先日、リスクの低い食材は平日の午前中に一つずつじゃなくてもいいですよ、というブログを書きました。

 

今回は、逆にリスクの高い食材はどうするかをテーマにしました。

食物アレルギーの診療をしていて、一番多く診るのが「鶏卵アレルギー」です。
(鶏卵というと堅苦しいかんじなので、以降「たまご」と略しますね)

 

 

はじめての「たまご」で蕁麻疹や、嘔吐、咳、などアレルギー症状を認めて受診される方は多く、ひどい時はそのまま入院になることもあります。

家族にアレルギーもちの人がいるとか、乳児湿疹がひどかったとかで食物アレルギーのリスクが高い人はとくに注意が必要になりますが

 

たまごアレルギーは頻度が高いので、そういったリスクがない人でも、はじめての「たまご」は慎重に食べたほうがいいでしょう。

 

具体的には以下の2つのポイントに注意します。

 

①卵白のほうが症状がでやすい。

②生卵に近いほど症状がでやすい。

 

たまごの卵白の中にはオボアルブミン、オボムコイドといったアレルギー物質が含まれていて、これらを摂取することでアレルギー症状を認めます。

 

一方、卵黄にはオボアルブミンやオボムコイドはほとんど含まれていませんので、アレルギー症状が出る可能性は低いです。

 

まず卵黄から試すほうが安全に食べることができます。

 

そして「生卵に近いもの」ほどアレルギー物質の量が多く、症状が出やすいです。

 

こちらの表は、生卵のアレルギー物質を100%としたとき、加熱によってオボアルブミンやオボムコイドがどのくらい低下しているかを示したものです。

 


(「食物アレルギー児のための食事と治療用レシピ」 伊藤節子:診断と治療社 より引用)

 

生卵や温泉卵はオボアルブミンやオボムコイドの量が多く、炒り卵やゆでたまごでは減っています。

 

ゆでたまごではオボアルブミンをほぼゼロにできていますし、オボムコイドも約9分の1ほどまで低下しており、しっかり加熱することで安全に食べれる可能性が高まります。

 

まとめると、はじめての「たまごの」安全なすすめかたは

たとえば「ゆで卵黄→ゆで卵白→炒り卵→卵とじ」といった順番になります。

 

それぞれどのくらいの量にするかというと

ゆで卵黄では症状が出にくいので、少し大胆にいってもいいと思います。

(※ただし、ゆでたまごをむいたときに表面に若干の卵白が付着するので、表面を少し削るほうがいいでしょう。)

 

卵白は注意が必要ですので、最初はゆで卵白をスプーンひとさじくらいからにして、

 

症状がなければ徐々に増量してOKです。

 

「はじめてのたまご」でアレルギー症状が出て受診される方は、最初から「たまごとじ」など加熱が十分でないものを食べていたり、最初から量が多かったりします。

 

十分加熱されたものを少量なら、(重症の方以外は)重い症状にはなりにくいと思います。

 

今回は逆に

平日の午前中に一つずつためしたほうがよい食材として、「たまご」をおすすめするお話でした。

 

ご参考にしていただけると幸いです。

 

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※ちなみに、こちらは育児のヒヤリハット的な話ですが、赤ちゃんがいる家庭でのすき焼きには注意が必要です。


赤ちゃんが直接すき焼きの生卵を食べることはないと思いますが、大人が食卓でコンコンたまごを割ると、そこに卵が付着します。


そのたまごを赤ちゃんが触ったり口に入れたり、生卵の入った食器に直接手を入れてしまったりしてアレルギー症状を認めることが結構あります。


生卵は台所で扱う場合は危険が少ないですが、食卓で扱うときはそういった危険もありますのでご注意ください。