補足質疑の質問と答弁(ほぼ全文) | 田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba

補足質疑の質問と答弁(ほぼ全文)

今日も胸を張って、元気よく!!

福岡市議会議員田中しんすけです。



 福岡市議会では、昨日夕方に平成25年条例予算特別委員会が設置され、本日から分科会質疑が始まりました。分科会とは、広範囲にわたる福岡市の予算費目を5つの分野に分けて、その内容を詳細に議論する場です。例えば、田中しんすけが所属する第3分科会では、経済観光文化局、港湾局、農林水産局関連の予算案および条例案について細かく審査します。


 初日は経済観光文化局に関する議案の審査。この分科会質疑、予算案を説明するだけでも結構な時間がかかります。さらに今回は、次年度から動き出す「福岡市の観光戦略2013」と、「福岡市拠点文化施設整備の方向性について」なる報告説明があったため、審議は月曜日に持ち越されました

(※そこでの議論の詳細は、後日ご報告したいと思います)。

田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-自席から市長に向かって発言

 さて、田中しんすけは昨日の補足質疑を無事に終え、ホッとしているところでもありますが、色々な方から「具体的にどんな内容の質問をしてるの?」という問い合わせが寄せられていましたので、今回は発言内容と答弁の骨子について、この場でご紹介したいと思います

 時間がある際にはご一読頂きますよう、よろしくお願いいたします!



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1.市長の市政運営について


【1問目】
<質問>
・これまでのおよそ2年間の市政運営の中で、高島市長が自身の取り組みにおいて成果と考える部分、また一方で、課題と考える部分については、それぞれどのようなものが挙げられるか?
<答弁>
・成果が上がっているものは、「都市の成長」では、企業誘致件数の増加、日本海側拠点港や総合特区、特定都市再生緊急整備地域の指定、大規模コンベンションの開催やISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会の誘致、オープントップバスの運行など。「生活の質の向上」では、保育所整備の促進、学力向上や英語教育の充実、防犯カメラの設置など安全・安心なまちづくり。
・子どもを取り巻く環境や地域コミュニティのあり方が課題。そのため、「見守り、支え合う、強い絆の地域づくり」、「次代を担う子ども、グローバル人材の育成」などに力を入れる。


【2問目】
 とりわけ市長が取り組まれてきたという「観光・集客」に関する施策について、高島市長の肝いりともいうべき個別の取り組みについてお尋ねして参ります。
 まずは、観光に関する施策の一つである「福岡オープントップバス」についてお伺いいたします。この事業については、平成24年12月議会の場でわが会派の太田英二議員が言及しています。その際、「当初想定していた国の交付金が活用できなくなった、すなわち、当初予算では歳入歳出の計画を立て、議会で承認した後に、計画どおりいかなかったため、財源の措置を変更しますと容易に行おうとしている姿勢に問題があるのではないか」と質したことに対し、市長は「これは議会に対して適切に御説明すべきだった。市民や議会に対する説明は大変重要でありますので、今後、適切に対処してまいりたい」という旨の答弁を行なっています。そこでお尋ねしますが、
<質問>
・このような反省を受けて、平成25年度予算における福岡オープントップバスに関する事業費、および今後の施策の方向性についてどのように定めているか?
<答弁>
・福岡オープントップバスについては、平成24年3月24日の運行開始以来、11月2日に年度目標の5万人を突破するなど順調に推移し、平成24年度末の乗客見込みは、約6万5千人である。
・平成25年度は、予算事業項目として、オープントップバス事業はないが、関連事業として、観光客の受け入れ環境の向上を図る「観光客にやさしいまちづくり事業」で予算額550万円を計上している。その中で、オープントップバスを含む都市回遊性向上のためのPR事業を実施する予定。
・今後とも、オープントップバスについては、福岡の観光の顔として、また便利な都市回遊手段として、市内各地の観光資源とともにしっかりPRして利用促進を図り、地域の活性化につなげていく。


