しては本作は絶望的です。一応履帯は手で回せますが(ただし後ろ向き限定)、サイドスカートを薄く作るための裏打ちパーツが邪魔をして手押しではまともに走りません。ターンテーブルトップパーツの裏の出っ張りが憎い今日この頃...

 

<各部>

エンジンルーム上面のグリルパターンを表現するためにグリルとグリルの間は横に少しずつずらして設置しています。間の隙間を埋めているのは2×4タイル。

 

・砲塔

 10式戦車と言えば、現代戦車らしくありつつもレオパルト2などとはまた違った雰囲気の楔形砲塔です。これが非っ常~~にカッコイイのですが、実物は正面から見ただけでも20個近い面から成っていて、そのままの再現は極めて困難です。製作では実物の形状を似たレゴパーツに置き換えるという普段の工程に加えて、完全に再現出来ない部分はバランスを乱さない程度に改変し、それについても違和感がなくなるまで試作・やり直しを何度も繰り返しました。

 

 砲塔には微分・積分組みの併用はもちろん、半ポッチずらし・プレート挟みでの高さ調節・横組み1/4ポッチ調節など、自分が知るありとあらゆる特殊工法が使われています。側面の絞り込まれていく形状は上半分・下半分共に半ポッチずらしを行い、先端には積分組みを用いています。また、側面上半分と下半分の間には接続済みの2×4タイルを挟み込んで高さ調節を行っています。

 主砲も昇降しますが、そのままでは仰角を取った際に砲塔天板に引っかかるので、一部可動化して干渉を避けています。

 

・迷彩

 本作でもう一つこだわった点は迷彩です。デジタル迷彩っぽくならないように一部プレート積層で表現するなど、自然なカーブ模様を意識しました。迷彩パターンは造形と並んで繰り返し調整を加えています。

 

 実は、本作は迷彩の「衣替え」が可能です。というのも、本作の外装パーツには設計段階で出来るだけカラーバリエーションが多いものを用いるよう工夫してあり、迷彩の調整・変更をやりやすい構造になっているからです。

 さて、元の発表ツイートの画像では一貫して陸自の標準陸上迷彩をまとっていますが、陸上自衛隊の迷彩と言えばもう一つパターンが思い浮かびますよね。そう、冬季迷彩です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<冬季迷彩vr.>>

 今作では夏期迷彩に加えてなんと冬季迷彩を再現出来ます。ただの冬季迷彩ではなく、北海道の広大な演習場で行われる冬季演習仕様の再現でもあり、被撃破判定装置(バトラー)や青色の車輛識別プレート、偽装網など実際の装備品のディテールを追加しています。あくまで演習なので、偽装網やキャンバスで本格的な偽装を施す割にはどこか中途半端で、演習が終わった後に元の仕様に戻せるよう可逆性を残そうとしている雰囲気はこの仕様独特の魅力だと思います。この仕様は幸運にも後に9号さんの16式との冬季迷彩合わせが実現しました。

 
 

<余談>

上にもある通り、本作はこと砲塔に関しては非常に手間をかけたので、製作途中の写真が数多く残っています。時系列順に並べてみたので、完成版との違いに注目して見てみてください。
↑ここまででおよそ4か月を消費。作ったことが無いジャンルは最初が兎に角大変です。
↓この辺から製作スピードにブーストが掛かりました。

<まとめ>

↑10式戦車ってなんか良いですよね
 

 この作品は最初に2021年末の公開以降、既に様々な展示会で披露しています。内部のギチギチ具合から、内装の実装はデフォルメやそもそもの作品の大型化をしなければ難しいでしょうが、少しずつ濃緑や新茶パーツの種類は増えてきたので、細かなディテールの向上なんかはぼちぼちやっていけたら良いなと思います。

 今回はここまで。ではまた~。