環境問題として(1)地球温暖化、(2)オゾン層の破壊、(3)生物多様性の減少、(4)海洋汚染、(5)砂漠化、(6)熱帯林の減少、(7)広域大気汚染 などが認識されている。これら地球環境問題は、地球システムの維持に対する人間社会の影響の問題と、人間社会の地球上でのあり方、存在様式の問題という2つの視点から整理されている。

 言い換えれば、自然としての地球システムと、人間を取り巻く社会・経済・文化システムとの関係であり、この両者が調和して存在できるような人間社会のあり方(持続可能な発展)が模索されている。私たちの生活のありようは、この地球環境問題に直結している。利便性に富んだ快適な生活を手放すことはできないが、これ以上自然環境(地球環境)に過大な負担をかけないよう、価値観の変更やライフスタイルの見直しが必要である。

 環境調和型社会実現のため、100年程度先を意識した総合的な社会経済システムづくりは必須であるが、差し当たり私たちが今できることは、日常生活にかかる環境問題について学び、それを市民に伝え、共に考え実践する仲間を増やし、地域社会を変えていくことである。(2013年5月)

 東京電力福島第一原発の事故を契機に、私たち一人ひとりが「原子力」について客観的な事実を知り、真剣に考え進むべき方向性について意思表示をしなければならない。安全な地球環境を子々孫々に引き継ぐためには、盲目的であったり無関心であることは許されない。経済活動、生活スタイルなどの見直しも視野に入れ考えなければならない。原発とは? 放射能汚染と人体への影響は? 放射性廃棄物の管理は? 原発の安全管理に携わる現場作業員の健康管理は? 望ましいエネルギー政策は? 等々知りたいことはたくさんある。正確な情報を収集し、考え行動に繋げることが大切である。国は6月16日、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を決定した。電力の需給状況や大飯原発の安全性の確認及び地元の同意が得られたとの判断によるものであるが、福島第一原発事故の検証もできていない中での再稼働は疑問である。(2012年9月)

 46億年に及ぶ地球生命の歴史に比較して、ヒト(ホモ サピエンス)の歴史は僅か20万年にすぎない。ヒトの出現は46億年を1年のカレンダーに見立てると、12月31日午後11時37分9秒という日付が変わるギリギリの出来事であり、ヒトは地球上の歴史の新参者である。地球環境は長い進化の歴史の中で多様な生物により作られてきたが、ヒトの誕生が地球環境に異変をもたらした。生態系の破壊による種の絶滅は、年間5万~15万種に上り、全生物種の25%が絶滅の危機にあると言われている。地球上の生物は、生態系という一つの環の中で深く関わりつながり合って生きている。また、私たちの生活は、食べもの、木材、医薬品など多様な生物を利用することによって成り立っている。すべての生物との共生を図らなければならない。(2011年新春)