 次に、集客という面からは、シティプロモーションに関する「カワイイ区」についてお伺いいたします。この事業についても、先ほど挙げた市長の過去の答弁をご紹介した後で何ですが、平成24年度当初予算にかかわる資料を見てもそのような取り組みをうかがい知ることが出来ず、われわれ議会にとっては降って湧いたように現れた事業として認識しておりまして、また、最近、区長が辞任されるという報告を受けたところであります。そこでお尋ねしますが、
<質問>
・そもそもこのカワイイ区に期待した政策効果は何なのか?また、これまでの取り組みの中で現れた政策効果としてはどのようなものが挙げられるか?
<答弁>
・福岡の魅力や特性等をカワイイというコンセプトで発信するシティプロモーションとして、交流人口の拡大や地域経済の活性化につなげることを目的としている。
・発表以降多くのメディアに取り上げられ、4万人を超える区民を集めるとともに、約2億8千万円の広告換算価値があったとの報告を受けている。
・これまで約70社の企業に対してロゴ提供や名義後援を行い、ホームページ等で情報発信することにより、集客増などに貢献したとの意見が寄せられている。


 引き続き、これまでの2年間の市政運営についてですが、その取り組みの意義について改めて確認をさせて頂きたい事項について特に2点お尋ねいたします。
 まず、「こども病院移転再検証」についてであります。市長公約の一つでもあるこの再検証作業については、平成23年1月30日にこども病院移転計画調査委員会が設置され、計7回の委員会を開催、同年5月15日に同委員会より調査報告書が提出され、その後、5月24日の市政運営会議で最終的な決定がなされております。こども病院のアイランドシティへの移転については、最終的にはそれまでの議会の議決どおりに結論を出されたわけですが、
<質問>
・この「こども病院移転再検証」について、結局どのような政策効果があったのか不明瞭だという指摘がある。そもそもこの作業にどのような意義があったのか?このような指摘に対する所見と併せて尋ねる。
<答弁>
・アイランドシティ移転を決定したプロセスの合理性、妥当性について検証するため、すべての過程をオープンにして、専門委員、患者家族など様々な立場で、透明性の高い議論がされたことにより、こども病院の課題を市民の皆様と共有でき、理解を深めてもらったと考えている。


 もう一つは、「アイランドシティ未来フォーラム」についてであります。これも市長の肝いりで始まったと認識していますが、平成23年7月に第1回会議が開催され、同年12月までに全6回の会議を経て提言書が出されています。およそ半年間という時間をかけて議論を行なったようですが、

<質問>
・この「アイランドシティ未来フォーラム」については、いたずらに時間を浪費し、結果的にアイランドシティの土地分譲を遅らせてしまったのではないかとも思う。そもそもこの作業にどのような意義があったのか?このような指摘に対する所見と併せて尋ねる。
<答弁>
・未来フォーラムは、アイランドシティの意義や効果、事業推進方策について広く意見をいただくため設置した。
・フォーラムでの議論を公開することにより、アイランドシティ整備事業の意義や効果について、多くの市民の関心を高め、理解を深めることができた。
・アイランドシティの7つの未来像、その実現に向けた4つの方針、具体的な戦略が提言された。
・提言を踏まえ拡充した立地交付金制度などにより、平成24年度の土地分譲は市工区で過去最高の分譲収入があった。


