委員会視察2013(2日目:石巻市、東松島市)【2013年8月29日】 | 田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba

委員会視察2013(2日目:石巻市、東松島市)【2013年8月29日】

今日も胸を張って、元気よく!!
福岡市議会議員田中しんすけです。

委員会視察の2日目です。
仙台市に宿を取った視察団一行は、「牡蠣を活用した水産振興について」調査を行うために、まずは石巻市の石巻湾漁業協同組合の事務所を目指します。
宮城県石巻市と言えば、カキの養殖・出荷では国内有数の都市です。日本国内での牡蠣の生産量(むき身:平成21年度調査)は県別ランキングでは、
1位:広島県・・・約2万トン
2位:宮城県・・・約5000トン
3位:岡山県・・・約4000トン
となっています。宮城県は全国の牡蠣生産量のおよそ15%を占めており、その中でも石巻エリアは県全体の40%を占める「牡蠣の名産地」であります。

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宮城県漁協の石巻湾支所を訪問してまず目に飛び込んできたのは、地盤沈下により大きく沈んだ土地の様子でした。上記写真を見ていただけると分かるかと思いますが、左部分の沿岸道路が元々の地盤の高さ。東日本大震災の影響で、およそ1メートルほど地盤が沈んでしまい、当初は満潮になると牡蠣の加工場も水浸しになるなど、牡蠣の生産・出荷が全く出来なかったということでした。

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この写真は、現在の牡蠣の加工現場(工場)の様子。
この工場も震災の影響を受けて、現在は稼働していないという説明を受けました(もちろん、視察当日も)。牡蠣の生産についてはシーズンオフということもあって稼働していなかったのかもしれませんが、震災復興も道半ば、という思いを強くさせられる光景でした。

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この日の視察ヒアリングには、県漁協職員の方々に加え、石巻支所運営委員の方々、そして地元の石巻市議会議員のみなさんにもご参加頂きました。かなりの大人数でご対応いただき大変恐縮です^^;
冒頭では、東日本大震災で石巻支所の感化るする牡蠣養殖漁場が津波でほとんどが流され、その影響で経営を断念する人も多かったというお話とともに、震災当時の様子やそこからどのように復興を果たしてきたかという説明を頂きました。

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その後、牡蠣の養殖の技法についてレクチャーを受けた後、新たに建設が進む牡蠣の加工場内を見学させていただきました。従来の施設で「もっとこうすれば効率を上げられる」と行程上懸案となっていた諸点を解消できるという新工場、その槌音高く響く中での現地視察となりました。

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石巻湾支所を後にした視察団が次に向かったのは東松島市。
石巻市と同様に東日本大震災による被害が大きかった自治体の一つですが、ここでは民間会社が取り組む新しい手法による牡蠣養殖についてヒアリングを行ないました。
株式会社和がきという、複数の牡蠣生産者と民間会社の合同会社として展開する同社の特徴としては、これまで主流となっている養殖技法に対して、フランス式の養殖技法を導入していることです。

説明によれば、日本式とフランス式の違いの一つは採苗の方法だということです。
採苗とは、「卵からかえった牡蠣の赤ちゃん(幼生)を海水中の固着物に付着させること」を指すのですが、この固着物として一般的に広く使われるのがホタテの貝殻(既出の加工場にもホタテの貝殻が山積みされていました)なのですが、フランス式では柔らかいプラスチックを固着物として使用するのが一般的だとか。ホタテの貝殻の方が安価で初期投資がかからないということでしたが、人工固着物にすると5~6年はくらいは継続して使用できることから、かえって費用は安く済むという説明を受けました。

同社の養殖に関してもう一つの特徴は、シングルシード法という養殖手法。
通常は、ホタテの貝殻に数十個の牡蠣の赤ちゃんを付着させて、それを束ねたものを海に沈めるのですが、シングルシード法では牡蠣殻を砕いた粒一つに、牡蠣の赤ちゃん一つを付着させるという方法を取るとのこと(まさに「一粒種」ということw)。こうすることにより、牡蠣一つあたりの粒が大きくなり、それだけ高い値段で販売できるという説明を受けました。

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牡蠣の養殖については、この採苗に続いてもっとたくさんの工程が存在するのですが、普段からなかなか注目することが無かった分野なだけに、その用語を理解することで精いっぱい!
福岡市では「唐泊の恵比寿カキ」の産地として知られる西区宮浦が、市内で唯一の牡蠣の生産を行なっておりますが、今回の視察の成果を活用するためにはまだまだしっかりとした勉強が必要であることを痛感した視察二日目でありました。


田中慎介