火事騒動 | ピアソラの蜜柑

ピアソラの蜜柑

オレンジの街での生活

はい、さて火事騒動です・・・。

ここ数日掃除と洗濯におわれてぐったりです。

明日は朝一で保険会社の人が損害を見積もりしにきます。

とりあえずバレンシアに帰ってきてからのことを
ドキュメンタリー風に追っていきたいとおもいます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ログローニョからバレンシアに近付くにつれ私達二人とも言葉数も少なくなり
我が家が一体どうなっちゃっているのか内心どきどきしています。

そしていよいよ私達の家の通りに入り車を停めて5階を見上げて私達言葉を失いました・・・。

真っ黒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

まっくろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

マックロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

何語で書いてもそれ以外の表現の使用がありません。

ホセファの家だか私達の家だか区別が付かないくらい真っ黒。

風向きが私の家の方向だったようで
ホセファの家を真ん中に挟んだ反対側のロシータばあさんのベランダは何事もなく無傷です。

ホセファと私の家だけが仲良く丸焦げ。



ア・「・・・・・・・想像以上だね・・・。」

ミ・「あはははは・・・・・・・・・・・・。」



人ってあんまりびっくりすると笑えてくるもんです。

とりあえず手荷物だけを下ろしジャイちゃんを抱えてピソの建物の中に一歩踏み込むと
プラスチックの燃えた強烈な嫌な臭いと共に床に灰がふわふわしています。

エレベーターは動くようですが恐ろしかったのでアルバロ男爵にひとりで先に行ってもらいました。
エレベーターは途中でちぎれることも点火することもなく
無事5階まで着いたようで少し安心して私とジャイちゃんも上がります。

そしてエレベーターのドアを開けて5階に降り立ってみて愕然としました。



この時の心境をどう言葉で表現したらいいのか・・・。



呆然唖然愕然。



白かったはずの壁が見事に隅々まで黒に塗り替えられておりドアも判別できないくらい真っ黒・・・。
ホセファの家のドアが真っ黒なのは分かるけど私の家のドアだって同じくらい真っ黒。
向かいのロシータばあさんののドアも真っ黒。
廊下にあったガラス窓も取り払われ床もぐちゃぐちゃ・・・。

ここがこの状態で一体私の家はどうなってしまったのか・・・?

こんなに恐ろしい気分で家に入るのははじめてでした。

アルバロ男爵が既にドアを開けていたのおそるおそるジャイちゃんを命綱のごとくぎゅっと抱きしめて
緊張しながら入ってみるとあれ・・・?

あれれれれ?

外の惨劇の割にはずいぶんきれいです。

煙の臭いがすごく床が灰色で全体的に灰色がかってはいるのですが
外のお化け屋敷のようなグロテスクさに比べたら別天地。

確かにホセファの家の壁と隣接している壁にはあちこちに派手な亀裂が走り
煙が噴出した跡のような灰色の跡があるものの覚悟していたよりかはずいぶんマシです。

一番の被害がリビングの壁で電気のケーブルの走っている穴が丸焦げで
派手な亀裂が走り壁が陥没していて触るとぼろぼろ崩れそうなので怖くて触れません。
でも家具はすべて無傷。
陥没した壁にかかっていたアルバロ男爵が昔20万円ほどで買った抽象画の絵の端が
少しひび割れて欠けてしまっていましたがこれくらいなら私がなんとか直せそう。
もちろん床一面黒煙の為灰色で掃除が大変そうだけれど実質的な被害としては壁のみ。
もちろん天井も塗りなおす必要はあるけれどそんなにひどくはない感じです。

それと対照的なのがベランダ。

消防士がウチのベランダから入って来て火を消し始めたようで植木はなぎ倒され
ほとんどが丸焦げでベランダに置いてあったプラスチック類はどろどろに溶けて黒焦げ。
ホセファのベランダとの仕切りのガラスも消えて無残な骨組みだけが残っていました。
放水した跡のぐちゃぐちゃな真っ黒な水とぐちゃぐちゃに溶けたわけのわからないものと黒焦げのツリー
に植木に・・・・もうここはとにかくめちゃくちゃのぐっちゃぐちゃ。

おそるおそるホセファの家のほうを覗いてみるとすべてが黒焦げでぼろぼろの全焼。

このホセファの家の様子と私の家のベランダの様子に比べたら私達の家の中は奇跡です。

本当に火が家の中に入ってこなくて良かった・・・。

もし火が入ってきてたら・・・。

恐ろしくて考えたくもありません。

(火事騒動2に続く・・・)

ミズエ