【3問目】
 
今回の質問では、高島市長の市政運営を象徴する施策である「福岡オープントップバス」と「カワイイ区」を取り上げて質問して参りました。「福岡オープントップバス」については、補助申請に係る拙速な対応はあったものの、利用実績については年度目標の5万人を突破し、平成24年度末時点で乗客数は約6万5、000人を数えるということで、導入した以上はしっかりと結果が出ることを期待したいと思います。一方で、今後の事業展開も含めて危惧しているのは「カワイイ区」です。この事業の効果として約2億8000万円の広告換算価値があったと言われましたが、それが結果として本市に何をもたらすことになったのか、やはり判然としません。せめて、「住民票を1部300円で販売して、区民登録者のうち何割が購入して、本市に入ってくる収入がいくら」だとか、あるいは「関連イベントを開催して福岡都市圏以外からどれだけの集客効果がある」など、事前に成果を測ることが出来るように制度設計されていたなら、ひとつの判断材料にはなったかもしれませんが、それすらも曖昧のまま、結局は周辺関係者に迷惑をかけるだけの結果になってしまったことは大変残念です。
 そして、今回は時間の関係上質問としては取り上げませんでしたが、高島市長が平成24年7月3日の市長会見で打ち上げた「中国公務員等の研修受け入れ」についても、その表明から撤回までの経緯をみると、非常に進め方が悪かったのではないか、と指摘しておきます。最終的には当時の国際情勢を踏まえて断念されたわけですが、それを割り引いても、唐突な発表が多くの市民の不安を煽ってしまったこと、それに伴い、議会においてもこの事業に関する質問が集中したことを思い出してみると、事案に対して物事の進め方が果たしてどうだったのか、重ね重ね残念でなりません。
 以上の点を踏まえてお尋ねいたしますが、
<質問>
・これら「福岡オープントップバス」や「カワイイ区」、あるいは「中国公務員等の研修受け入れ」といった市長の肝いり施策については、予算編成段階の見積もりが杜撰であったり、政策効果とその効果を測るための指標が曖昧であったり、あるいは派手に打ち上げた割には上手くいかなかったり断念したりと、「熟慮の跡が見られない」ような意思決定が見受けられるが、この点について市長の所見を伺う。
・これまでの市長の肝いり施策について、議会に対して丁寧な説明をしていればこのような事態にはならなかったのではないかと考えるが、議会の存在、および二元代表制についての所見と併せて市長に伺う。
<市長答弁>
・市政の重要案件や市民の関心の高い案件は、より多くの市民の納得と共感を得るため、市民や学識経験者など様々な立場の方にオープンな場で議論してもらい、最終的には私(市長)の責任により判断してきた。今後も意思決定にあたっては、それぞれの案件に応じた適切な手法により、市民や専門家の意見を聞くとともに、施策推進上の課題や費用対効果等を十分吟味したうえで判断していく。
・市長と議会は、ともに住民の直接選挙によって選ばれる車の両輪として、両者が緊張感を保ちつつ、連携しながら、自治体運営を担うものでなければならない。これからの市政運営においても、市民の代表であり、民意に最も近いところにある議会の声をしっかりと聞いて、じっくりと話し合いながら市政を進めていくということが一番大事なことである。今後とも、議会の意見をよく聞いて、真摯に受け止めながら、全力で市政運営に取り組んでいく。



 また、今回は「こども病院移転再検証」と「アイランドシティ未来フォーラム」についてもお伺いしてきました。例えば、こども病院整備移転に関しては、現病院は老朽化が著しく、一日でも早く新しい病院として整備しなければならない、これを放置すること自体が政治的な怠慢であるという思いを常に持ち続けて私たちは議会の場で議論を交わしてきたという自負もあります。また、アイランドシティの土地分譲についても、「アイランドシティ未来フォーラム」の影響を受けて、フォーラム開催年度の途中で港湾整備事業特別会計の土地分譲に伴う歳入金額が大幅に減額修正されています。これらの例に限らず、特に市長が市民生活に大きな影響を及ぼす課題、これには、そのケースは様々でしょうけれども、何らかの時間的な制約というものも意識しなければならないということを改めて指摘しておきたいと思います。結果の正しさは歴史が証明する、それくらいの自信と覚悟もリーダーに必要な資質だと私は考えます。これまでの市政運営の在り方を見ていると、
<質問>
・高島市長の意思決定で気になるところは、こども病院移転やアイランドシティの土地分譲といった「時間軸を重視する政治決断」においては必要以上に時間をかける一方、「福岡オープントップバス」や「カワイイ区」、「中国公務員の研修受け入れ」といった「内部検討や議会とのやり取り、市民への事前の情報提供が必要な政治決断」においては拙速さが見られる、そういう意味で、「政策課題に対する嗅覚」をもう少し磨いていただきたいと思うが、この点に関する所見を伺う。
<市長答弁>
・市政の重要案件や市民の関心の高い案件は、より多くの市民の納得と共感を得るため、市民や学識経験者など様々な立場の方にオープンな場で議論してもらい、最終的には私(市長)の責任により判断してきた。今後も意思決定にあたっては、それぞれの案件に応じた適切な手法により、市民や専門家の意見を聞くとともに、施策推進上の課題や費用対効果等を十分吟味したうえで判断していく。



