冬ってこんな寒かったかな。
って毎年思ってるんだろうけれど。
喉元過ぎればなんとやら、である。
文学座のアトリエに久々に赴く。
別に何のゆかりもないのだけれど
(個人的に感じている以外には)、
アトリエ公演はなんだか昔から好きで。
しかも今回は大学で英語劇をやってる頃からの馴染みの
佐川和正さんが出演。
しかもチラシはハイリンドでお世話になりっぱなしの西山さんが手掛けてる。
そして行けば知り合いにばったり。
やっぱり来るべくして・・・、などと勝手に思いながら、
木造の素晴らしく年季の入ったアトリエへ。
作品は、中々興味深かった。
でも前半は話が転がらず、正直辛かった。
恐らくそれは、演出と出演者のためなのだろう。
必死になってアルバートを探しているはずなのに、
役者さんたちが妙に余裕たっぷりで。
もっと生きてほしいなぁ。
と感じたのは僕だけだろうか。
勢いが、熱が、欲しい。
作者、小里清さんの作品は彼が主宰するフラジャイルで拝見した事が
あったけれど、その時観た『塔』となんだか作品の構造が似てる。
美術もその時と同じく、ステージの中央を走り、観客は両側から
それを眺める。
たまたまなんだろうけど、これが彼が得意とする方法論なのだろうか。
そんな事を考えてたら一幕が終わる。
二幕に入ると、点で蒔かれた諸々の出来事がどんどん線で繋がっていく。
後半になるに従って引き込まれ、最後は大量の言葉のシャワーの只中で漂ってる自分がいた。
浮き上がってくる様々な思い。
惜しむらくはやはり、前半のスピード感の欠如か。
佐川さんは相変わらず上手かった。
心なしか以前より奇をてらわなくなった気がする。
あーいつかまた一緒にやりたいなぁ。
劇団員になれたなんて、すげー(前は準座員でした)。
僕の好きな役者さん、古川悦史も良い味出していらっしゃいました。
しかし小里氏の作品はいつも(まだ二回目だけど)、
終わった後考えさせられてしまう。
テーマとなっている時代というものについて
考えずにいられない。
歴史や時代を扱う時、そこに善悪論を持ち出す事は
意味がないと思う。
今回の様に、そこに至るまでにどういう流れ・力が
働いていたのか、それを丹念に描く。
それがこの作家の優れている所なんだろう。
そして上演の難しさなのだろう。
それにしても、ああいう結末になるとは。
劇団M.O.P.の『水平線ホテル』をちょっと思い出す。