驚きだった。

サラリーマンからプロになった棋士、瀬川晶司氏のエッセイ
『泣き虫しょったんの奇跡』

奨励会を年齢制限で退会になり、絶望の淵から人生を再出発。
アマチュア将棋大会から再び将棋の世界にカムバック、
成績優秀者に与えられるプロの大会出場権を得ると、
プロを相手に脅威の勝率7割以上をマーク。
世論を味方につけ、60年振りに奨励会以外のルートで
見事プロの将棋士の資格を獲得。
今後の将棋界にとっても新たな道を切り開いた。

彼の経歴もさることながら、
見逃せないのはその文章力。

他人が真似出来ない様な数奇な運命を切り開いた
その体験に裏打ちされた言葉の一つ一つは
無駄がなく、よく練られている。
かといって狙いを感じさせることなく、グイグイと引き込まれる。

そして何より人との出会いを大切にする彼の人間力。
数々の人生の岐路に際し、彼の背中を後押ししてくれたのは
周りの人間と彼等の温かい支えだと言い切る。

「かっこわるくても、未練がましくても、頑張れ」
彼がこの書を通して静かに訴えかける。 
自叙伝という事で期待しないで読み始めたんだけど、
予想に反して幾度となく感極まり。
読後、感動と勇気が広がる。お薦めの一作です。

実は先日、とあるご縁でご本人にお会いさせて頂く機会があり。
想像通りに柔らかな、そして丁寧な方でした。

生きる上で一番大切な事は?とお聞きすると、
「一瞬一瞬、誠実に生きる事、でしょうか」 。
重い。

異色のプロ棋士、今後の活躍に期待大。

 

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