2.市長公約について


【1問目】
<質問>
・市長公約の進捗状況を伺う。さらに、市長公約のうち、特に進捗している項目と、そうでない項目とあれば、それぞれその内容についても伺う。また、この市長公約の進捗状況は、高島市長就任以来、これまでどのようなタイミングで、どのような形で公表されてきたのか?

<答弁>
・市長公約として掲げた39項目について、市長就任2年経過時点においては「実施済み・実施中」のものが基本構想・基本計画の策定、公衆無線LANサービスの整備など37項目。「着手」しているものが行財政改革プランの策定で1項目。「検討中」のものが地域包括支援センターの充実で1項目である。
・進捗状況の公表時期・方法は、平成23年度及び24年度予算案公表時、市長就任1年経過後に市ホームページ等により公表した。


【2問目】
 市長公約については、平成23年9月にその項目と対応方針が文書として示され、全39項目のうち、平成25年度に実施予定の施策も含めると、そのほとんどが達成されているとのことです。いま、私の手元には先の答弁でいただいた平成23年9月7日に示された『市長公約の実現に向けた対応方針』、それから、平成23年12月6日に公表されている『公約項目に対応する施策・事業の進捗状況について』という資料がありますが、ここには高島市長の公約項目とその説明、そしてその公約を達成するための対応方針、そして市長就任後の1年間でどのような施策に取り組み、成果が出たかについて記載されております。ところが、この後の資料を追ってみると、このような『公約項目に対応する施策・事業の進捗状況について』報告している文書がどこにも見当たりません。

 そこでお尋ねしますが、
<質問>
・就任後1年で公表されたものが、市長就任から2年という折り返しの時期にもかかわらず公表されていないのはなぜか?また、近い時期に公表する予定はないのか、あるならばその時期はいつ頃になるのか?
<答弁>
・公約項目の対応する施策・事業の進捗状況は、平成24年度当初予算時点で38項目が「実施」または「着手」となっており、その後特に公表しなかったもの。
・今後は議員の指摘通り、進捗状況は適宜把握し、必要に応じて公表する。



 また、市長公約に関しては、平成22年12月議会で私がいくつかの項目についてその意味を確認させていただいたものもあります。その中でも1点、改めてその進捗状況を、項目の内容も含めて確認させていただきます。
 それは、公約番号33番「意思決定過程の透明化」についてです。この項目については、「インターネット中継などを利用して、様々な意思決定プロセスの透明化を積極的に進めます」と説明されています。これに対する実績として、『公約項目に対応する施策・事業の進捗状況について』の中では「こども病院やアイランドシティ、屋台など重要な事項については、専門家など第三者で構成する委員会等で議論を行ない、プロセスを全面的に公開している」として胸を張った記述がなされておりますが、
<質問>
・ここには市政運営会議や予算編成過程といった重要な意思決定の公開は含まれないのか?
・これまで公開してきた第三者で構成する委員会というものは、行政に対する助言や提言を行なう役割はあっても、そもそも意思決定過程には含まれないのではないかと考えるが、所見を伺う。
<答弁>
・市政の推進は、市民の納得や共感を得ることが重要であり、市政運営会議や予算編成過程の概要については市ホームページで公表している。
・市政の重要案件や市民の関心が高い案件は、検討の初期段階から、市民や学識経験者など様々な立場の方の意見をいただくとともに、会議資料や議事録の公開、さらには、インターネット中継や動画配信を実施している。今後とも、意思決定過程の透明化に取り組み、市民の納得と共感を得ながら市政運営を推進する。


