地球的規模での環境の危うさを事実として受け止めている人もいれば、懐疑的な人、他人事のように無関心な人もいる。現状認識されている環境問題は、人間社会の発展とともに地球に対する負荷として蓄積されてきたもので、私たち一人ひとりの生活のあり方が直接、間接に影響しているものである。これらの問題を解決するには、持続可能な社会全体のあり方を見直すとともに、一人ひとりの意識、価値観、そして行動が変わらなければならない。
 持続可能な社会づくりには環境教育の推進が不可欠である。現在、環境問題に関心のある市民やNPOなどが、家庭や地域において良好な生活環境保全のための様々な取り組みを行っている。自分たちの生活する環境を改善していこうとする意識とその実践は尊いものだ。
 環境問題に関して言えば、行政には市民の暮らしと健康を守り環境に配慮した地域社会を創るため、環境基本計画等に則して具体的な行動計画を策定する義務があり、そのための最低限の仕組みを構築しなければならない。具体的には環境教育の必要性を認識のうえ、生涯学習として体系化を図るとともに、その拠点施設としての環境学習センター(仮称)を設置し、環境教育を一体的かつ効果的に推進すべきである。
 環境学習センター(仮称)においては、地球的規模での環境問題の現状や課題はもとより、良好な生活環境を維持するための対処方法や地域活性化の方策など、専門家、地域住民、環境団体、行政を始め、その他さまざまな関係機関・団体と協働し体系的な教育課程に基づく学習、実践に取り組む必要がある。
 なお、環境問題の現状と原因、そして解消すべき方法は地球的規模で捉えるべきだが、具体的な行動計画を画一的に推進することは、それぞれの地域社会の実態(住民意識など)により無理がある。したがって、到達すべき統一目標は設定するにしても、行動計画は個々の地域(市町村)おいて実態に即して実行すべきである。環境教育の推進により地球環境に対する住民の意識改革をさらに促進し、実践活動に繋げ、持続可能な地域社会を創ろう。