今回は色々な場面でバスクという地方の文化教養レベルの高さにとても感心しました。
夫婦で翻訳家をしている従兄弟のミゲルとラウラ夫妻。
ラウラは小さな時からチェロをやっているそうで二人の小さな娘ちゃんも
ピアノとバイオリン、バレエとスイミングを習っているそうです。
夫のミゲルは将来家族でカルテットが演奏できるようにと最近ヴィオラを習い始めたとか。
その他にも夫婦は写真や自転車、ワインにも精通しています。
こう書くと(すごいお金持ちのご家族なのかしら?)と思うけれど
別に彼らが特別大金持ちとかではなく中古のファミリーカーに乗り、
無駄のないシンプルなおうちに住む住宅ローンを抱えたごくごく一般的な40歳の夫婦です。
私が「バスクの人ってみんなこんなに多趣味で文化レベルが高いの?」と聞くと
ラウラは「他の地方のことを知らないから何とも言えないけれど
ビルバオは国立音楽院やオペラ座がすぐ近くにあるからクラシック音楽や
バレエはほとんどの子が小さな頃から普通に親しんでいるわね。
写真や自転車は大人になってから始めたただの趣味よ(笑)」
すごい環境だな・・・。
バスク語は「世界で一番難解な言語」といわれており、
誇り高いバスク人は学校は100%バスク語オンリー。
カステジャーノ(スペイン語)は家庭内や県外の親戚やストリートでなんとなく覚えるらしいです。
スペイン語はなんとなく
覚えられるものなのかっ!?
絶対少数のバスクの人達は
「世界で一番難解で美しいバスク語を絶やしたらいけない、
絶対に後世に残していかなければいけない人類の無形文化遺産だ。」
と小さな頃から学校で叩き込まれているそうです。
高級車を他人に見せびらかすんじゃなくてその乗り物に誰が乗るのかが重要。
自己満足の為に買う巨大なテレビじゃなくてそこで何を観るのかが重要。
豪邸じゃなくても自分たちの身の丈にあった心地よい住まいにどんな人間が住むのかが重要。
ごくごく一般的な価値観だそうです。
バスク、驚きの実態・・・。
こんな一種特殊な人種の住む特殊な場所だから
グッゲンハイム財団もあの巨大で難解な美術館をこの地に
建設しようと決めたんだろうな・・・。
(ただもうちょっと中を分かり易い造りにしてくれたら迷子も捜しやすかったんだけどね・・・。)
私の中ですーっと何かが溶けてストンと理解しました。
閉ざされた謎の国・バスクの実態をもっと知りたくなりました。
次回はミシュランの星の数が世界で一番多い美食の街サン・セバスチアンだな・・・。
ミズエ