【3問目】
 先の答弁によれば、市長就任後の1年目にはその進捗状況を公表されたにもかかわらず、折り返しの時期となる昨年12月時点では公表されませんでした。今後は適宜公表していくとの答弁ではありましたが、この市長公約というものは、市長と市民との間で交わされた最も重要な約束事です。何よりも重要に扱うべきものであるし、また、その進捗状況をチェックしていくのは同じく市民からの負託を受けた議会の役割です。そのような重みのある市長公約の進捗状況については、過去の話、当時の話と片付けず、これからの2年間もしっかりと市民に対して発信していただきたいと思います。

 この市長公約に関して最後に申しあげたいのは、これまで公表されている資料では、市長公約の項目は分かりますが、①その項目で約束されている達成目標(ゴール)は何なのか、②ここでいう「実施」とは「施策化されている」ことを示しているに過ぎず、果たしてその施策による成果が出ているのか、③成果が出ている項目については、それはあとどれくらいで達成目標に到達するのか、といった点が判然としません。市長の発信力を活かすためにも、
<質問>
・「市長公約の進捗状況」を示す資料については、公約のゴールとより具体的な進捗状況が明確にわかるような表現にした上で、適切なタイミングで広く公開すべきではないかと考えるが、所見を伺う。
<市長答弁>
・公約項目の対応する施策・事業の97%が実施または着手となっている。一方、昨年12月、新たな基本構想・基本計画を策定し、私(市長)が従来から訴えてきた地域コミュニティの活性化や英語教育の充実、歴史・文化を活かした観光の促進などの政策について、この基本計画にしっかり位置づけ、施策ごとに成果指標を明確に掲げ、その達成状況を毎年評価、公表することとしている。



3.市長の政治姿勢について


【1問目】
 まず、市長が任期当初から発言してこられた『発信力』という言葉についてであります。
<質問>
・この2年間でその市長の考える『発信力』はどの程度高まったと認識しているか?その根拠も含めて尋ねる。また、そのために必要な取り組みとして実施してきた施策、およびその予算総額についても尋ねる。

<答弁>
・動画配信やデジタルサイネージ、ツイッターなど自主広報媒体の増加、市長会見でのフリップ活用や市政だよりの文字ポイントの拡大などわかりやすく見やすい情報発信、飲酒運転撲滅のテレビCMなど市民の目に留まる広報の実施等、これらの取り組み等を実施することで、発信力が一定程度高まったと認識している。
・広報に係る経費は、平成23年度約6億3100万円余、24年度で6億1900万円余。



 2つ目は、同じく『アジアのリーダー都市』という言葉についてであります。先の市営運営方針演説の中でも、「産官学民の総力を結集し、福岡市一体となって、経済的な成長と安全・安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市として、アジアの中で存在感のある都市づくりに取り組み、『人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市』を目指す」と仰っておられます。そこでお尋ねいたしますが、
<質問>
・この2年間で市長が考える『アジアのリーダー都市』像は本市においてどの程度実現できたと認識しているか?その根拠も含めて尋ねる。また、そのために必要な取り組みとして実施してきた施策は具体的にどのようなものか?

<答弁>
・「アジアのリーダー都市」をめざすというのは、世界の巨大都市と規模で競争するのではなく、都市の総合力で評価され、他都市から目標とされるような都市づくりに取り組むものである。
・これまでも、市政全体で「アジアのリーダー都市」をめざし、豊かで住みよい美しいまちを創り、経済的な成長と安全・安心で質の高い暮らしのバランスがとれたまちづくりに向け様々な施策に取り組んできた。今後も、新たな基本計画に基づいて戦略的に施策を進め、「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」をめざす。


【2問目】
 まずは、「発信力」についてです。これまでの取り組みとして、確かに、一定程度の予算も費やし、動画配信を増やしたりテレビCMも作ったりといった情報発信のツールは拡充してきているのではないかと理解していますが、1問目でもご紹介したように、「福岡市が発信する情報を市民がどれだけ受けとめようとするか、受けとめたいという気持ちにさせるか」、この観点からの施策の検証や成果指標の設定といった議論が庁内でもなされていないような印象を受けます。また、情報発信のツール、いわゆるHow Toは目に見えて増えているのは分かりますが、その中身、Whatについては、果たして市民が求めている、あるいは市民に伝えなければならない内容になっているのか。これまでの市長会見をはじめとした市長の言動から判断する限り、甚だ疑問であります。そこでお尋ねいたしますが、
<質問>
・現在の福岡市の置かれた状況や今後の重点施策を鑑みて、市民に対してもっとも強く発信すべきだと考える発信内容、市政の課題は具体的に何だと考えるか?

