洋画家で文化功労者の脇田和さんがお亡くなりになった。

軽井沢に自身のアトリエを囲むように建てられた美術館は、
画家の夢を反映した、もう一つのアトリエだったように思う。

柔らかな色彩を重ねた画面は、同じ作品であろうとも、いつ接しても新鮮であった。
井上靖氏は、その作品を“モーツアルトの音楽が聴こえてくるような…”“不思議な函である”と
表現された。
もうこんな絵を描ける人は現れないだろう。

そのお人柄は絵画の印象と同じく、モダンで、紳士的ありお優しく、ユーモアもある柔らかな方であった。知る人ぞ知る画家でもあるが、その作品もお人柄も慕われづけていた方であった。
その根底には、隅々まで行き渡った透徹した美意識がいつもあった。




97歳だった。

人は、天寿あるいは大往生ともおっしゃる年齢でもあろう。
けれども、何歳でお亡くなりになろうと、もう現し世ではお目にかかれない。
寂しい風が心に吹く。