家族の絆が深まる家具選びを教える
木の家具屋の女将 田中島あい子です。

ずっと昔(20年くらい前)の記憶主人と一緒に
都内の家具屋さんめぐりの日疲れたのでちょっと休憩・・・
入ったのはずいぶん年季の入った喫茶店でした。

狭い間口で10席くらいだったかなー
池袋か新宿の地下街だったと思います。
それくらい記憶もあいまいになるくらい昔のこと。

椅子に座った瞬間、体全体を包み込む心地良さ
二人してびっくり、顔を見合わせました。
1977年の発売以来今も世界中で高い評価を得ている
キャブアームチェアーです。

金属のフレームに厚革をすっぽり被せた
何ともカッコイイデザインなのです。
1脚数十万円するその椅子が店内の全ての席に
惜しげもなく並んでいる光景にまずびっくり。

でも何よりも驚いたのはそのすわり心地の良さ。
厚革を強いテンションで被せているので新しいイスは、
パリパリ、ピンピン座ってもなんとなく滑ってしまう
気がして落ち着きません。

それが長年使い込んだこの喫茶店のキャブチェアーは
体にぴったり、しっくりなじんできます。その上、
使い込むことで革が何とも言えない良い色艶に
なっていてこの椅子を譲ってほしい本気で頼んでみようと
思ったくらいです。

こんなキャブチェアーに座ったのは後にも先にも
この時だけです。

コーヒーの味がどうだったか、店員さんがどんな人だったか
全く覚えていないのに・・・・
今でもこの時の座り心地は忘れられません。

その後何度かこの店を探したのにどうしても
見つけることができない幻の店と、幻のキャブチェアー。

椅子は人の体を支える大事な家具です。
時間をかけて、想いをかけて、手入れをしながら
最高の家具に仕上げてゆく。
自分にとって最高の座り心地の椅子に育ててゆく。

そんな風に家具と人生を共にできたら
こんな幸せなことはないですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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