<市長答弁>
・情報発信については、より多くの市民に、共感・納得していただけるように、市民の目線に立った、分かりやすい、心に届く情報提供を行うことが重要であり、これまで、幅広く伝えるためにツイッター等を活用、分かりやすさから市長会見でのフリップ活用等、心に届く視点から飲酒運転撲滅CMでの鉄拳のパラパラ漫画の活用等に取り組んだ。
・「PM2.5」など、市民の関心の高い案件を迅速に情報提供。こども病院の調査委員会をはじめ、市政の重要課題では、会議のインターネット生中継等わかりやすい情報提供や透明性の確保にも取り組んできた。平成25年度も引き続き「情報発信」の強化を推進していく。
・今後伝えたい内容としては、施策の柱とする「地域」、「こども」、「観光・集客」、「スタートアップ都市」の4つの分野や市民の関心の高い案件について、特に力を入れて広報を行い、施策や事業の推進力となる市民の共感と納得を得ながら、信頼ある市政運営を実現したい。



 次に、「アジアのリーダー都市」についてです。市長のご認識によると、「アジアのリーダー都市」を目指すというのは、世界の巨大都市と規模で競争するのではなく「都市の総合力」で評価され、他都市から目標とされるような都市づくりに取り組むことだということです。おそらく、活気があって環境も良くて住みやすい、そんな都市像をお持ちなのかもしれませんが、これは政治家的な発想かもしれませんけれども、
<質問>
・「リーダー都市」と聞いた場合、その都市が周辺都市に対して発揮するリーダーシップであるとか、その都市の首長がどれだけイニシアティブを発揮しているか、そのような部分にも「リーダー都市」のリーダー性が求められると考えるが、所見を伺う。
・また、福岡市が「リーダー都市」たるために、市長自身がこれからどのようなリーダーシップを発揮していこうと考えているか?市長が考えるリーダーシップの内容と併せて尋ねる。

<市長答弁>
・「アジアのリーダー都市」をめざすということは、世界の都市と人口や経済の規模で競争するのではなく、「人と環境と都市活力の調和」がとれた都市の総合力で評価され、他都市から目標とされるような都市づくりに取り組むもの。
・リーダーシップとは、市民の皆様の声を真摯に受けとめ、市民の納得と共感を得ながら、市政を進めていくことだと考える。市民の皆様や議会の皆様と対話を重ね、リーダーシップを発揮しながら、福岡市の総力を結集して、「アジアのリーダー都市」をめざしていく。


