釧路市自立支援プログラム(マニフェスト視察1) | 田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba

釧路市自立支援プログラム(マニフェスト視察1)

今日も胸を張って、元気よく!!

福岡市議会議員

田中しんすけ32歳でございます。


【釧路市自立支援プログラム(マニフェスト視察1)】

昨日から、3泊4日のローカルマニフェスト視察が始まりました。

初日は釧路市を訪問し、生活保護復帰支援プログラム(釧路市自立支援プログラム)に関する調査を実施しました。


田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-たんちょう釧路空港に到着  田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-釧路市役所前。気温は7度くらいw
 釧路市は、北海道東部に位置する人口約19万人の都市。古くから石炭産業、製紙パルプ産業が発展を支えてきた港町で、この日は福岡空港⇒羽田空港と渡り、ご当地の「たんちょう釧路空港」から車で30分くらいで調査先の釧路市役所に到着です。

 ちなみに、当日の最高気温は10度、最低気温は2度(!)で、6月初めというのに水道の水は手が痛いほど冷たく、川からは湯気がのぼり、さらには小学校の校庭グラウンドからも湯気が!気温が低いと同時に、地温が福岡に比べて高いことをうかがわせる自然現象にびっくりします

(⇒地温が高いというのは、あくまで仮説ですけどw)。


 市役所では早速、釧路市の生活保護行政の現状についてヒアリング。

 釧路市の保護率(=生活保護実受給者数/人口千人)は52%で、市民19人に1人が生活保護受給者という極めて深刻な状況だということ(ただし、「生活保護受給者が増えたとしても、全体として扶助費が減少すればそれで良い」という考え方を取っているため、数字だけ独り歩きして「深刻だ、深刻だ」と言われるのは心外だと答えられていたことは付しておきます)。

 さらに、受給世帯のうち母子世帯の割合が全国平均の2倍(15%)というのが特徴的で、「貧困の連鎖」にはきわめて敏感になっている当局の姿勢を確認することが出来ました。


 釧路市の生活保護自立支援プログラムは、平成16年度から始まった「生活保護受給母子世帯自立支援モデル事業」がその前身で、当初は国の要請で(しかも母子家庭の特化した支援プログラム)補助事業として実施。その際に立ち上がったワーキンググループにおける議論の中で、「保護受給者の自立支援の在り方とは?」という点について徹底的に考えさせられた経験が、現在のプログラム内容に大きな影響を与えたとのことでした。

 また、この時期、介護保険制度が始まるころで、母子家庭に介護ヘルパーの仕事を斡旋したところから軌道に乗ってきたというお話も伺いました。


 プログラムの特徴としては、要約すると以下の通り。

〇下記の5つのプログラムから構成されている

 -日常生活意欲向上支援プログラム

 -社会奉仕きっかけづくり事業プログラム

 -就業体験的ボランティア事業プログラム

 -就業体験プログラム

 -(多重債務者/DV被害者自立支援プログラム)
〇一足飛びに「就業して賃金を稼ぐ」という結果を求めない

〇受給者に「自分がどうありたいか?」を自発的に考えてもらうことを第一にしている

〇自立支援は、ケースワーカー(CW)が直接行うわけではない

⇒「自立生活支援員(2名)」が担当することにより、CWと受給者との上下関係を生み出さないようにしている。


 とりわけ、このプログラムの肝となるのが、各段階での様々な受入れ団体の確保。各種団体への協力要請にかかるアプローチについて、そのご苦労をお伺いしたところ、

「まずは、福祉事務所や市に関係の深い事業所での受け入れ。その中での保護受給者の取り組みを見てもらい、他の施設に安心してもらう」

との回答でした。


「このプログラムを実践する過程で一番難しかったことは?」

とお尋ねしたところ、

「経済的自立を求めたがる『行政機関の意識』、これを改革すること」

という意外な回答が。つまり、すぐには数字に表れない人間の意欲や、その源泉となるやりがいを引き出すことに対して、行政自身が積極的な評価を与えるというマインドを持てるかどうか、ということになるのでしょうか。

 これを福岡市で実施した場合、組織編成や人員については検討の余地がありそうですが、このプログラムを通して培った釧路市役所のマインドには、見習うことが多そうです。


田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-いよいよ開会@山口公民館
 そして、上記の写真は視察2日目@所沢市山口公民館の様子。

 本日19時から、所沢市議会が主催する議会報告会が開催され、私たち民主・市民クラブ視察団もこの報告会に出席させていただきました。

 壇上には所沢市議会議員36名のうちの12名がずらっと並び、パワーポイントをセットして市民への報告準備をしています。

 山口公民館については、公民館というものの福岡市のそれよりはかなり大きな施設で、市民センターと公民館の真ん中程度の規模がありました。会場となった大ホールは、着席で170名程度。この日の参加者は、目視で100名強はいたと思います。


「今回の議会報告会には、遠くは福岡市議会から、各自治体議会議員がお見えです」

開会と同時に、司会の方(この司会も所沢市議会議員)から参加者に対してこんな挨拶があり、何だか気恥ずかしい気もするわれわれ視察団(笑)。

 この後、3月議会での予算審議や条例制定に関する議会活動報告がなされます。平成23年度所沢市の予算概要、新たに制定された条例の概要、および議会による修正内容、そして各常任委員会で審議された主な議案内容の解説など、なかなか充実した報告内容。


田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-手話通訳の方もいらっしゃる!

 議員による報告の間に気になったのが、上記写真にある手話通訳による説明風景。
 後になって分かったのですが、この報告会に聴覚障害を持たれた市民の方が参加していたことから、議会としてその対応を図ったということ。この市民の方は実際にこの後、質疑応答を行いました。


田中しんすけ オフィシャルブログ Powered by Ameba-市民の質問も鋭いものが多い!

 そして、議員による議会報告が終わると、いよいよ市民との意見交換。

 10名から15名くらい、比較的多くの市民が発言していたこともそうですが、何より驚いたのは、発言する市民の方が当該質問内容について、かなり勉強されている様子だったこと。そして、一つの質問に対して一つの回答、という単純なやり取りではなく、それを何度も繰り返し、特に議員側の「何とか納得して頂けるような」回答に腐心していた点は非常に素晴らしいものがありました!

 質問内容は、町内会のごみ回収事業から総合計画に関する質問まで幅広く、それに対して議員も、その指摘がもっともなら「今後の課題として扱う」と回答し、市民の側に誤解がある(と思われる)点については、毅然として「そうではない」と回答していましたね。

 あっという間の2時間で、全体的には非常にエキサイティングな内容!

 こんな議会報告会が、福岡市でも実現出来たら良いのにな~、と少々興奮しながら、翌日の所沢市議会ヒアリングに備えます。




田中慎介