【3問目】
 先ほど、市長が市民に対して最も発信したい内容として、観光・集客や飲酒運転撲滅の話を具体的に挙げられました。また、市長の考えるリーダーシップついては、市民の「納得と共感」を得ながら姿勢を進めていくこと、だという趣旨の答弁でありました。これら市長の答弁を踏まえて質問の最後になりますが、これまでの市長の取り組み、そして福岡市の現状、今後の見通しを踏まえたうえで、真に市長が市民に向けて発信すべき内容とその姿勢について、ご提案申し上げたいと思います。
今議会に上程されております平成25年度予算案の編成にあたって、従来の予算編成と比較して特徴的なものは何か。それは、市長がこれまで機会をとらえて頻繁に発言されている「ビルド・アンド・スクラップ」という基本姿勢にあると考えています。この言葉の意味について、過去の議会答弁の中では「福岡市が取り組むべき施策事業を定め、その事業に必要な財源について、既存事業の中で優先度の低いものの見直しを進めながら手当てをしていくという基本的な姿勢をあらわしたもの」と説明されています。
 この「ビルド・アンド・スクラップ」については、平成25年度予算案(すなわち「ビルド」)が示された今となっては時間的な整合性がやっと取れてきたという感じはするのですが、本市の対応としては実は「スクラップ」の検討から入っているわけです。そのスクラップの項目がまとめられている文書が何かというと、この私の手元にもある『財政健全化に向けた改革実行検討項目』ではないでしょうか。これは、行財政改革プランの原案策定に向けて、その柱の一つとなっている財政健全化の取り組みに関して、その具体的な検討項目をまとめたものです。これをよく読んでみると、例えば、補助金関連で言えばスポーツ大会開催や福祉割引乗車負担補助金の見直し、「個人給付の見直し」という方針のもとでは高齢者施策および障がい者施策全般が対象、「減免制度の見直し」や「受益者負担の見直し」としてはがん検診や施設使用料といった、まさに市民生活に大きな影響を与える(市民にとっては痛みを伴う、負担増を強いる)項目も多く含まれているわけです。
 「ビルド・アンド・スクラップ」について少し前置きが長くなりましたが、平成25年度予算案の内容が「ビルド」、改革実行検討項目に関する事項が「スクラップ」とした場合、私が市長に申し上げたいことは、「華々しいビルドばかりを前面に出すのではなく、それを実現するためのスクラップに関しても併せて説明すべきだ」ということです。言い換えるならば、「高島市長には、スクラップされることで大きな影響を受ける市民の痛みについて丁寧に説明し、市民の『納得と共感』を得ようとする姿勢が見られない」ということです。市長は先月15日に市長会見を開かれ、その中で平成25年度予算案の特徴について、税収が増えた、待機児童やいじめをゼロにする、地域活動を支える、といった華々しい項目を並べて雄弁に説明されておりました。しかし一方で、それ以前から議論されている、今後近いうちに生じることが分かっている「スクラップ」については一言も言及されていません。この「スクラップ」項目の中には、平成25年度からその実施を検討するものも含まれているにもかかわらずです。それをなぜ市長の口から直接市民に伝えないのか。
 今後、都市の成長と生活の質の向上を両立させるために、すなわち、市長の考える「ビルド」を達成するために、「財政健全化に向けた改革実行検討項目」にも表れているような、市民に対して痛みを伴う「スクラップ」が生じてくることは目に見えているわけです。そこで、この取り組みに対する市長の決意と覚悟をしっかり伝えることが、市民の「納得と共感」を得ていく上で重要なことであり、また、このような苦しい話であっても将来のビジョンを示しながら丁寧に議論していく姿勢を見せること、これこそ首長が発揮すべきリーダーシップではないでしょうか。
<質問>
・今後、平成25年度予算案で示した「ビルド」の部分だけでなく、従来施策が「スクラップ」されることで市民に痛みを生じさせる「本市発展に向けて必要な行財政改革の中身」について、あらゆる機会をとらえて具体的に説明するとともに、「福岡市発展のためのビルドを達成するために、スクラップされる部分がある」点について、市長の決意と覚悟を明確に市民に示していく必要があると考えるが、所見を伺う。

<市長答弁>
・新たな基本構想に掲げた都市像の実現に向け、基本計画では、「生活の質の向上と都市の成長の好循環を創り出す」という都市経営の基本戦略を掲げている。この長期的なビジョンと戦略に基づき、真に必要な施策や事業に重点化を図りながら、行財政改革を進め、将来にわたり持続可能な市政運営に取り組む。
・そのため、優先度が低いものから、重要施策や新たな課題への対応などに組み替えていく「優先順位の最適化」に取り組む。
・今後も、行財政改革の必要性や取組みについて、様々な機会をとらえて市民の皆様に説明し、事務事業の見直しに当たっては、議会や市民の皆様の意見をお聞きしながら進め、「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」をめざす。

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長文になりましたが、最後までお読みいただき真にありがとうございました(^^)



田中慎介